破壊的イノベーションは、既存の市場や産業構造を根底から覆す可能性を秘めています。本記事では、破壊的イノベーションの基礎知識を記載し、おすすめの情報源を紹介した後、テスラについて考察しています。破壊的イノベーションを理解し、自社のビジネスに活かすための第一歩を踏み出しましょう。
1分解説動画;破壊的イノベーションとは?
破壊的イノベーションの定義と特徴
破壊的イノベーションとは、一言で言えば、既存の市場や産業構造を根底から覆し、全く新しい価値観やビジネスモデルを創出する革新的な変革のことです。既存の製品やサービスを単に改良するのではなく、全く新しい視点からアプローチし、これまでになかった顧客層やニーズを開拓することが特徴です。
初期段階では、既存の製品やサービスに比べて性能や品質が劣ることもありますが、徐々にその差を縮め、最終的には市場を席巻するほどの大きな影響力を持つようになります。このプロセスにおいて、既存の企業や技術が陳腐化し、新たな企業や技術が台頭することが頻繁に起こります。破壊的イノベーションは、単なる技術革新ではなく、社会や経済全体に大きな変革をもたらす力強い原動力となるのです。
持続的イノベーションとの違い
持続的イノベーションは、既存の製品やサービスを改善し、既存の顧客ニーズに応えることを目的としています。これは、既存の市場構造を維持・強化する方向に働くため、破壊的イノベーションとは対照的です。持続的イノベーションは、一般的に、既存の技術や知識をベースにして行われ、製品の性能向上、効率化、コスト削減などを実現します。既存の顧客にとっては、より高品質で使いやすい製品やサービスが提供されることになります。
しかし、持続的イノベーションだけでは、市場の大きな変化に対応することが難しく、破壊的イノベーションによって市場を席巻される可能性があります。企業は、持続的イノベーションと破壊的イノベーションの両方をバランス良く推進していくことが重要です。
イノベーションのジレンマとは?
イノベーションのジレンマとは、成功している企業が、既存の顧客や市場に最適化された戦略を追求するあまり、破壊的イノベーションの可能性を見落としてしまう現象を指します。既存のビジネスモデルや技術に固執し、新しい技術や市場への投資をためらうことで、結果的に競争力を失ってしまうのです。
破壊的イノベーションは、初期段階では既存の顧客ニーズを満たさないことが多いため、企業は投資の優先順位を低く設定しがちです。しかし、破壊的イノベーションは、長期的に見ると大きな成長の可能性を秘めており、これを見逃すことは企業にとって大きな損失となります。
イノベーションのジレンマを克服するためには、企業は常に新しい技術や市場動向に目を配り、積極的にリスクを取って挑戦していく姿勢が求められます。
*各種参考書籍、サイトは本記事下に記載しています。
設計の視点(コメント)
テスラは破壊的なのでしょうか?
結論:テスラは破壊的イノベーションの理論上は持続的イノベーションだが、その実践と成果は既存産業に破壊的な変化をもたらしていると言えます。*ただ、現時点で破壊的か否かの確定は早計である意見もあります。
詳細を見ていきましょう。
『イノベーションのジレンマ』邦訳版、第10章 破壊的イノベーションのマネジメント、では、ケースとして電気自動車を取りあげており、電気自動車が競争優位に立つために設計段階として以下が留意されています。
- 単純で信頼性が高く、便利
- 製品プラットフォームは低コストで変更できる設計
(最終的な市場とと用途が不明のため) - 価格は低く設定
注)クリステンセンが著書を執筆した段階では90年代ですので、留意ください。
テスラが主戦場とするのは、どちらかというとハイエンドですので、上記の低価格でシンプルなパターンではない、また、最初から主流の用途で使用できている点からも、「既存市場から見放されたセグメントではない」[1] ため、当該理論にはそぐわないとしています。
従って、今後モニターする視点では以下が挙げられます。
- 既存メーカーが電気自動車へ参入しテスラの優位が脅かされるか?
- ハイエンドからの破壊が進んでいくか(大衆路線へ展開されていくか)?
上記の様相を注視し、破壊的な様相を示すか注目です。
次に、ラスボスが存在する議論もあります。
business leaders square wisdomサイトで記載されている電気自動車の用途が、低価格小型EVとして新市場を創造し始めている点[*]、また、ライドシェア、自動運転などモビリティサービスの革新(Maas)により、自動車そのものの概念を変えてしまう点など、テスラの後ろにラスボスが控えている可能性も否定できませんが、現状では破壊的かは未確定です。
[*] 「マイクロEV」を核に都市をつくる 中国地方都市にみる社会システムとしての電気自動車、
各種議論を以下にまとめます。
まとめ
破壊的イノベーションは、既存の市場構造や技術を根本から変える力を持っています。多くの場合、既存企業は持続的なイノベーションに注力するあまり、破壊的イノベーションの兆しを見逃しがちです。しかし、歴史を振り返ると、成功した企業は新たな市場ニーズや技術の変化を敏感に察知し、柔軟に適応してきました。
技術系のテクニカルマネジャーにとって、破壊的イノベーションは特に重要なテーマです。例えば、企業の好調時においても、将来の破壊的イノベーションに備えるための改革の種を蒔くことが求められます。これは、主流事業の成功を持続させるための資源やプロセス、価値基準を変えることが難しい時期であっても、新たな成長機会に取り組む必要があることを示唆しています。
破壊的イノベーションの解説;サイト
・破壊的イノベーションとは? 持続的イノベーションとの違いを実例を使って解説
・破壊的イノベーションとは?事例を交えて解説
・破壊的イノベーションとは?価値観を事業の参考に取り入れる注意点
・破壊的イノベーションと持続的イノベーションの違いは?メリットや事例を解説
・イノベーションとは?意味や企業事例をわかりやすく解説
イノベーションのジレンマ:書籍、雑誌
・クレイトン クリステンセン, 玉田 俊平太(監訳),伊豆原 弓 (翻訳)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版: 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』,翔泳社, 2001.
・玉田 俊平太,『日本のイノベーションのジレンマ 第2版 破壊的イノベーターになるための7つのステップ』, 翔泳社, 2020.
・野村総合研究所 , 滝 雄二朗 , 佐藤仁人, 前田一樹, 向井 肇,『エネルギー業界の破壊的イノベーション』, エネルギーフォーラム; A5版, 2018.
[1] DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2016年9月号, ダイヤモンド社;特集:イノベーションのジレンマ、クリステンセン他, 「破壊的イノベーション理論:発展の歴史」
・Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 06月号, ダイヤモンド社;Feature Articles 破壊的イノベーション
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