50±2gのA,B金属を接合、合計質量は?②(②で終わり)

2009年4月23日

統計解析 有意差あり!

t f B! P L
こんなことがあった(つづき)

ある製品で、10±1 mmの中間体を4つ積み重ねる工程がある。結局は、40mmが狙い値であるが、10±1 mmの中間体は工程能力を満たして生産されており、この時点で、40±2mmなのであるが…。

「最大で44mm(=10×4 + 1×4)の寸法なのだから…(それ以上の寸法があって生産効率は大丈夫か?)」
「最小で36mm(=10×4 - 1×4)の寸法なのだから…(それ以下の寸法があって製品機能は損なわないか?)」


新入社員が話しているような嘘みたいな話だが、実際に起こりうる話である。すでに、10±1 mmが規定の能力で生産されているのだから、いやいや、びっくりするようなエラー率を設定して考えてみる。

10±1 mmが大きめ(11 mm以上)の規格外になる確率を1%とする(とんでもなく大きなエラー率だ)。これが4単位積み重なる確率は、0.01^4で、1億分の1である。

この数字は、この話がでた製品の生産数からすると、2~3年に一回のエラーである。当然、エラー率は1%以下なので、おそらく会社員生活で一度見れたらラッキーな現象である。

実際、規格外の大きな寸法が問題で何かが起こったことは起きたことはなかった*。
*この生産ラインは現在は存在していません。念のため。

日本には、”文系””理系”という悪しき伝統があるが、それに関係なく、大学初年度程度の統計学は必要である。足し算と引き算ぐらいしかできなければ、話にならないからである。これは研究職でも同様で、大学初年度程度の工業数学は必要である。

大上段からの話のようではあるが、そんなに難しい学問ではなく、大きな企業であれば、研修も充実しているし、それがなければ、統計ソフトの大御所企業では必ずセミナーが開催されているので、その程度の期間で学べるものである。


・・・なんでもかんでも「最大」「最小」で話をする人いませんか?それは何かのシグナルかもしれませんね。。。


*誤差伝播は、専門的なものではありません。”理系”で学生の時、実験を履修していた人なら(特に一般の物理学実験)、”測定精度”などでこの概念を学んでいますので、その方に聞いてください。
*インターネットでは大学の”物理実験”のガイダンス的なファイルやサイトで”誤差”に関する記載がよく見られます。


<ビジネスでの統計はこちらが参考になります>




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