社会人MBA-技術者編

November 28, 2010

“○○(技法)は有効か?”

“○○(技法)は有効か?”

様々な産業、変化の激しい経営環境のなか、よく議論されることである。例えば、製造業であれば、QCに始まり、その詳論、また、経営学の流行に沿ったものであろう。


―クロスファンクショナルなチーム構成が望ましい。
―○○会計がいい。
―○○方式が優れている。


確かに、企業には問題や課題は山積している。不確実な将来への備えを、限られた資源で行わなくてはならない。

だが、これを導入すれば、何とかなるという魔法は存在しない。
(んなことわかってるって!)

なんて、このような文章を見ればそうなのだが、意外に、企業の抱えている問題や課題とソリューションのミスマッチは多い。

また、ソリューションは一つとは限らない。問題、課題毎にあるかもしれない。


一昔前は、当該問題、課題に直面すれば、それに関する知識を探していたが、今は、それも大切ことであるが(ネットで検索もできますし・・・)、最近の課題、問題は複雑であるため、その本質を分析してくれるほうが、歓迎なのである。


・・・探すな、考えろ・・・ですかね。。。


November 24, 2010

「地域活性化における地域イノベーション政策の効果~クラスター政策は開業率を押し上げるか?」, 内閣府 経済社会総合研究所

地域経済の活性化や国内産業の国際競争力を強化するための政策―この内容に関わらず、政策など何らかの施策がどのような効果を発揮したのか、などの検証作業は大切なことであり、例えば、製造業では、“品質管理” として製品・サービスの品質を管理している。

さて、紹介するレポートでは―
地域活性化の成果指標として民営事業所の開業率を用いて、クラスタ―政策(「知的クラスター創成事業」「都市エリア産学官連携事業」)の実施地域と非実施地域で開業率に差があったかどうかについて実証分析を行った。

というもので―

政策実施からの経過時間が長いほどその効果が大きくなっている。

ことを明らかにした。

(ご紹介まで)

<参照元>
○「地域活性化における地域イノベーション政策の効果~クラスター政策は開業率を押し上げるか?
内閣府 経済社会総合研究所, ESRI Discussion Paper Series No.252, 2010年11月

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November 21, 2010

グローバル化、多様化、そして人材

“人材”-それは、多くの組織において、目的達成の成否を決する事柄で、例えば、“リーダーシップ”についても、いまだに多くのことが研究され、その知見は散見される。

歴史を振り返っても、人材の大切さは、武田信玄の「人は石垣*」、中国の歴史では、毛遂を見落としていた平原君の「嚢中(のうちゅう)の錐(きり)**」などは典型的に語られるものである。
* Wikipedia 【武田信玄】、** Wikipedia 【平原君】より。

ヨーロッパに目を転じれば、古代ローマ史の教訓として「人材は欠乏するのではなく、活用するメカニズムが機能しなくなる(趣意)***」と亡国の悲劇を述べている。
*** 塩野七生, 『日本人へ 国家と歴史篇 (文春新書)』, 文藝春秋, 2010, 『ローマ人の物語』を書き終えてより, p26.


また、松下幸之助は“現代人の宿題”として、変貌が激しすぎる日本を憂慮し、その活路として、日本の伝統を活かす「和をもって貴しとなす」の精神性を述べている****。
**** 『日本の活路 (1975年)』, 国際PHP研究所, 1974, pp124-133.


一般論として、グローバル化に対応しなければならない企業には、グローバルな人材が必要なことは言うまでもないが、そのマネジメントは、金太郎飴化した従業員の上に立ってきた、これまた均質な経営陣では困難である。


・・・“和”の構成をどのようにして、人材を活かすのか?今後の大きなテーマです。

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November 17, 2010

「成長戦略産業と日本経済:成長戦略と日本経済」, 経済企画協会

今後の日本の経済において―

「新成長戦略」の基本的な考え方は、長引く経済の停滞から脱却するためには、新たな需要創出と雇用創出の好循環が必要というものである。

このレポートでは、グリーン・イノベーション、ライフ・イノベーションなどの施策を概観している。

予想される規模は、上の2つのイノベーションを合わせて約100兆円の需要創造、300万人強の雇用創造である。


(ご紹介まで)



<参照元>
○「成長戦略産業と日本経済:成長戦略と日本経済
経済企画協会, 2010年10月30日

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November 14, 2010

消費者を代表する声は誰の声か?

