社会人MBA-技術者編

July 26, 2011

「日本企業の海外事業展開が日本企業の国際競争力に及ぼす影響及び今後の課題:新しいイノベーションの視点 」, 国際貿易投資研究所

日本企業の海外事業展開は、その国際競争力強化と世界市場拡大に寄与する一方で、海外展開に際しての生産システムの標準化が、世界的な「汎用品化」を供給面から促進することを通じて、その国際競争力を毀損すると同時に、アジア企業の国際競争力強化に資するという二面性もある。

日本企業の国際競争力の再生とは?

本レポートで問われる大きな主題である。


・「破壊的イノベーション」は、「持続的イノベーション」が、市場で「過剰品質」を生み出した間隙を縫って、急速に「汎用化(セカンド・ベスト市場化)しつつある」市場に価格競争を持ち込むことになる。
・(例えば、ハイブリッド自動車について)持続的な技術革新の積み重ねの結果、より高性能の、新しい製品コンセプトにいたる「革新的イノベーション」といえる。
・日本企業の海外での研究開発においては、取引相手先の選好の特性を見極めることが極めて重要になる。
・中期的な視点からは、急進的な「革新的イノベーション」と日本的企業固有の持続的・漸進的な「革新的イノベーション」の競争力の融合・組織の融合が必要となる。



(ご参考までに)



<参照元>
○「日本企業の海外事業展開が日本企業の国際競争力に及ぼす影響及び今後の課題:新しいイノベーションの視点
2011年3月, 国際貿易投資研究所
○“イノベーション”の語句についてはこちら

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July 20, 2011

日立製作所―選択と集中

選択と集中”―言うは易いが、実行は難しい。

代表的には、成長性の高い事業を選択し、儲からない事業からは撤退することであるが、別しては、例えば、将来性を鑑み、研究や開発に集中し、それらの案件を精査していくこともそうであろう。

これらの悩みは、一見、事業や研究内容が異なっていても、底流のバックグラウンドが同じであり、撤退することは、将来の資産まで手放してしまう可能性があるなどもあり(結果、競合企業に人材が流れること懸念)、おそらくは、社内での事業に精通しているか*、長年の付き合いのあるコンサルタントでなければ、精査できないだろう。

* 社長の任命プロセスがしっかりしていることも大切である(安易に業績のいい事業部のトップだという理由での任命は、巨大組織での運営にあたることへのライセンスではない)。

この問題を抱える多くは、規模の大きな企業、多くの事業を行っている企業である。


日立製作所は日本最大の総合電機メーカーであり、連結従業員数は約36万人(2010年3月末日時点)に及ぶ**。

** 日立製作所HP「企業情報」より。尚、各種報道機関で報道されているように、パナソニックによるパナソニック電工、三洋電機の完全子会社化、さらに、2012年1月の組織再編を経ると、日立より規模の大きなの巨大企業となる見込みである(が再編に伴う人員削減もあり実際は微妙ですが・・・)。

今、「選択と集中」の絶好のケースが、この巨大企業、日立製作所及びその系列企業である。

一般に、選択と集中を考える企業の悩みは、「コングロマリットディスカウント(多角化、複合化によりシナジーの逆の現象が起きていること)」***である。

*** 「コングロマリットディスカウント」―exBuzzwordsより。
-> http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_1593.html



これに対して、日立製作所は、近年の親子上場の解消など(まだまだ始まったばかりだが)着々と進めている。
(原子力分野は、東芝も同様であるが事業の比率が低いことと原発などの保守・メンテナンスが中心的なので東芝自体を揺るがすことないと思われる。いずれにせよ、日立、東芝のパートナーであるGE、ウェスティングハウスを前に出すのだろうか?)

このクラスの企業の仕事は、ジャック・ウェルチが行った米国のGEの如く、日本でトップ、世界でトップ3の事業を育て、収益を得ていくことである。それができない限り、この母体を維持することが難しい。

母体を維持する実際の数字で言えば、GEやシーメンスなどは営業利益率が5%を越えている(7~10%)。この5%は、多くの日本の電機メーカーの目標であるが、最近は達することが困難になりつつある。

実際、営業利益率5%が達していない企業は、外からは一見利益が上がっているように思うが、内情は火の車である。

・何度も繰り返される希望退職
・コスト削減の前倒し
・脅迫めいた“緊急プロジェクト”

などなど、「貧すれば鈍する」を絵に描いたように経営に品性を欠いてくる。


なので、このような巨大企業でのプロセスは、見込みが薄ければ手放し、グループにとどまるのであれば、成長の見込みのある事業を手がけている、もしくは天下を取らなくてはならない、いずれにしても過酷な競争となる。


