シックスシグマ⑤(ボトルネックを探し出せ!)

2007年12月30日

シックスシグマ

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チームが編成されると、実際のデータ取得が開始される。テーマはトップダウンで生産効率の向上と定められているので、そこからカイゼンすべきボトルネックを見出すことがデータ取得の目的となる。

工場での取り組みとして、このようなテーマは多く取り組まれている。経済効果は、損益分岐の観点から、売上高(販売数量)を固定し、固定費用を削減することで生み出される。

例えば、1日に100単位の生産能力を有する生産ラインにおいて、何らかの故障で80単位しか生産できない場合、残りの20単位の生産は従業員の残業、余分な生産設備の稼動でカバーされる。そこで、故障の様子を把握し、「ボトルネックがA工程で5単位分に相当する」と判明すると、A工程のカイゼンに尽力するのである。このような工場でのプロジェクトはプロセスが生産設備そのものであることから、プロセスが考えやすく、従来らか行われているカイゼン活動と親和性が高いため、研修プロジェクトでは頻度が高く用いられている。

とは、教科書的な回答であり、シックスシグマに関わらず品質の教本には書かれていることである。しかしながら、実際にこれを行うことは大変に忍耐が必要である。

第一に、測定日数をどの程度に設定すれば、ボトルネックを見出すに足りる期間かは、余程の不良工程がないと把握できない(カイゼンが進んでいるため:ちなみにこのような場合、本記事図のパレート図では平たい棒グラフが並ぶこととなる)。

第二に、生産効率とは言っても、実際に測定する指標は「工程の停止時間」であるため、対象のすべての工程を測定することは、生産現場への連絡が徹底していなければ出来ないことでもある(シックスシグマは生産現場にとっては余分な業務であることを忘れがちになる)。

第三に、第二の根源的な理由として、これまでカイゼンが続けられてきた生産現場では、生産効率が向上することは、給料、人員の削減につながることを意味することを強く意識している。

従って、リーダーはデータの取得云々ではなくて、当該プロジェクトに関わる様々な人(本記事の場合は生産現場)とのコミュニケーション力が問われることなり、これは、シックスシグマに限らず、種々のカイゼンを行う上で出てくる種々のシグナルを処理するという点で非常に重要なことである。

さて、わがチームでは、「1週間(工場は24時間稼動)あれば十分」ということで1週間分のデータ取得を行い、ボトルネックを見出した。

それは、最初の打ち合わせで出ていた課題であった。

次に、そのデータをもとに、経済的効果を算出することがタスクである。(つづく)

(「シックスシグマ⑤(ボトルネックを探し出せ!)」了)
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