企業の会議では、顧客、消費者の声を様々な形で聞くことが出来る。

それは、販売員の足であったり、購買部員のヒアリング、開発員の技術調査から…など多岐にわたる。

ただ、それらは、当該企業の代表的調査結果とは言い難い。また、それらを統合的に分析する従業員も皆無であろう。


その代表的に成りうる調査のひとつが“アンケート”である。

アンケートに関しての勘違いのひとつは、“アンケートの質問構成が誘導的になってはいけない”に過剰反応した“アンケートに意図は持ち込まない”という実施者の思いである。

それは、(当該企業のある製品なのに)まるで国民の意見を聞くような、気高い思いである。

新入社員やマーケティング部門一年生であれば、その思いは必要であろうが、製品・サービスの何かしらを調査する意図で作成するアンケートには余分な思いである。

アンケートには何かしらの意図はある。企業のマーケティング部門や戦略立案部門の調査、仮説の検証に加えて、それらを補足するため、また、経営陣を説得する材料にするためなど。

なので、その構成(アンケート自体)を見れば、大よその当該企業の実施部門の程度が分かってしまう。

多くの調査結果は、統計というより集計である。ある意図や把握したい事柄に有意性があるのかどうかを分析するように設問は設計されなければならない。


また、どのような対象に実施するかも注意が必要である。まさか、ネット上で実施されるアンケートで「あなたはインターネットを利用しますか?」とは尋ねないだろう*。
*何かを特定する場合はあります。例えば、“生命保険契約に関して、インターネット~”など。

多くの企業は、それぞれの製品・サービスに関して、大よそ当該企業の販売エリア全体を代表する地域を持っている。例えば、日本で販売しているABC製品であれば、佐賀県のデータが全体の傾向を示しているなど(佐賀県に深い意味はありません)。

ならば、ABC製品での何かしらのアンケートは、費用面という観点から、佐賀県で行うことが望ましい。


結局、誰に、何を聞いたかを突き詰める作業である。


*  *  *  *

ABC大学でおよそ、2,30年前に学生が決議した項目があった。それは、その当時日本の学生の多くが関心があり、多くの大学でその決議は行われた。現在、その決議を見直したいと、ABC大学在学中の学生が思い始めた―

さて、彼らは、誰にその旨を訴えるだろうか?

あらゆる世代に意見を聞こうと、アンケートをとるよりは、大よそ、その決議見直しに好意的な学生の同年代に実施し、“支持を得ている”と表明したほうがいいだろう、とは想像に難くない。

まさか、世の中で、重要なポストに多い40~50代に同意を求めることはないだろう(そう、その年代がその決議の当事者なのだから)。

*  *  *  *


今日のブログの論調だと、アンケートが出来レースのように思われるかもしれないが、(業種にもよるが)アンケートの結果を、本社のマーケティング部門が過剰に「顧客」「消費者」の代表にしてしまうことも誡めなければならない、との意味合いである。


例え、そうだったとしても、このような調査から得られる顧客の声が100万ドルの価値と言われるのは、製品・サービスの成長期である。付加する機能のアドバイスである。


導入期には、あまり顧客がおらず、それ自体を広げていくことが大切である。自動車で言えば、その乗り物自体の便利さ、経済性を顧客に教育していかなければならない。

成熟期では、顧客の声を統合すれば、(またまた)自動車で言えば、燃費がハイブリッド並みで、ファミリーカー(7人程度は乗れ)、『頭文字D』のようなレースを展開できる性能、いや購入時のローンに関する優待など・・・そう、全体を満たすことは出来ない。


(何だか長くなりましたが。。。お付き合いありがとうございます。)
顧客が企業に何かを教える訳ではない。アンケートは設計するものである(企業の資源は限られている)。


・・・仮に、顧客の声、消費者の声を把握しても、当該企業の利益が上がることには直結してはいない―かもしれませんしね。。。


注)
○ ABC大学の決議は、“大学ミスコンテスト開催”に関する事柄を参考にしていますが、特定の大学、年代を批判するものではありません。
○ 『頭文字D』(:イニシャル・ディー)は、自動車を高速で走行させることを目的とする走り屋の若者たちを描いた作品(by Wikipedia【頭文字D】より)。

