社会人MBA-技術者編

April 29, 2008

『地頭力を鍛える』・・・頭いい人っていますよねぇ、ホントに。

「頭のいい人」とは、人によって定義が異なるかもしれない。知識が豊富な人、素晴らしい思いつきをする人、機転の利く人・・・。年を重ねてくると、これも変わっていくが、「思考能力の高い人」は魅力的である。それらは、「結論から」「全体から」「単純に」の3つの思考力がキーワードとなる。いわゆるその「地頭力」とは・・・?

突然ですが、「東京都に信号機は何基あるのでしょうか?」

これは、今まで育ってきた、いや鍛えてきた大学受験の受験法では解けない。解こうとすることが問題なのかもしれない。このような場合は推定するのである。

例えば、「東京都の面積がこれぐらいで、そのうちの道路の面積はその何分の一、田舎も区内もひっくるめて、まぁ大体○○面積あたりに1基程度設置されているとして、△△基ぐらいかも」程度に。これは書籍の内容ではなく私が勝手に想像したものなので御注意を・・・。

そこで、「フェルミ推定」と呼ばれる推定法が登場する。いわゆる:

つかみどころのない物理量を短時間で概算すること(p47)」である。信号機の問題には正解はあるが、ビジネスで応用するには正解はいらない。というより正解はないので、正解に辿り着く「プロセス」が重要なのである。

「日本全国には電柱は何本あるのでしょうか?」

第三章にはそのプロセスが例示されている。電卓、PCなしで行うとなると、結構種々のことを推定していかなければならないが、頭の体操としては面白い。

面倒くさければ、信号機は「交通安全に必要なほど」、電柱は「日本に電気が行き渡るほど」と抽象度を利用して遊んだだけの回答は。。。これは質問と同じ意味なので本書のロジックとは異なります。

結局は、抽象化具体化、フレームワーク思考、仮説検証力、など、思考にいくつもの軸をつくり伸ばす、また次元を広げる訓練である。前にも記載したが、私の知っている物凄く「頭のいい人」は、少しの情報からも、質問により必要な情報を追加し、その事柄に関する世界観が出来ている。

職人気質の技術屋さんには、ユルイ感じがするかもしれないが、該当技術に詳しくない上級管理者に:

「あれどうなってる?」と聞かれ、彼らは:
「まだ、出来ていません」と回答してしまうことが多い。この背景は出来るまで「出来ていない」状態がつづくので、”0”or”1”の回答しかない。

ここで、出来るまでのプロセス進捗で回答すれば、例えば:
「○○の段階まで終わっていて、進捗は60%。○○の箇所で課題がつぶきしれず時間を要しています」
となり、上級管理者は資源を投入するか、待機か、種々の決断を下しやすい。

・・・結局、このような頭は「生産性が高くなる(p26)」ので必要なのである。

<参考書籍>

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April 28, 2008

妙に静かな株式市場

サブプライム由来での金融収縮の実体経済への影響が懸念されている。実際の影響はこれからで、米国→中国→日本と波及するであろうが、株式市場は楽観市場が続いている。ドル円は幾度かのボリンジャーバンドを抜けながらも円高傾向であったが、最近平均線まで上げており、株価も不気味な反動を示している。

日経平均、ドル円推移(ラインはボリンジャーバンド:±2σ)

米国経済は金融収縮、日本は多大な借財とGDPの低成長率の中、中国は1-3月期、前年同期比GDP10.6%増で、個人消費も多い。が、実体経済の影響はこれからである。非流通株の大量売却の制限も含めて考えると、やはり、しばらくは調整期間が続くようである。
*中国GDPに関して(Fuji Sankei Business i.
*非流通株の大量売却の制限(ロイター

米国株式に連動する日本市場であるが、米国の事情によりズルズルと株価が下落し、12,000円付近まで落ち込むと、やはり、外国人投資家が過半の市場では売りが優勢となる。

これに円安が進むと、企業の経営者は時価総額の下落、通貨の下落と二重苦を切り抜けなければならない。一見、円安はグローバル企業にとって利益面で有利のように思われるが、株安と抱き合わせると思わぬ株主が誕生する。

