マーケティング⑩(製品ライフサイクルと消費者)

2008年6月30日

マーケティング

t f B! P L
製品・サービスはその登場後、段階を経ることが概念化されている。導入期、成長期、成熟期及び衰退期である。概念的には下図のようになり、売上、収益(=利益)曲線で示される。時に、企業にとっては曲線は不連続になり、成長期を待たず撤退することもある(いわゆるキャズムを超えられない)。



消費者はこの各段階で採用を決定する。いわゆる:

  • 導入期:イノベーター(Innovators)
  • 成長期:初期採用者(Early Adopters)
  • 成熟期:追随者(Majorities)
  • 衰退期:遅滞者(Laggrds)
である。

それぞれの要求が異なるため、企業は種々の対応をしなければならないが、種々の対応とは、各消費者に対し、例えば、一様に研究開発者が対応するというものではなく、主役になる部門(や機能、時に活動)を変遷させるということである。

また、これらの消費者のどこをターゲットにするかは企業により異なる。ファッション業界で高級感をブランドにしているのであれば、イノベーターを狙う。電機業界では、規模の経済を活かすために、イノベーターから追随者まで狙う製品もある。

さらに、近年、ライフサイクルは短くなっている。これには、イノベーション期間の短縮が不可欠であるが、単に、製品化への期間を短くすれば良いというものではなく、これまでの記載からも想像がつくように、組織全体の対応力の増加が、その対応可否を決定する

例えば上級管理者は、新機能などの差別化製品を同じチャネルで売ろうとしたり、同じチャネルを使用することが決まっているのに(=マーケッターが新機能を必要としていない)のに研究開発に大きな投資を決定したり、などを避けなければならない。

また、新機能を持たせるのであれば、タイミングを逃してはならない。これは、単に早めればよいというものではないし、遅らせることでもない。時に、タイミングを逃さないための予算オーバーは、タイミングが遅れてしまった場合に比べて、減益の度合いが少なく、また、タイミングを単に早めた場合は、社内コストが増加し、周辺環境(サプライヤー、顧客)との交渉力が低下するため、これを見越した利益がなければ、早める必要性がない。

マーケッターにとっては、ライフサイクルのパターンや期間が多様であるため、一意的には、マーケティングプログラムには適合できないが、それぞれのステージで、製品、価格、流通、広告などの戦略が変わるため、概念の理解と、携わる製品・サービスの研究は必要である。

・・・当たり前のことって、意外に忘れるんですよね。。。


<今日の記事で参考にした書籍>
*コトラーの書籍では、第九章「製品ライフサイクルを通じての製品の開発、差別化、ポジショニング」、ムーアの書籍では、(ハイテク産業における研究から)イノベーターと初期採用者の「溝」=「キャズム」の表現を引用した。

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