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November 10, 2010

「イノベーション創出に向けた新たな科学技術基本計画の策定を求める~科学・技術・イノベーション政策の推進 」,日本経済団体連合会

経済の低迷、少子高齢化の進展、環境・エネルギー問題の深刻化、グローバル競争の激化等、わが国を取り巻く課題は山積している。

との状況の中、報告書では――

グリーン(環境・エネルギー)、ライフ(健康大国戦略)イノベーションの2大分野を重点にイノベーションを創出するなどを挙げ、その司令塔的機能の強化、イノベーション創出の仕組み、人材育成(大学・大学院)、基礎研究力強化などについて述べている。

やはり、10年、20年後を考えると、報告書のなかでも述べられた「理科離れ」が促進する「産業界における必要性と乖離したかたちで衰退が進んでいる『絶滅危惧学科』(p10)」が増加することが懸念される。


私たちが受けてきた教育での悪弊は、“理系、文系”であると思う。例えば、文系である経済学部では、研究が進めば、数学抜きでは研究できない。いや、(研究用の)アンケートひとつを見ても、何気なく作成している(学生も含む)研究者はいないだろう。

*理系が最良というわけではありません。数学が嫌だから文系を選択するなど消極的選択をイメージしています。

この分類って意味が分かりませんものね。


(ご紹介まで)
*報告書では“理系”“文系”は触れていません。理系、文系の記載は、ブログ運営者が勝手に考えたものです。


<参照元>
イノベーション創出に向けた新たな科学技術基本計画の策定を求める~科学・技術・イノベーション政策の推進」,日本経済団体連合会,2010年10月19日

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November 7, 2010

“有意差がない”の周辺

あるチームが、当該課題を解決することを目的に、メンバーを人選し、ことにあたる。

そのチームは、専門的な知識、経験が集合するわけだが、データを収集し、分析を試みた結果、ある問題に対して“有意差がない”場合がある。


メンバーらは、有意性があるにせよ、ないにせよ、課題に対し、「収集すべきデータを収集し、分析を行う」といった当初のタスクは全うしているが、リーダーは、次の方向を示さなければならない。


そこで、考えられることは・・・

おそらく、人選に問題がなく、いくらかの資源も投入している程のチームが行ったのであるので、有意性のある因子を特定できなかったことは、もしかしたら、それで正解かもしれない


そもそも、課題や問題とは、製造業の場合は特にであるが、あるプロセスのアウトプット(ネジの寸法であったり、何かの材料の投入量、注入量であったり)が、管理幅や仕様の幅を超える場合、といった場合が多い。


ならば、もともとの管理幅や仕様の設定が厳しい*のかもしれない。その企業では、何らかの事情により、変更できない仕様や管理幅なのである。
* 年月の経過で、種々の条件(材料など)が変わりこのようなことが起こり得る。


犯人がいない犯人探しのパターンである。


『いや、そうは言ってもそのままでは、何らかの課題や問題は継続して発生するだろう』
とは納得度が高い指摘である。


これは、犯人がいるのに見つかっていない、と想定している。


この対処としては、単純な2つの方向性があり、問題を解決する作用を―
①当該プロジェクト内の範囲で見つけるか
②他のプロセス(プロジェクト範囲外)で作用を加えるか
である。


②の場合はプロジェクトは解散である(当初タスクは全うしたので)。

①の場合、真犯人は、そのプロジェクトの範囲にはいない。いるとすれば、考えられない様な“凡ミス**”である。
** ある計器の単なるスイッチの入れ忘れなど。よくあるのは、測定システムを確立していないなど。例えば、ある部品の納入業者測定値と自社測定値が同じ部品を測定しているはずなのに値が異なるなど。


でなければ、おそらくは、その真犯人の多くは、プロジェクトの範囲の上流に手掛かりがある。これは、伝統的な考え方で、その前の工程に遡っていくものである。

考え方を広げれば、開発設計や研究分野まで考慮にいれなければならない***。
*** 『つくれないのは○○が悪い』と悪意あるオペレーターの丸投げのことではありません。


いずれにせよ、メンバーは課題設定、データ収集、分析とタスクを全うしているが、リーダーは、課題が解決しなくてはならない立場にある。


“有意差なしは、手掛かりなし”ではなく、新たな道を踏み出し易い結果でもある。


ここで大切なことは、リーダーが上司なりに報告する際に、どう報告するのかである。


それは、プロジェクトで使用していた単位を中心にしないことである。つまりは、工場では、歩留まり、稼働率などで、これらを中心にいくら説明しても有意差がなかったのであるから…