中国、インド企業は益々大きくなりつつある。両国とも規模では諸国を圧倒する。

・・・とはいっても、それは市場のルールであるから、それで、企業が良くなるのであれば「低価格高品質」企業は磨きをかけることができるでしょう。

本ブログは投資や投資に関する勧誘を意図するものではありません。
投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願いいたします。

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April 25, 2008

『自滅する企業』

企業の平均寿命・・・日本は電機大手も含め老舗が多いが、最近は経済大国での短命化が進み、日本、欧米の平均寿命は12年半だという(p24)。そう、自滅していくのである。そこに焦点を当てたのが本書である。

優良企業が転落する理由は、外部環境が大きく変わっているのに、変化を起すことが出来ない、あるいはもっと不思議なことに、変化を起したがらない場合である(p20)。

DEC(デジタル・イクイップメント・エレクトリック)は「ミニコンピュータ」の導入で一時代を築いたが、パソコンを軽視し、低迷が続いていた。その頃、インテルの最上級チップの四倍の速さの「アルファ」を紹介したが、もう株主も市場も元気はなかった。

「技術、人材、製品、すべてはそろっているがオルセン(当時のトップ)がトップいる限り立ち直れないだろう」とも揶揄された。つまるところ、市場が納得いく戦略、企業の方針を提示しなければ、優秀な技術、また広告なども台無しなのである(第一章 なぜ優良企業が自滅するのか(趣意)))。

ある競争軸に執着し、○倍の性能、○倍の安全性、○倍の生産性、などが企業内で聞こえたら、自滅するシグナルなのである。

オルセン後の経営陣はしっかりとした経営で再建を進めていたが、「Point of No Return」である。日本で言えば、松下幸之助、本田宗一郎、井深大がトリオになってその企業に現われても、再建出来ないことと同じである。

従って、外部環境への対応の仕方は非常に神経質にならなければならないのである。

なぜなら、本書のテーゼの通り、企業は競合企業に競争で負けるのではなく、「自滅」するからである。

・・・結局、企業は市場の先頭に立つことで、決して市場を追いかけることではない。当然、そこにはリスクが存在する。しかしながら、今後の企業はいわゆる「ビジョナリー」な企業しか生き残れないのであれば、その行為は賞賛されるだろう。企業には、そういう行為も必要なのである。例えば、「ソニーは顧客に対する情熱を持っていないと言われるが」(p308)*、それは当然で、顧客のいない領域の製品を開発するのだから・・・。

エクセレント・カンパニーを蝕む7つの習慣病、興味のある方は、GW、読書の一冊にいかがでしょうか。

<参考書籍>注)*ソニーの部分は『ビジョナリーカンパニー②』を参照

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April 24, 2008

それでも中国の成長は止まらない。

財務省が23日発表した2007年度の貿易統計は、対中国(香港を除く)の貿易額が2年続けて対米国を上回った。対米の貿易額は4年ぶりの減少となり、日本の総貿易額に占める割合も、四半世紀でほぼ半分に落ち込んだ。かつて米国と摩擦の火花を散らした日本の貿易構造は、大きな転換期を迎えている。(読売オンラインより)

しかしながら、貿易相手国との収支を観察すると、中国から見て、米国、EUへは大幅黒字増加、日本、韓国、台湾へは赤字の増加となっており、マクロ的には、日本(や韓国、台湾)から中国へ輸出され、それが米国、EUに入っていることも伺える。いわゆる世界の生産工場なのである。

元の為替レートにより早くて来年、少なくとも数年先に、中国はGDPで世界第二位になる。数値の信憑性を疑う声もあるが、一度抜いてしまえば、もう世界は「中国が日本を抜いた」と認識する。

最近の中国株式の下落などはあるが、中国の過熱した経済は、①家計、企業部門の余剰貯蓄の伸び、②過剰流動性が起因となっているため、今後の成長を考えるといい調整であると考えている。

最近のチベットに関する問題や格差に関する問題など、国内に幾つかの歪を抱える中国であるが、今後、米国、中国が世界消費を担うことには疑う余地がない。

すでに、そのような10年、20年先の教育、外食、出版など、将来市場のことを見据え、各企業は動き出している。いや、仕込み始めている。やはり沿岸部の顧客をターゲットにするべきであるが、何せ、沿岸部といっても中国の場合はその規模が大きい。日本とはケタが違う。

