何を何にどのように変えるのか。

2010年4月4日

書籍 品質はこうして落ちていく

t f B! P L
“ビジネス環境は常に変化している”とのありきたりな台詞・・・本当に、現在は、これまでの仕組みが少しずつではあるが、不気味に、静かに変わってきている。

なんだかんだで、10年、いや15年前と今の仕事の進め方も大きく変わっている(特にIT関連利用)。


昨年から話題になった自動車産業―すっかり、トヨタは以前のソニーに代わって、何かと議題にあがるようになっている。それだけ、影響力があるのであろう。


さて、今後、いや近い将来、2,30年程度の近未来における自動車の主エネルギーは、バッテリーである(ガソリンはいずれ枯渇するorその前には高コストのため採算が合わなくなる)。

そうすれば、自動車メーカーには主導権がなくなり、コンビニ感覚で、街で充電するインフラを考えると、ネックになるのは、家電メーカー(電池製造メーカー)、電力送電企業である(電池だとモーター駆動なのも大きい)。

自動車製造メーカーは今の仕組みでは、単なる自動車組立メーカー(レベル)に成り下がる。これは、利益率の低下を意味する。


このような場合、“今後”を“カイゼン”ベースで考えていくことは難しい。


製品・サービスにおいても、少しの改良の場合もあれば、抜本的な場合もある。製品開発やプロジェクトの経験から言えば:

●少しの改良では5~20%、“カイゼン”である(いわゆる、5%のコスト削減、20%の性能向上など)。
●コスト半減、50%機能向上、などは、カイゼンではなく“戦略を変更”する(プロセスや開発の戦略自体を変更しなくては実現可能性が低いため)。
●抜本的な改革は、カイゼンでも戦略の変更でもなく“ゼロベース”で、行なう(そのシステム自体が問題だからである)。

多くの場合は、ゼロベースで考えるほどの経験はあまりしない。ただ、ゼロベースで考えることが必要な時に、戦略の変更やカイゼンで対処する、また戦略の変更が必要な時にカイゼンで対処する、カイゼンで済むのに他で対処すると:


従業員は疲弊する。


疲弊した従業員からは、顧客満足は生まれない。新たな価値を生まない製品・サービスにしがみつかなければならない経営陣は迷走する。


誰が言ったかに左右され、何を言ったか確かめない。誰が行なったかに終始し、何を行なったのかを議論しない。


組織は創造性を失う。常に責任の所在を探し続ける。


その昔、創造性に富んでいたとされる企業では、組織図を作成すると叱られたそうである。

「こんなものをなぜ作った。誰が今どこで何をしているかなんてものは、次の瞬間に変わる。意味はない。*」


とは、極端かもしれないが、常に変化に対する対応が求められる企業運営において、種々の課題への取り組みは、その企業の様々な面を露呈する。



・・・「何を何にどのように変えるのか**」―この問いを具体的に定義できれば、課題は約60%解決されているといっても過言ではありません。



<関連書籍>
*『盛田昭夫語録』小学館文庫, 1999, p34.
**Robert E. Steinの言葉です。

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