橋下大阪府知事はどうしてここまで、頑張らなくてはならないのか。

2008年6月8日

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橋下大阪府知事はどうしてここまで、頑張らなくてはならないのか-2008年1月10日、大阪府知事選が告示された。その少し前に、次のようなニュースが報道された…。

「府債2930億円 返済見送り-大阪府、再建団体回避狙う」(2007.12.31 日本経済新聞地方経済面)
「赤字隠し、太田・大阪府知事認める」(朝日新聞2008.1.5 朝刊26面)

なんのことはない、「大阪にはまだ、借金がありました」なのである。しかも、財政再建団体への転落寸前なのである。おそらく、誰が知事になっても、橋下知事の再建案の額面(2008年度で1100億円)程度の改革は必須だったのである。

太田前知事が「財政当局が見つけた技術的な手法」(2008.1.9 朝日新聞)とも言ったように、「これまでの借金を返すための金(減債基金)に手をつけて借金に借金を重ねてきた(2008.6.6 日本経済新聞3面)」こととは、単なる自己資金の流用であり、民間では借り換えを含め、大したことではないかもしれない。実際に、「借り換えも減債基金からの借り入れも法令に違反しない」(2008.1.11 日経金融新聞1面)。

問題は、情報開示がなかったことである。実際、「市場は疑心暗鬼になり、大阪府債の国債利回りに対するスプレッド(上乗せ幅)は、問題発覚前の0.2%程度から0.3%近くにまで拡大している」(2008.1.11 日経金融新聞1面)*。

いずれにせよ、赤字を隠したことではなくとも、返済を先延ばしにしたに過ぎない。

次には、財政指標に関してである(以下は2008.1.11 日経金融新聞1面参照)。
大阪府ではいわゆる十年債を二回借り換え、当初の十年間で元本を39%減らす計画であった。ということは、61%を借り換えるのだが、実際は、ほぼ全額借り替えていた。2006年度末には減債基金(借金を返すために積み立てる金)は底をつき、理屈の上では、2007年度に財政再建団体へ当確していたのである。いわゆる、地方財政の健全性を示す「実質公債費比率」を実態以上に良く見せていたのである。

基本的に企業の破綻とは異なり、この適用団体の破綻は、債務免除ではないため、首長から住民まで激しい痛みを伴ってしまう。職員は給料減、税金増、さらに職員減による業務増加と三重苦である。府民においては、寝耳に水の負担増となる。

経済は人口動態に左右される面がある。団塊の世代の引退が始まり、第二次ベビーブーマーの労働年限(あと25-30年程度)の間に、大阪と同様の状態である日本財政も健全化できなければ、その後の世代では負担を受け止めきれない。

現代の環境から言えば、破綻した国は見向きもされない。発言権はなく、復興するまでの種々の取り決めは、復興後も重くのしかかる。ましてや日本には、ロシアのような資源もない。

・・・タレント知事(とはいっても本業は弁護士です)の誕生からはじまった改革、それへの専門的意見、批判、非難、また、賞賛、大阪の取り組みは、日本の縮図となっているかもしれない。

*債券はリスクが大きくなると利回りが大きくなる。従って、国債<地方債。
*「財政再建団体」は新法では「財政再生団体」です。
*各種新聞の情報ソースは日経テレコンによる。

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