社会人MBA-技術者編

March 31, 2010

技術で勝って、ソフトに負ける。

その昔、“テープ”が音源、映像の記録媒体として、使用されていた(一部は現在も使用されています)。


40代前後から上の世代の方は、“VHS”や“ベータ”と聞くと懐かしく思う。そう思う方は、オッサンでありオバハンである(いや、あろう)。U規格など言えば、マニアである(U規格は主に業務用)。
ベータマックス(Wikipedia)
VHS(Wikipedia)、中ごろに規格争い

この当時のこのトピックは、その後の似たような競争でも(例えばDVDなど)、いろいろ言われ、ここから得られる教訓も多い。生き証人もまだまだ健在である。私も直接話を伺ったこともあるが、大よそ一般論としては、次のように収斂するのではないかと思う。


(ソニーが)技術勝って、(当時の松下、ビクターではなく)ソフトに負けた。


技術屋は心情的にソニーに肩入れするが、ビジネスが成り立たなくなれば、技術*は終わる。
*特許等のことは除く。

当時、今で言ういわゆるコンテンツである映画などの市販ソフトを充実させることが、キーファクターだとし、種々の支援を怠らなかったVHS陣営がベータを市場から退場させた。



本質的には似たようなことが、今もあるように思う。



例えば、FeliCa(フェリカ)は、ソニーが開発した非接触ICカード技術方式(SONY公式HP)であり、技術的には優秀である。なんだかんだで、名前は違えど、中身は“FeliCa”というのは多い(ちゃんと制御できている)。


若干ニュアンスは異なるが、電子マネーでトップを取れる機会を失ったのは(部品ではなく)、顧客の使用シーン、ビジネスの性質をもう少し深彫りしていたら・・・と考えると、とてもとても惜しい。


また、iPhone vs グーグル携帯(Android端末)も、結局はユーザー数がモノをいう。それぞれの端末の技術競争なら・・・であるが、iPhoneアプリなど、ソフトに纏わることの方が顧客目線であり、特に、iPhoneアプリの開発者は、収入も想定しているので、ユーザーが多い方がいいに決まっている。


なら、端末をひたすら広げるしかない。企業は(AppleやGoogle)、それ(いわゆるソフトの広がり)を如何に支援するかである、という教訓は、おそらくVHS対ベータのそれと、あまり違いがないと思う。


だが、いくつもの企業の経験を積重ねても、経営陣の考えなければならないことは、〈勝つこと〉より〈負けないこと〉である。


「勝敗は兵家の常」とも言われるが、時に、どうしようもないことが命運を分けることもある。それを曲げれば、当該企業のアイデンティティを損なうので選択しないこともある。


ならば、将来に備えて、その知見を受け継いでいき、学習する組織を築いていけば、その経験は百万ドルの知的財産となる。



・・・技術で負けても、ビジネスで負けなければ問題ありません。




<参考資料>
○伊丹敬之ら編集『企業家精神と戦略 (ケースブック 日本企業の経営行動)』有斐閣,1998,CASE4業界標準と規格戦略。
○週間ポスト2010.02.19号、「ビジネス新大陸の歩き方」より。
高性能技術への飽くなきこだわり・ソニー『ベータ』/Tech総研

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March 28, 2010

QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。④最終

QFD(品質機能展開)TRIZ(発明技法)、及びタグチメソッドは何故簡単に使えないのだろうか?


このシリーズ最後の話はTRIZである。


TRIZの課題は比較的考えやすいもので:
第一に、手法の多さ、複雑さ
第二に、便益享受までの時間の長さ

である。



-----*-----*-----*-----*-----

また、TRIZは、「TRIZをマスターしました。」といえる人は、それを商売にしている人程度で、矛盾解決、将来予測などとにかく手法が多く、自身の用途に応じた部分を習得する程度である。


このことが、習得に時間を要することを著していると思う。結局、ブラックベルトが、さらにどこかでTRIZを習得すれば、この3種の技法―QFD(品質機能展開)、タグチメソッド(実験計画法)、TRIZをマスターしたことになる。


どうして、手法が複雑になるのか?


それは、TRIZは“技術傾向のマイニング”であり、その源泉である特許は何百万件も分析されている。

ほとんどの発明は「誰かがどこかで、似たようなことを実施している」のだから、その傾向は、ある処方箋ごとに分類することが可能になる。とはいうものの、特許の技術自体の種類も膨大なので、技術傾向病院には多くの専門科が設立される。


それが、多くの手法の種類である。
*概要は産業能率大学総合研究所―TRIZが参考になります。


そして、これらの手法一部を習得し、実際に、当該分野で適用していかなければならないことを考えれば、やはり、時間はかかる。優れた手法であることは理解しても、企業は実績主義なので、実績がなければ、導入、継続した手法の実施は行なわないであろう。

コンサルタントは、確かにプロフェッショナルであるが、当該分野のプロフェッショナルではない。当然、共同でのプロジェクトを実施することになるが、多くの企業は、当該企業の情報が漏れることを警戒する(また、この手法以外にも多くの売り込みもある)。


なかなか、進まないものである。



さて、TRIZの今後の焦点で興味深い点は、将来予測技法(TRIZ-DEなど)にその技術価値評価などの価格理論が付与すれば、売り物として完結する点である・・・


が、そう、製造業にお勤めの方は直感的にわかると思うが、特許や技術には一般価格は存在しない


そのような特許の価格評価の研究は行なわれているが、簡単な話、ある技術の特許があるとして、それは、液晶テレビのキーテクノロジーであるとした時、パナソニック、ソニー、サムソン、シャープの開発担当者がはじき出す価値は同じではないことは言うまでもない。