また、日本へ観光へ訪れる中国の方も大きく増加する。京都、奈良・・・ではなく、雪の北海道が人気であることは有名である(その次は東京ディズニーランドだそうです)。このままの成長が続けば、何百万人規模で増加していくであろう。

日本から見て、中国は「(90年代の)低コスト生産工場」から「お客様」へと視点が変わりつつあるのである。

・・・中国を考える時は%(パーセント)より実数での「規模」で考えたほうがいいのかもしれません。

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April 23, 2008

次世代ネットテレビ

ITU(国際電気通信連合)はハイビジョン並みの高画質映像が見られる次世代型のインターネットテレビ(IPTV)の世界共通規格を作ることを発表した(日本経済新聞2008.4.16夕刊一面)。ソニー、松下などの家電大手はこれらのネットテレビを来春までに発売する(日本経済新聞2008.4.19一面)。

ユーチューブなどの動画配信は利用者に大きな選択権を与えてきた。動画の内容によっては、数百万人の人が視聴するものもある。

考えさせられるのは、やはり、R&Dである。結局のところ、パソコンなどの小さな画面でも視聴者は見たい内容はそれでよかったのかもしれない、と考えると、液晶、プラズマの画質競争はメーカーの消耗戦でしかなかったのかも知れない。

また、液晶、プラズマでの教訓から学べることは、たとえ、それを上回る画質原理のテレビがあろうとも、早くに出したほうが断然有利である、ということである。いわゆるファーストムーバーの利益(先駆けて行動を起こすことで得られる利得のこと)である。

すでに、ネット配信の動画を視聴できるものがいる以上、結局、最近薄型テレビを購入した消費者は、買い換えないということであり、さらに、現在、ブラウン管テレビを使用している利用者は、地上波に合わせてチューナーを購入し、相変わらずユーチューブなどで見たい動画を視聴するであろう。

企業の「外部環境の変化に応じて変化していく」とは、相手チームのイチローの姿を見て、あれぐらいヒットを量産せよ、と命令することではない。自分のチームでそのような選手が現れる、また、その必要な機能の代替となる「仕組み」をつくることが対応することなのである。

従って、上級管理者も従業員も学習することを忘れてはならない。

・・・とはいいながらも、私の実家では未だにブラウン管なので、これに買い換えることを勧めるでしょう。。。

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April 22, 2008

『幸之助論』に学ぶ

今日の勝利者は、ますます1930年代の松下電器の姿に似てきている(p120)」『幸之助論―「経営の神様」松下幸之助の物語』において、コッターがリーダーシップ論として経営の神様、松下幸之助を取り上げた。

ご存知のように、松下幸之助は、まともな学校教育も受けず、縁故もない、貧しい少年が世界最大の企業のひとつを創り出し、自国の経済革命をリードする地位にまで昇り詰め、その生涯を日本の国民的英雄として閉じた人である(序章 経営の神様より趣意)。
何もなかった彼にあったもの、それは「勤勉と競争心、そして夢を実現させようとする強固な意志(p83)」であった。

そして、成長の最中でも「従業員には多くを期待し、その代わりに彼らを尊いものとして気遣った(p119)」
マネシタと揶揄されることもあるが、「発明は他社に任せ、より良い製品を作り、それを賢明な販売戦略で売る(p119)」ことはビジネスシステムとして優れていないと出来ないことでもある。

これは、経営陣が周囲に細心の注意を払い、彼らなりの手法を編み出したのであり「真に競争的な環境で成功するためには、一般にこの種の方策が有効(p119)」なのである。

巨大化が進む組織では、朝会で綱領と信条を唱和し、経営理念の浸透を図った。1930年代の話である。あれが「年に15%売上げ拡大のために働くと毎朝誓えと言われていたら、悪い意味で専制的で強欲であるとみなされていただろう(p134)」

西欧には独特に写るかもしれないが、松下(限らず日本企業)における、ある種独特の結束力や使命感は、このとき、遠大な人道主義的目標を掲げることで、巨大化する組織の弊害である「驕り」を排除しつつあった。

そうして、事業部制に結びつくのである。これは「経営能力のある人材を育成するもの(p142)」であり、(当時としては)早くから経理情報を従業員にも公開し、「労働者のエネルギーと集団の知恵」をうまく引き出せていた。