さらに、リーダーには実務のほかに、経営、運営面が期待されている。それに応えることができる中心にすべき単位は“お金”である(まぁ~長いフリでの当たり前の話・・・すみません。。。)。


簡単には、当該問題、課題での効果金額に相当する金額の成果を、他の作用で実現できれば、リーダーの上司は納得する(せざるを得ない)。


いや、当該プロジェクトでのデータの収集においても、その収集の仕方や分析のスキームを作業へ落とし込めば、何かしらの価値のある作業となる****。
**** 同じような問題のとき、それがあれば、なにもプロジェクトを結成して・・・のような大そうなことはしなくても、教育された作業者が、そのスキームを実行するだけでいいのであれば、どれだけの金額をセーブできるだろうか。


・・・“有意差がない”の周辺は、結構、自由度が高いもので、リーダーの腕の見せ所です。


photo by Maco

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November 5, 2010

イノベーションレポート―インデックス, 2010(後)

2010年4-9月については以下です。
イノベーションレポート―インデックス, 2010(前)

*  *  *  *  *
○NISTEP REPORT No.144,「第2回全国イノベーション調査
科学技術政策研究所、2010年9月


○「日本企業の競争力低下要因を探る~研究開発の視点からみた問題と課題」, みずほ総合研究所, 2010年9月29日

○「2030年に向けた日本の経済発展戦略:今求められる日本の長期国家戦略」, 野村総合研究所, 2010年10月

○「日本企業は日本を捨てたのか」, 東レ経営研究所, 2010年10月

○「イノベーション創出に向けた新たな科学技術基本計画の策定を求める~科学・技術・イノベーション政策の推進」,日本経済団体連合会,2010年10月19日

○「成長戦略産業と日本経済:成長戦略と日本経済
経済企画協会, 2010年10月30日

○「地域活性化における地域イノベーション政策の効果~クラスター政策は開業率を押し上げるか?
内閣府 経済社会総合研究所, ESRI Discussion Paper Series No.252, 2010年11月

「知の時代の到来」日本再生への提言
経済産業研究所, 2010年11月9日

○「世界から見た日本の姿~グローバル化の反面教師 日本という現実
マーサー ジャパン, 2010年11月12日

○「クラウド時代に求められる大企業の戦略としてのコーポレートベンチャリング
富士通総研, 2010年11月19日

○「プロダクト・イノベーションと経済成長:日本の経験
RIETI Policy Discussion Paper Series 10-P-018
経済産業研究所, 2010年11月

○「イノベーション型IT人材の育成
野村総合研究所, 2010年12月7日

○「2011の注目すべきイノベーション」, 三井物産戦略研究所
2010年12月17日


○「日本企業の研究開発活動から商業化へのラグ構造の分析」, 経済産業研究所
2011年01月 ディスカッションペーパー11-J-002

○「CIOよ、革新性を取り戻せ~空洞化した社内からはイノベーションは生まれない
2011年1月19日, CIO Online

○「イノベーションの重要性」,流通経済研究所
2011年1月18日
-> http://www.dei.or.jp/opinion/column/new.html
-> http://www.dei.or.jp/opinion/column/column_backup.html

○「事業所・企業統計と特許データベースの接続データを用いたイノベーションと企業ダイナミクスの実証研究【ノンテクニカルサマリー】
2011年1月, RIETI Discussion Paper Series 11-J-009
経済産業研究所

○「EUの新しいイノベーション政策~「イノベーション・ユニオン」に含まれるわが国への示唆
2011年2月, みずほ総合研究所

○「新成長戦略実現2011 参考資料集(2011年2月)
2011年2月, 国家戦略室

○「関西景気レポート~企業による研究拠点の集約が示すマザー工場戦略の進行(オープンイノベーションの動きが進めば周辺への波及効果も大)
2011年2月25日, りそな総合研究所

○「日本企業の海外事業展開が日本企業の国際競争力に及ぼす影響及び今後の課題:新しいイノベーションの視点
2011年3月, 国際貿易投資研究所

○「リコールで表面化したトヨタ式カイゼンの限界 ――新しい設計思想への契機へ
2010年2月16日,大前研一の「産業突然死」時代の人生論,日経BPネットより。

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