・・・現場での技術力、人材を十分に具えている当該企業グループ。だが、まだまだ進めていかなくてはならない選択と集中。世界で戦うことが如何に大変かのお手本です。


<参考、以前の記事など>
「日立は再生できるのか!?」
「日立製作所―社会イノベーション企業へ」
○大前研一ライブ#579

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July 13, 2011

「リコールで表面化したトヨタ式カイゼンの限界 ――新しい設計思想への契機へ」日経BPネットより。

本日は、トヨタのリコールに関するおよそ一年以上前のことを振り返る。参考にする記事は、「トヨタ式カイゼンの限界」についての記事である。

これは、経営上の対応としての一面、技術的側面として、当該技術者とはどのような資質が必要なのか、どう育てるのか、など多くの示唆に富んだ記事である。

以下内容を抜粋する(太字はブログ運営者による)。

  • エンジニアは入社以来、細分化された専門分野ばかりを担当しており、全体を見渡す機会が少ない。
  • 全体を見渡せる人材が育ちにくくなるという弊害
  • 小さな優れたものを積み上げていくというトヨタ式のやり方では、もはや大きな安全は担保できないレベル
  • 複雑系の管理」をするための新たな取り組みが必要
  • (個々の技術者は自分の設計したところで事故が起こることを極端に恐れ、かなり余裕のある安全係数を盛り込むことは、結果的に)
  • トンデモナイ安全係数の積み重ねとなり、コスト高となるが、それで全体の安全が高まるわけではない。不必要な贅肉が付いている分、安全性や機敏な対応性能が低くなることもあるのである。
  • 主任設計者の主任たる理由とは?積み上げ型の思想では対処できない問題にどのような「新たな思想」で取り組むのか?

“設計”という行為は、“研究”、“開発”とは異なり、その主役は「総合」である(研究、開発の主役を“解析”とすれば)*。

設計者の育成は、当該製品の研究分野に明るく、製造過程にも深く入り込み、過去の事故の傾向の把握、そしてシミュレーション、また、販売部門との協働・・・などその業務は多岐にわたり、“一人前”になるまでは10年かかると言われるほどである。

しかしながら、そのような資質をもつ従業員が“主任設計者”という管理も含めた職務の資質があるかどうかはわからない。

全体を把握する従業員、もしくは(極めて人数の少ないコアの)少人数チームが出現する――とは、非常に根気のいる経営事項であり、自動車のような複雑な製品では、もはや無理かもしれない。

ものづくりとは、それほど複雑化している分野もあるのである。それに対応していく新たな設計思想とは、カイゼンではなく、ゼロベースで思考していく中で生まれてくるのであろう。

・・・設計の主役はシンセシス(総合)である。新製品を生み出すエンジニアリングの過程では、解析(アナリシス)も重要だが、製品に関係する多数のパラメータを総合して、全体的な最適化を図る総合がさらに重要である**。



<記事の参照元>
○「リコールで表面化したトヨタ式カイゼンの限界 ――新しい設計思想への契機へ
2010年2月16日,大前研一の「産業突然死」時代の人生論,日経BPネットより。

<引用など>
*)**) いずれも下記の書籍の「第五章 設計の概念」p163 を参考にし記載した。

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July 6, 2011

「関西景気レポート~企業による研究拠点の集約が示すマザー工場戦略の進行(オープンイノベーションの動きが進めば周辺への波及効果も大)」, りそな総合研究所

“マザー工場戦略”――

生産拠点を海外へ移す一方、国内の拠点では、最先端技術の開発や海外社員の教育といった役割を担うこと。

以前からあった概念ではあるが、レポートでは最近の傾向として、「研究開発拠点の集約化」を述べ、この効用として開発のスピードアップを挙げている。そして、オープンなイノベーションを推奨している。


研究拠点や生産拠点を集約化することなど、一見当然のように思えるかもしれないが、意外に似たような製品なのに企業(=系列など)、事業が分散していることは多い(もちろん、分散化している方が効率が高い意思決定もあります)。

この分散化されるほど規模の大きな企業の経営者にとって、集約化はあまり魅力的なタスクではない。

余程、当該企業が追い込まれていれば、大規模な事業の再構築を行なうだろうが、魅力的でないのは、大抵の場合、このタスクの成果を自らの任期の間に見ることは出来ないからである。

大きな投資を伴うし、集約化された中ですぐに従業員の知識・知見が深まるわけでもなく、肝心の事業成績は特別かもしれないが損失を計上してしまう。


とはいうものの、分散化が経営の効率を低下させている要因で大きな割合を占めているのであれば、当該組織に好適な手段を講じなければならないだろう。


(ご参考まで)



<参照元>
○「関西景気レポート~企業による研究拠点の集約が示すマザー工場戦略の進行(オープンイノベーションの動きが進めば周辺への波及効果も大)
2011年2月25日, りそな総合研究所

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