例えば、生産ラインの効率を高めるために、同時に二つの作業が出来るように湾曲した生産ラインにしたり、工場労働者はチームで活動し、部品の価格、生産量、賃金の基準などを監督、打つ手をうたない上級管理者は容赦なく責任を取らせた(プライドを傷つけるのは最小限な配置換え)。

この当時からこうであるから、近代工場における「生産性向上」を謳ったものは、「責任を取らないトップの人員削減策」でしかない。

しかし、その後松下を待ち受けていたのは、「数百万人の人命と国家資産の四分の一を失う代償を強いた戦争」であった。「松下電器は飛行機や船を大量生産することを求められ、軍需工場化し、負債はいたるところに残り、従業員は疲弊していた(p160趣意)」

それは、もはや家電製品メーカーとは呼べなくなってしまっていたのである。事業部制は、「規模の経済を重視する中央集権的なもの(p184)」になり、とうとう、1930年の不況の際にも一人も解雇しなかった松下電器が、1950年に初めて解雇(13%相当)せざるを得なくなってしまったのである。

その難局を切り抜け、ニューヨーク訪問、フィリップス社との合弁などにより世界の市場に目を向けていく。
飛躍的な成長を遂げた巨大企業の堕落に対し、売上4倍、週休2日制の実現、欧米並みの賃金と国際化する経済を見据え、果敢に挑戦していった。

引退後は松下政経塾、PHP研究所など「教育」に取り組んだ。

コッターは彼の成功要因として、「知能指数やカリスマ性、特権、幸運その他諸々の要因にあるのではなく、まさに、その成長にある(p270)」と彼の生涯にわたる学習姿勢に要因を見出している。その姿勢は、経営幹部はもちろんのこと、従業員にまで浸透させようとしていた。

・・・「企業の将来に影を落とす最大の原因は、・・・(中略)会社経営であり、とりわけ経営陣の態度にある(p196)」

人、もの、金、それらの社会資本を使っているのである。利益率が上がらないのは、社会に対する一種の犯罪行為である。(松下幸之助)


<参考書籍>

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April 21, 2008

非EU経済圏の憂鬱

先週、2008年第1・四半期に米シティグループが純損失51億ドルの計上を発表した。・・・にも関わらず、好感を受け株価は上昇した。折込済みであったということなのかもしれない。そもそもサブプライムは判定が困難であるため、混乱はしばらく続くであろう。

この好感は各通貨を押し上げ、円安を生み、さらに、円安が日経平均を押し上げた。下のグラフからも、各通貨の反転が読み取れる(2007.12.14週の終値を100とする、MSNマネー参照)。

○各通貨の対円推移

投資の観点から日本を考えると、外国人投資家に買われてなんぼの市場である故、Jパワー株、ブルドック株のような問題は、外国人投資家に非常にネガティブな影響を与えた。もう彼らは、「割安」の時にしか動かない。

さらには、GDP比約200%の莫大な借財(政府債務;独、仏、英は40-60%、伊で100%前後)は、今生きているほとんどの年代の日本人が、生きている間に「日本は成長国」と聞くことはないほど、どうしようもない。

今後、世界経済は米、中、EUの勢力圏が台頭し、ここ10年ぐらいは、金融危機に瀕した米国、連動する中国が足踏みし、EUが大きな経済圏となる。米国、日本が大きな経済圏であった時代に日陰にいたEUが自国の借財を整理し、通貨を統合し、着実に歩み始めている。

・・・非EU経済圏において、対米だけではマネージ出来なくなってしまいましたね。

*本記事は投資や投資に関する勧誘を意図するものではありません。
*投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願いいたします。

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April 17, 2008

外国人投資家の次に訪れる者とは?

