背景と大意

2007年1月31日

t f B! P L
何事もその背景、大意を知る、という行為は論理的行為である。企業では、顧客満足、生産性向上のスローガンのもと多くの運動が展開される。

「顧客満足」の定義を最も満たす手法はQFD(品質機能展開)である。これは、1960年代から試行され、その後本格的に展開が始まった。その時代は、右肩あがりの時代で、生産すればモノが売れる時代である。戦前の安かろう、悪かろうの模倣品生産から高品質へ脱皮した。現場ではすでにQCの展開も始まり、デミング賞なるものが権威を持っていた。デミング賞を受賞することは、「高品質品生産工場」を意味するほどである。次期の売上高が高くなることがわかっているのだから、種々の生産性を向上して、固定費用を削減するのは当たり前のことである。

さて、右肩上がりの成長も終焉し、空白の10(15)年を味わい、旧来のビジネスモデルが通用しなくなった現在、未だに、これらの手法を「銀の弾丸」と考える強い傾向がある。

さらに、「イノベーション」の意味もわからず、革新、革新と騒ぐ傾向も強い。

変えなくていいところは、変えなくていいのである。
トヨタはカンバン方式をずっと行なっている。まさか、マス・プロで有効だと言われている手法を採用することはない。
3Mの研究開発を真似て、15%ルールをそのまま採用する企業もあるまい。

そのような節操のないスタイルは信用されない。

手法や経営には流行はあるが、その時代背景、企業文化を鑑み、手法の大意を知った上で、導入するべきである。手法の効果は、その手法を生んだ企業が最も享受するのである。従業員へは、手法を覚えさせるより、考えさせよ。そして、自社方式で運営するのである。それが一番騙されない。コンサルタントはクライアントが儲かろうが潰れようが関係ないのであるから・・・。

・・・隣の企業が導入しているからといって、採用する尻の軽さは、現場を見て回る腰の重さと交換した方がよい。

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エンジニアの視点から、品質技法、解析技術、生成AIについて発信しています。 (シックスシグマ・ブラックベルト、MBA)

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