社会人MBA-技術者編

December 12, 2006

再びイノベーション

「イノベーション」という言葉はよく耳にする。たいていの場合「技術革新」とされていることが多い。自分がMOTを修学しているからというわけではないが、自身の勤める企業においては、極力、使用を避けている。自身が開発業務であることも寄与しているからであるが、必ずといっていいほど「売れる素晴らしい技術」と誤解を与えてしまうからである。いわゆる、これまでに手を変え、品を変え、何度となく登場した「銀の弾丸」扱いである。

これらのことは、学者の中でも困惑しており、「イノベーション」とは単に「何かを新しくする」、つまり「変化」の意味合いで使用することが普通である。従って、イノベーションをビジネスにどう結びつけるか、という議論になる。

概ね、クリステンセンの著書(下)でも『イノベーションのジレンマ』を参考に語っているとはいえ、彼も著書の中で、「技術革新」だとは特定していない。

既存企業の対応可能性に①持続的(sustainable)、②破壊的(disruptive)
技術の連続性に関して①漸進的(incremental)、②抜本的(radical)
を分類し、これら2×2のマトリクスで説明される(バリューネットワークは略するが)。



私は、『イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント』をよく利用している。論文集の総まとめみたいなもので有用である。クリステンセンの書籍はビジネス・スクール入学前後に読んでいた。
(で、この程度の理解?のご批判はなしということで・・・)

どうも、不連続な技術が破壊的である、という不文律がある。議論でもそういうことは多々ある。これはとてもsensitiveな問題である。技術といっても”定義”によって分類が変わることがあるからである。
例えば:”電子レンジ”を考えたとき、そのS曲線上に”ヘルシオ”はないが、”電磁調理器”と考えた場合、調理機能が追加されたもの(現モデル)では、S曲線上のものである。すなわち、ハイエンド。不連続な技術による持続可能な対応である。現に、同商品は同じ事業部から生まれている。

破壊的とは、低品質、低価格の製品が既存市場を占有してしまうことが特徴で(いずれ機能は既存商品を追い抜くため既存企業が対応できない)、技術は連続的、不連続的は問わない。

例えば、クリステンセンはハードディスクのサイズを小さくする連続的な(漸進的)技術により、既存企業が次々に対応できない様相を明示した。



類似する考え方にブルーオーシャン戦略がある。類似点は、既存の競争軸を変化させる、という点にある。が、それらをもたらす技術の連続性は商品による。また、アーキテクチャ製品に関しては、更なる考察が必要となる。医薬品のように商品が単独の特許で保護されていないからである。さらには、イノベーションの様相(メーカー主導でないという意味から)ヒッペルが種々に論じている。

ある製品の変化の源泉はどこにあり、それはどのような技術的ないし企業対応的特徴を持っているのだろうか。そして、これらから何をすればよいのか。

これらを真剣に考える者が、書店に足を運ぶと、玉石混交でよくわからない。
ここに挙げた書籍でさえ、専門書とまではいかないだろう(論文の参考文献にはなるべくなら掲載しない)。

ところが、意外に日本までを含めた研究は(日本を研究したものはよくある)、少ない。例外を入れると、結論が言いにくいのである。”記録メディア”という点では、テープ、MD、CD、DVD、HDをひとつの企業から商品化されているし、上の電磁調理器も、ウォークマン→半導体オーディオも、一昔のフロッピーの小型化も・・・日本では、主役が劇的に変わったことのほうが少ない。よく対応しているといえる。

・・・日本の技術者よ、研究開発者よ、この件に関しては日本企業の方が有為である。流行の言葉で流されてしまう経営者には、その研究に日本の企業が入っているか問い合わせた方がいい。もしかしたら、経営者の方が対応の仕方を忘れているだけかもしれないからだ。

photo (c) Maco

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