財務省によると、日本市場は外国人投資家による売り越しが、株式だけではなく、中長期債券までに及んでいると発表された。(対外及び対内証券売買契約等の状況

外国人投資家が半分以上の割合を占める株式市場では、株価を押し上げるのは、外国人投資家にとって「魅力的」でなければならない。そもそも、アジアは日本も含め、ボラティリティが高い地域と考えられているため、米国の不振はこれらの地域から資金を引き上げる傾向にある。

もはや、このゲームに人種、性別、宗教は関係ない。また、EUにより、国家の概念も取り払われている。

○対内証券投資に関する推移(2005.1-2008.4)

このように割安となった市場に、次に訪れるのは外国の経営者、企業家である。成長が著しい国々の経営者、企業家の有する企業は、すでに、長年営業を営む日本の同業企業の時価総額を超えている。いくら日本が7,000円代の株価を経験したからと言っても、その頃、BRICsという言葉が生まれたことを考えると、再びこのような価格になることは、バーゲンセールと言ってよい。

・・・「さすが日本は低価格高品質」・・・そのように見えてしまうんでしょうねぇ。。。

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April 16, 2008

super boomの寿命が測定されている。

金融危機を経験している日本であるが、現在の米国は金利を大幅に下げ、一応は一服しているように見える。過去の日本との大きな違いは、円貨に対して、基軸通貨の米ドルであるということである。

下のグラフを見ると、株価と円貨(対ドル)では、プラザ合意以後(と90年代中頃から約10年間)、株高(安)円高(安)であるが、バブルピークまでは、株高円安に働き(株価に連動する)、ピーク後から株価下落の調整まで(図の丸印)、株安円安、そして、円高に進んでいったことがわかる。

金融危機は低金利と潤沢な資金供給が必要で、資金供給が途切れれば、回復基調は損なわれてしまう。

日経平均、ドル円推移(1982.1~2008.4:データはMSNマネー参照)

2005年ごろから再び株高円安の傾向で、近年、米国と強い相関関係にある日本の株価を考えると、米国の株高ドル高(対円)ではあるが、ユーロに対しては、かなり前から、ドル安の傾向が続いている。

米国の通貨は基軸通貨であり、日本のバブル崩壊に比べ、資金供給先が豊富であるため、日本の過去のヒストリカルなデータに対して、幾分かストレッチされる。

そうは言っても、急激なドル安は注意すべきで、3月の状況はそうであったともいえる。
従って、投資家は、米国株価の動きに対して、さらに、明確なシグナルが欲しくなるのである。

・・・状況は変わりつつあるが、米国の株価は今回のsuper boom*の寿命を測られている。


注)super boom:基軸通貨"ドル"の信用拡大を表現したもの。それが収縮するという警鐘は以下参照。
http://www.ft.com/cms/s/0/1a7af090-c956-11dc-9807-000077b07658.html

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April 12, 2008

マネジメントはサイエンスかアートか?

「マネジメントはサイエンスであり、アートでもある*」

経営の意思決定について、サイモンは「人間の情報処理には限界があり、そのため完全に合理的にはなれない」と、科学的プロセスであるとしている。

いわゆる「限定合理性」である。

『オーガニゼーションズ 』ではウェーバーの官僚制に着目し、官僚制を「個人の認知限界を克服するための組織システム*」のひとつと考えた。
これに対し、「マネジメントはアートである*」とするのは、ミンツバーグである。

果たして・・・日本はどうであろうか?1980年代、野中らは、製品開発の現場調査を開始した。その中で見たものは・・・

「そのときに現場で見たものはサイモンとはおおよそ対極にあった。個人の認知能力の限界を自己超越の狂気とチーム・メンバーとの共創で挑戦していくイノベーションのプロセスであった。*」

私の10年程の製品開発の現場での経験からは、「勘」や「願望」をアートとして取り扱い始めたマネジメントは製品開発現場では何でも出来るような、大よそ、非科学的な力学を発生させる。逆に、「創造的破壊」の精神を忘れた製品開発現場は、いかなる環境の変化に対しても「標準作業」しか行なえない非創造的な組織となっていく。

・・・個人の知識、またその集合から生まれた創造的知識が企業の価値になりつつあるなか、標準作業しか行なえない上級管理者、従業員は、自らの給料を下げることでしか、現在価値を高めることは出来ないのだろうか・・・。

注)*についてはすべて、野中郁次郎,「私と経営学」, 三菱総研倶楽部, 200801, p22-25を参考にしています。

<記事の中で掲載された書籍>
経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究』(ハーバート・A.サイモン, 松田 武彦, 二村 敏子, 高柳 暁(翻訳),ダイヤモンド社,1989)
『オーガニゼーションズ 』(J.G.マーチ, H.A.サイモン,土屋 守章 (翻訳),ダイヤモンド社,1977)
『組織と市場』(野中 郁次郎,千倉書房,1974)
知識創造企業』(野中 郁次郎, 竹内 弘高,東洋経済新報社,1996)

