燃料電池搭載車が走り出す④-水素貯蔵システム

2013年12月6日

エコカー

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燃料電池搭載車は、水素を動力源とすることから、何かしらの貯蔵の仕組みが必要で、その種類に応じて貯蔵していくことが大事になる。

貯蔵技術においては、「燃料電池自動車や水素燃料自動車の航続距離を伸ばすための車載(オンボード)タイプの水素貯蔵を背景に、よりコンパクトかつ軽量、より低コストで、安全かつ高効率なシステムを得るための開発」が重要である。1)

以下は主な貯蔵方式である1)-3)。

  • 圧縮水素による貯蔵-これは、水素貯蔵方式の主流である。圧縮タンクの高圧化が求められており、5kgの水素をシステム体積および重量がそれぞれ120L、および75kg以下を目標とする70MPa級への検討がある。
    貯蔵容器はにはアルミニウム(6061に代表される6000系[Al-Mg-Si系]、7000系[Al-Zn-Mg系])、CRFP複合容器などが使用されている(ステンレスではSUS316L)。

  • 液体水素による貯蔵-低温の液体水素(沸点:-252.6℃で融点:-259.2℃)を積層真空断熱型液体水素容器を用いて貯蔵する方法。タンク外部からの熱侵入により液体水素がボイルオフする問題と液体水素製造上のコストが問題として挙げられている。

  • 水素貯蔵材料による貯蔵-水素吸蔵合金が代表的で、理論的には、上記より高密度であるが、重量当たりの水素密度は低い。LaNi5系が中心だが、より軽量なLi、Mgをベースとした合金の検討も行われている。
    圧縮水素と組み合わせるシステムの研究も進んでいる。
今後は、「水素をいかに効率よく貯蔵するかと言われており、水素吸蔵合金(容量が大きく大量貯蔵が困難な水素を、コンパクトに常温で安定して貯蔵・放出できる合金)やカーボンナノチューブ(ナノテク素材として近年注目を集めているが、高い水素吸蔵能力をもつことから燃料電池自動車への応用も期待されている。)が注目」されており3)、普及に応じてカイゼンがなされ効率も高くなると思われる。


・・・「安全第一」です。


<本記事の参考>
1) 亀川ら「水素貯蔵技術と高圧科学 水素貯蔵タンクと貯蔵材料」, 高圧力の科学と技術, Vol.17, No.2, 2007, pp173-179.
2) 三石,「水素貯蔵システムの最新技術動向」自動車技術会ホームページ
3) 消防庁ホームページより

<本シリーズの目次>
本記事「燃料電池搭載車が走り出す」目次


<参考サイト>
イノベーションのジレンマ
イノベーションについて


<過去の記事>
発展する携帯型エネルギー、電池:電気製品化する自動車
モジュール化する自動車産業の今後 1/2
モジュール化する自動車産業の今後 2/2

(参考)
*第10章では電気自動車が取り上げられています。


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