社会人MBA-技術者編

August 9, 2009

日立は再生できるのか!?

その昔、日立に就職が決まれば、教授は「しっかり教育を受けて来い」と教え子を激励し、日立の高い技術力と合わせて、その将来の安泰を喜んだものである。

まさに、「教育の日立」もしくは「技術の日立」とは日立の代名詞でもあったのだ(ちょっと古いか・・・)。

残念ながら、その巨艦は、今まさに沈みかけているのである。その「グループ戦略の転換」を迫られている事態なのである[1]。

連結赤字額 7873億円―(前期において)製造業最大の赤字―衝撃の決算である[4]。

日立のグループ経営の特徴は、自主独立を第一義に置いたものであり、グループの上場企業の多くは、委員会等を設置した企業統治(参考 Wikipedia)を選択している(出資比率は5~7割が多い)。

今回の発表では、「最大2790億円を投じ、その出資比率を全額出資に引き上げるのである*(完全子会社化)。」「「脱・総合家電」を掲げて、社会インフラに注力する方向」である[2]。
*対象は日立マクセルなどの上場5社。

最近では、2002年のパナソニックの動きが記憶に新しい。

このような動きの目的は、例えば、「リチウムイオン電池を日立ビーグルエナジー、日立マクセル、新神戸電機がバラバラに開発したり、また、複数の情報子会社が同じ顧客に個別に営業する(幻の情報3社合併)[2][4]」、などの分散している経営資源を集約することで、重複の不経済を解消することにある。


そう、日立製作所から見れば、中に入れて(子会社化して)、得をしなければならない。


実際、日立製作所が、関連5社の子会社化に関して、今後のビジョンや戦略を発表せずとも、(日立製作所自体の)株価が上昇したりなど、構造改革が好意的に受け入れられるのは、単にリストラによる固定費の削減により利益を捻出することの期待でしかない。

今回の意図はまさにタッチダウン寸前の日立製作所の株価、さらには子会社化により時価を上げることにある。


日立製作所の株価推移(1997/7~2009/7:月足)


このような戦略の転換は、ある意味、今を逃すとそうそうには機会は訪れない。このような動きは大切であるが、今回のキーポイントは、人事も変わらなくてはならないことである。

もともと、「日立や三菱の組織上の問題のひとつとして、最も業績が良い本部の副社長が本社の社長に就任するケースが多く、全体を見渡す訓練を積んだ人物がトップになる仕組みになっていない[5]」。

さらに、今回の子会社化される5社の多くは、日立製作所の天下り先で、子会社化されたといっても、経営的なメリットは少ない。というよりむしろ、日立の統治形態から言えば**、子会社の経営陣は根こそぎリストラであろう。
**委員会等を設置する統治形態(解説はWikipedia)は、基本的に経営陣が多い陣容になる(一委員会に最低3人が必要なので)。子会社化すれば、それはいらない。事業の数だけ取り締まればいい。

また、今回の5社の多くは、子会社化に意味があった企業である。例えば、日立マクセルのようにそもそもの親会社が日東電工であったり、人件費、雇用体系、企業文化が異なるなど、子会社であることに意味がある。

「これらの企業が、日立製作所になれば、組合も同じになり、給料体系の統一などコスト高になり、日立製作所が得することはない。[6]」

簡単な話、今回のような構造改革は固定費用を削減する面が大きく、それが、あまり期待できないとなれば…売上を成長させる方針が必要であるが…


結局、経営の陣容からも、子会社化対象の5社の事業内容からも、日立は、再び、薄型テレビ事業の惨敗を繰り返すかもしれない…のである。


結論から言えば、今回のような子会社化の動きを行なうとすれば、御三家***、特に日立化成クラスを取り込まないと意味がないのである。
***日立御三家:日立金属日立化成工業日立電線(それぞれリンクはWikipedia)


・・・今回の子会社化では日立製作所(子会社にとっても)は得をしないでしょう。


*本日の記事は以下を参考、引用しています。

<参考記事>
[1]「日立、グループ戦略転換、上場5社を完全子会社化、重複解消へ構造改革」, 2009/07/28, 日本経済新聞,11面.
[2]「日立、再建へ『本社集権』、上場5社、完全子会社化を発表、社会インフラに総力。」, 2009/07/29, 日本経済新聞, 3面.
[3]「日立、再建へ『本社集権』――岐路の「日本式連結経営」」, 2009/07/29, 日本経済新聞, 3面.
[4]「日立、上場5社を完全子会社化――古川前社長の“遺産”が導く」, 2009/07/29, 日経産業新聞, 20面.
[5]「KON257 復活の方程式は描けているのか!?~日本の大企業における「トップ人事」の仕組みと問題点~」大前研一, ニュースの視点Blog
[6] 大前研一ライブ#504, 2009/8/9より。



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photo by Maco

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