*ミンツバーグは次の書籍で有名です。


○『H. ミンツバーグ経営論』はマネジャーの仕事、戦略、組織のカテゴリーに分類した論文集。
○『戦略サファリ』は戦略の鳥瞰図で、MBAの入学前、もしくは入学直後に読むのがふさわしい書籍。

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April 11, 2008

職人には譲れないモノがある。

私は職人が好きである(技術者に限らず)。あの、会議室での無意味な評論家達の話を聞くより、彼らとの10分間の方が貴重である。

それは、職人ほど製品に精通しているからである。彼らは一度信頼した人を裏切らない。同じモノを毎日変わらず顧客に提供するという最も難しいことを実行できる人たちでからである。

口を開けば、原価が下がり、命令すれば、製品性能が向上し、指示を出せば売り上げが上がると思い込んでいるのは、スナック菓子の味が忘れられない子供のようである。

これからの未来に適応していくために:

ハメルは、『経営の未来』(ゲイリー・ハメル他(藤井清美訳),日本経済新聞出版社,2008,pp316-328)で、ある企業の例から、上級幹部の「遺伝子的多様性」の欠如(出身母体の産業が一つなど)、「標準業務手順の制約」(効率的に見えるが、実は環境の変化に先行的に対応できない)を挙げ、「ポスト工業化からポストマネジメント、ポスト組織」社会を描いた。

ミンツバーグは、『MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方』(H・ミンツバーグ(池村千秋訳),日経BP社,2006,p16)を執筆するにあたり、「顧客や従業員、製品や工程に関する現場の知識をろくにもっていない」MBAに代表されるマネージャーに警鐘を鳴らした。

若井は、『御社のトヨタ生産方式は、なぜ、うまくいかないのか? ~偽りの「かんばん」~』(若井吉樹,技術評論社,2007)で、その生産方式を評価しつつ、安直に回答を求める導入他社に疑問を呈した。

安部は、『食品の裏側―みんな大好きな食品添加物』(安部司,東洋経済新報社,2006)で、食品添加剤の効用を認めつつも、逸脱した利益至上主義から生まれる悪魔に職人の魂を売る企業倫理に警告を鳴らした。

製品・サービスは、その源泉に関わらず、具現化するには(技術者に限らない)職人が必要である。

・・・あなたは自社の製品・サービスを利用していますか?

<参考書籍>

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April 10, 2008

MBAでのリポート及び論文の書き方

4月に入り、様々に物事がスタートしている。こういったなか、社会人向け、フルタイムでのMBAコースへ進学された方もいらっしゃると思う。

これらは、社会人経験を伴うことを前提としているためか、リポートや論文が当初、どうしてもビジネスリポートっぽくなってしまう嫌いがある

とはいえ、MBAとは単なる学位であり、それが、専門職であれ学術であるゆえ、やはり、書式のルールはある。それに則らなければ折角の鋭い視点も駄文となってしまう。また、折角の研究論文も学術のスタイルを外れれば、単なるリポートに終わってしまう。

研究のスタイルは理系も文系も関係はなく、自らの主張を、過去を精査し、新規性がある知見であるか、また、その仮説はどのように検証されるのか、を追及するものである。

従って、理系の実験と同様に、スンナリ論文が書けたり、研究が進むものではない。

社会人向けコースではあったが、私もひとつ論文をつぶしている。決められた年限で、新たな知見を披露すること、及びそのスタイルを身につけることが修士の責務である。私のテーマはやや大きな分野を扱いすぎていたわけである。

話はそれるが、それが修士の責務であるゆえ、理学、工学系の修士がある企業の研究職、開発職のマネージャーに採用されることはないのと同様、MBAの盲目的(その企業の顧客、製品、生産現場が分らない状態)なマネージャーとしての採用も私には疑問である。

