社会人MBA-技術者編

June 7, 2012

全社運動を展開する際に参考になるケース

日本の工場に馴染み深いQC、また近年では、シックスシグマなど、全社的に展開し運営している企業は多い。特に工場を有する企業は尚更である。


多くの生産拠点を有する企業の典型的ジレンマは―
均質な能力が必要だが、変化するための柔軟性も欠かせない(参考書籍p326)」ことである。


このジレンマに対して、書籍では、ナイプロのCEOランクトンについて触れられている。ランクトンはイノベーションを掘り起こすために―

月次財務報告*
各工場へ相互兼任理事を設置**
* 各工場成績をランク付け(内容はランクトンが選定している)
** 他工場のマネジャーやエンジニアが各工場の理事会に名を連ね、情報を工場間へ行き渡らせることが目的。

を実施した。


察しの通り、①、②による効果は、持続的イノベーション("カイゼン"が代表的)が検証・実証されていく。

シックスシグマは、手法の多くはQCに準ずるが、ブラックベルトというリーダーの選抜、また、所属事業所外のプロジェクトを担当することが多い点からは、上記取り組みに近い。


現在では、アニュアルレポートでの投資家へのアピール程度の効果、とは言い過ぎだが、成果の是非は様々である(数学的な手法の価値は減じるものではありませんが・・・)。


これを、「当該企業のプロセス、価値基準に鑑みれば仕方ない」としてしまうのは、パッケージされている手法が古き日本の製造業にとってはあまりに当たり前で親和性が高いため、仮に、当該企業でQC運動が盛んである場合に限り有効な見解ではないだろうか(特にベテランは習得していて)。


となれば、(シックスシグマの教育的成果を除く)財務的効果を享受できなかったと判断した企業においては、その原因を、適用した製品特性に目を向けることも可能である。

製品特性といっても種々あるが、ここではライフサイクルに関することに絞れば、各製品ライフサイクル(導入、成長、成熟、及び衰退)すべてに効果があるわけではない。


ナイプロの話とシックスシグマのカイゼン的要素(特にDMAIC)を鑑みれば、効果を得やすいのは成長期から成熟期前半である。


従って、効果を享受しにくいのは、競争基盤自体が変化していることを示している、という可能性が高く、もし、そうであれば、皮肉にもその見解が最大の成果になってしまう。


組織的にも何らかの運動を展開すれば、何らかのシグナルが入った組織は、エネルギー保存の法則がごとく、何らかのシグナルを発する。


最近、お会いした人の印象的なセリフ―

『○○の関連会社で2年ぐらいシックスシグマをしたが、あんなもの全く役に立たなかった。』



・・・折角、種々の資源を使ったのですから、各プロジェクトを分析してクロージングすることも企業価値を高めますよ。




<参考書籍>
・クレイトン・クリステンセン他, 『イノベーションへの解 利益ある成長に向けて』, 翔泳社, 2003, 「第10章 新成長の創出における上級役員の役割」, pp326-330参照.
* ケースは、持続的、破壊的イノベーションに関する組織、文化、及び上級役員の役割について述べられているもので、本記事の題目が主題になっているものではありません。