モジュール化する自動車産業の今後 1/2

2009年11月1日

研究 書籍

t f B! P L
「電池のスペックは、中程度」
「定員4人」
「座席は黒」
「(安全)保障期間は3年」
「車体の色は…あ、これは選べないのか」
「で…価格は50万」
「納車は1週間後」

とPC上で自動車を注文することができる日は近いかもしれない(もちろん、法的な手続きは必要です!)。

あまりにも、電子化が進んだり、これまでの自動車メーカーを中心としたネットワークが変わったり、モジュール化*(記事下の注参照)が進むと、デルのPCのような自動車が誕生してしまう。

路面が発達していない国や地域であると、それに対応した自動車が必要であるが、特に、日本の大都市圏に住んでいれば、自動車をもたなくても十分に生活が可能であるし(子供が小さい時や年寄りを抱えている家族などの場合は必要です)、自動車も所有自体にステータスはなくなりつつある。

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モジュール化-特に自動車産業におけるモジュール化は下に示す文献、書籍で研究されてきた。企業においてモジュール化により享受できることは、これまで実施してきた高品質低価格化をさらに進めることができることである**(記事下の注参照)。

また、燃料系のイノベーションにより、石油由来の燃料から電池由来の燃料への準備が進み、近年、その議論が高まりつつある地球温暖化の対策として燃料移行の大義名分が出来つつある。

いわゆる『自動車産業の終焉』で著されている従来の石油企業へ気を使わなくてもよくなりつつあるのである。

下に示すペーパーや書籍の発表時(大よそ2001年前後)に比して、加速的に制御は電子化が進み、いわゆる技術の担い手は、油まみれの職人から、机上のプログラマーへ変遷している。

また、基幹部分である電池でさえ、日本のナショナル・イノベーションシステムと言われた時代が懐かしいほど、海外での技術が発達している。

これらの発達は、クリステンセンが『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)』指摘するように、(いわゆる巨大企業は)種々の技術などが変遷していくと、その部材を供給するサプライヤー、そしてそれを求める顧客が変わってしまうため、従来の顧客をターゲットにしていては、対応できなくなるのである。


今、ゆっくりではあるが、イノベーションにジレンマが生じはじめているのである(つづく)。


<記事注>
*青木によれば:
「「モジュール」とは、半自律的なサブシステムであって、他の同様なサブシステムと一定のルールに基づいて互いに連結することにより、より複雑なシステムまたはプロセスを構成するものである。そして、一つの複雑なシステムまたはプロセスを一定の連結ルールに基づいて、独立に設計されうる半自律的なサブシステムに分割することを「モジュール化」、ある(連結)ルールの下で独立に設計されうるサブシステム(モジュール)を統合して、複雑なシステムまたはプロセスを構成することを「モジュラリティ」という。」
(『モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質 (経済産業研究所・経済政策レビュー)』, 東洋経済新報社, 2002, pp5-6, )

**武石らの文献(下の文献)では「はじめに」に3つの特徴を記載し、議論の混乱の原因を指摘している。
1.製品開発におけるモジュール化
2.生産のモジュール化
3.企業間システムのモジュール化
のなかで、本記事では主に“2”の場合の色合いが濃い。


<参考文献、書籍>
武石彰, 藤本隆宏, 具承桓, 「自動車産業におけるモジュール化 自動車産業におけるモジュール化:製品・生産・調達システムの複合ヒエラルキー」ITMEディスカッションペーパー No.63 (2001年2月)





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