さて、リポートや論文を執筆する上で、私は以下を参考にしました。
ご参考になれば幸いです。


*  *  *  *
理系の論文は、Introduction->Experiment->Result and discussion->Summaryなどが代表的な骨格で、それに慣れている方でもMBAは社会科学の分野なので、その分野の仕来りはある。

入学当初、ある講義で先生に勧められ読んだ書籍が、澤田先生の『論文の書き方 (講談社学術文庫 (153))』である。これは、77年に発行された書籍であり、文献検索などは現代にそぐわないが(これは当たり前であり書籍の論旨を傷つけるものではない)、論文へのアプローチ(=論理的な物の考え方など)を学ぶ上では、名著である。


つづいて、1年ぐらいが経過したところで、研究内容のテーマ、論旨の概略を詰めていく講義があり(論文に耐えうる内容なのかどうかの吟味)、その中で伊丹先生の『創造的論文の書き方』が題材になり、テーマの選択、理系の時とは異なる仮説検証(理系は実験が主)、リポートと論文の違いなど、いわゆる研究行為とその帰結の所作を学ぶことができる。

私はMOTに関するゼミだったのだが、担当の先生は『リサーチ・マインド 経営学研究法 (有斐閣アルマ)』を主に、『社会科学系大学院生のための研究の進め方―修士・博士論文を書くまえに』を副として、研究や論文に対することの参考書籍としてこれらを推奨していた。


社会人向け機関での学習の場合(フルタイムでない場合)、最も注意すべき点は、フルタイムとは異なり、研究活動が入学当初から出来ないことである。通常は、研究成果を幾度か学会で発表するし、論文も執筆する。そして、それらの業績も含めて修士論文を執筆する。

ところが、社会人向け機関では、そのようなことは稀である。結論的には、時間的制約が大きいため、研究行為(=試行錯誤)の積み重ねが少ない。

研究行為は意識して入学して半年ぐらいから進めていくと何度かテーマが腰折れになっても大丈夫で、最終的には、いい論文になると思います。

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April 7, 2008

円貨、株価の行方

Wekaに関する記事はweka データマイニング記事よりご覧ください。

日銀総裁の不在、米国のサブプライム問題・・・大きな混乱なく東京(日本)は動いている。静か過ぎるほどに・・・。今後、ドル安に振れるのか、はたまた日本が経験したバブル崩壊後の円高のように似たドル高に振れるのか。

株価が下に振れると、図のように長い低迷期を経験しなければならない。時価総額が低くなり、利益剰余金を多く持っている企業は、買収の格好の的となる(すぐに売り飛ばされるだろう)。そうなると、米国が回復するまで、ボラティリティが高いアジア、日本への資金の流入はとまり、今再び入り始めている資金も出て行ってしまう。

・・・いずれにせよ、米国株に連動する日本株は米国の回復を待っている。

○株価下落の様相
*データはMSNマネーを参考に作成。89年バブル、最安値型(=ここ20年での最低株価への下落)、及び今回の直近の高値を100として週ごとに時系列表示。

*本ブログの記事は投資や投資に関する勧誘を意図するものではありません。
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April 3, 2008

急変する経済状況と上級管理者

Wekaに関する記事はweka データマイニング記事よりご覧ください。

株価の乱高下が続いている。米国に連動する日本の株価は、米国株価上昇(下落)→ドル高(安)⇒日経平均上昇(下落)→円安(高)という傾向にあり、輸出関連では株価が上昇しなければ、時価総額は下がる、利益は低下するで注意深い舵取りが必要になる。

下のグラフはサブプライム問題が発生した頃の2007/8からの株価(日経平均)、ドル円の推移を示しているが、この期間円はドルに対して高くなっている傾向である。株価は、下降、上昇を繰り返しながら、下落している。

2007/8/10から2008/4/3までの日経平均、USD/JPY推移(日ごとの終値)

過去の例から言えば、この下降、上昇のサイクルを繰り返し、数年かけて、ピーク時の40-50%減じた地点に落ち着いていく。そうしているうちに、割安感が広まり、資金が流入し上昇サイクルへ入っていく。
いずれにせよ過去に比べて米国の株価への連動性が高くなっている、などあるが、麻雀と同様に経済状況が同じであることはない。

企業の経営にとっては、つい先日、予算作成時に急激に円高になり、再検討をした企業も少なくない。これが、円安に傾くと・・・例えば、海外製の依存度を高める計画を策定した中間加工業者では、再検討が必要かもしれない。

急変する経済状況に眠れない上級管理者、もっと大変なのが末端の従業員である。朝令暮改状態である。指示が急変することが繰り返されることは、意外にコストがかかってしまう。

このような時は、許容度を設けるファクターを設けるしかない。為替であれば、○○±○○円で想定するが、これに連動する製品・サービスにおいても、例えば、ある工程で原価影響力の高い項目において<海外製+国内製>の原材料などを設定し、想定外の円高であれば、在庫を考慮して、海外製の比率を最大限増加させる、などを設定しておけば、従業員の混乱も防ぐことが出来る。

そのような仕掛けをもってしても、利益が低下したのであれば、それは、当該企業に限らないはずであり、上級管理者がどうこうできる経済動向ではなかったのである。

・・・でなければ、「あの利益は奇跡的な円安(高)に助けられたものである」と上級管理者の苦労が報われません。


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April 1, 2008

シックスシグマ⑳(改善策は管理されるか?)

Wekaに関する記事はweka データマイニング記事よりご覧ください。

シックスシグマのフェーズ(D:問題定義、M:測定、A:分析、I:改善、及びC:管理)の中で、「分析」や「改善」が外科的療法であれば、「管理」は内科的療法である。実施された改善効果を維持管理する行為は、目立ちはしないが、確実に、そして継続的に実施しなければならない地道な作業である。

改善策に対し、管理項目を定め、改善効果を維持管理するには、そのプロジェクトが生産工程を対象としたものであれば、やはり、”ベテラン”や”職人”の力は必要不可欠となる。

得てして、若手のリーダーや盲目の上級管理者はここを見逃し、彼らの力を侮っている嫌いがある。データを分析し、統計的な有意性を発見したり、実験などで改善策を導き出したりすることは、一見、華やかなようではあるが、管理フェーズに求められる、「常に同じモノを後工程に提供する」行為に比べると、やはり、見劣りする。

過去に以下のようなプロジェクトがあった。

*   *   *   *

その製品の製造工程では、顧客要求品質が非常に厳しいため、ロットアウトになる製品が生産されることも少なくなかった、いや、許容範囲は存在していた。が、ロットアウトの発生するバラツキが大きく、その安定と廃棄費用の削減を目的に、そのプロジェクトは開始された。

データを分析すると、どうも、作業者に偏りがある。ロットアウトが多い作業者を調べても、作業標準を守り、仕様書の通りに生産しており、全く問題がない。
そうである。ベテランの作業者が”出来すぎている(ロットアウトをほとんど出さない)”ので通常の作業者の場合にロットアウトが多く見えるのである。このベテランの作業者がいなければ、”バラツキ”が少なく見積もられ、問題にならなかったのかもしれない。

プロジェクトは、前工程から供給される材料の物性、その作業者が設定する量産設備の設定、気温、湿度などあらゆるデータを取得した。そして、量産設備にて効果の高い因子を実験計画法により詳細に分析した。

結果・・・3因子間の交互作用が有意であった・・・。

ご存知の方もいるかもしれないが、3因子間の交互作用は「神のみぞ知る領域」であり、さすがに、ベテランの作業者も他の作業者に教えられないはずである。

*   *   *   *

何もベテランや生産現場の作業者を擁護しているわけではない。資本の効率化を進めるうえで、作業を徹底的に標準化し、非正社員化していくのも経営である。が、そのシステム下では、日本では”60点”の製品しか生まれない。結局、廃棄費用やクレーム対応、新製品の納期遅れなど、余分なコストが発生してしまい、一時的には固定費用は削減されるかもしれないが、失った技術、ノウハウは二度と手に入れることは出来ない。

このことは、多くの製造業が中国での生産で経験したことではあるが(*中国での生産が悪いといっているのではなく、単純に生産コストのみに着目し、品質が維持できると算段した経営の問題を言っています)、未だに、テイラー方式という百年前の亡霊に取り付かれている。

結局、彼らのように、当たり前のことを当たり前にやる、ことがなければ、シックスシグマも完結しない。

・・・空気はなくならないと、その有難さを認識できない。

(「シックスシグマ⑳(改善策は管理されるか?)」了)
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