あくまで、一般論的な話にとどまり、それが何の価格を示すかはわからないだろう。


では、ある特定の企業に限り算出するのであればいいのかというと、価値評価の算出は、結局、当該企業の予測から計算するので、絶対値ではないが、種々の選択肢があったり、技術的な成功確率を加味するなど、パラメーターが多く、その価値評価法に熟練した者がいなければならない。


どこまでをどうするかは、企業の提供する製品・サービスの種類、また、当該企業のやり方によるだろうが、少なくとも、「知財マネジメント」という括りでは、価値評価まではセットである。


弁理士の事務所などでは、企業の研究所のごとく、この分野の新たな結合を研究、開発することは、事務員にとっても新鮮な知見を得られるであろう。


そして、企業が、考える理想解(=顧客に提供する価値)の具体的な技術思想を提供し、もしくは、ある技術課題の解決思想を提供し、それらの価値評価(技術課題解決の場合は当該企業が容易に算出できる)を行なうことをセットで行なうならば…


今後、会計基準がIFRSに移行し、研究価値を研究開発者も把握していくことを考えれば、需要が高い。
*その事情はこちらに関連記事「IFRSが与える影響―研究開発



・・・「既存の技術を使って、まったく新しい製品を考え出す知恵があれば、ひとつのインダストリーとして立派に成長する(盛田昭夫)*」

―企業人は“製品”の発明がその責務です。




<関連記事>
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。①
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。②
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。③-1
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。③-2


<関連書籍>
*『盛田昭夫語録』小学館文庫, 1999, p53.

○TRIZに関して
超発明術TRIZシリーズ (1)』日経BP社
*この書籍はシリーズ(6)まであります。
*産業能率大学 総合研究所からも案内がありましたが、現在は絶版です。
*Amazonでも在庫がないようです(2010/2末の時点)。

Darrell Mann著、中川徹監訳『TRIZ 実践と効用 体系的技術革新』創造開発イニシアチブ,2004.
株式会社創造開発イニシアチブのHPより。
*大阪学院大学の中川徹先生が監訳されています(紹介ページはこちら
*「TRIZホームページ」―TRIZは、こういうWeb上で情報交換することの方が一般的で、日本では、中川先生が運営されているページのことです。まずは、このサイトを参考にしてください。
*大手書店で販売されている書籍の多くは、管理者向けで実践できるものではありません(TRIZはとても一冊では説明できない)。
*TRIZ実践者が納得できる数少ない書籍です。


○QFDに関して
QFD3部作はこちらです。



○タグチメソッド(≒実験計画法)について
これについては、日本規格協会からの書籍が自習に適しています。

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March 24, 2010

日本悲観論?楽観論?キーファクターは貧困層か?

財政健全化が急務―報道によると:

国と地方を合わせた政府部門の資産から負債を差し引いた「正味資産」が2009年末に初めてマイナスに転落したもようだ。」と伝えられた[1]。

企業で言えば、債務超過の状態である。90年代前半では、政府の正味資産(土地、株式等の資産から国債、借入金の負債を差し引いたもの)は約350兆円をピークとしていたが、初のマイナスとなる。
*詳細は内閣府、「国民経済計算確報」[2]

記事のバランスシートに「道路」もあるけど・・・、これ売れるのでしょうか?年金に関する隠れ債務は?債務超過はすでにそうだったんじゃ・・・


さて、日本悲観論はさておき、世界を見れば、年間所得が30,000ドル以上(=富裕層)なのは約4億人程度で、約45億人は年間所得が3,000ドル以下であり、BOP(Bottom of the Pyramid)層といわれている*。

*「資本移動と我が国産業競争力 に関する調査研究報告書」(財団法人 国際経済交流財団)、p36辺り。


その中間の年間所得層(3,000~30,000ドル)は11億人であり、これまで代表的に日本企業が得意にしていた富裕層よりは、利益率が劣るものの、今後、新興国を中心に成長する分野である。

BOP層をターゲットにしたビジネスでは、綿棒、バンドエイドなどを一つずつ販売、グラミン銀行(Wikipedia)など、富裕層、中間層とはアプローチがかなり異なっている。

こういったビジネスの事例を多く紹介しているのは、『ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)』(C・K・プラハラード,英治出版)が代表的で、これは、参考になる書籍である。


ただ、日本の企業がこの層へアプローチする際に、変えなければならない発想は、CSR(社会的責任)であり、日本の建前のCSRは通用しない。それは企業戦略が別物であるからである。これを一致させることが、BOP層への大切なアプローチとなる[3]。


・・・そう、Asiaはホットな市場です。まだまだ日本企業は伸びることが出来るのです。



<関連資料>
[1]「政府部門「債務超過」に、09年末、「正味資産」初のマイナス、財政健全化が急務。」日本経済新聞, 1面,2010/02/22.
[2] 内閣府「国民経済計算確報」
[3] 「新興国ビジネス5つの攻略法」,VOICE,2010/3月号.

*BOP層をターゲットにした代表的書籍

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March 21, 2010

専門家に必要な総合力の内訳は、マネジメント力が大部分を占める。

学生の頃、生物系の科目を履修したことがある。その教授は、講義の主題を黒板に書いたまま、その後、ほとんど黒板へは何も書かないことがスタイルであった。

だが、試験は、その講義内容から出題されるため(ノートの持込がOK)、ノートは口述の内容を書き取っていかなくてはならない。まぁ、案外、そうした方が頭には残っているもんで、今で言う講義内容(=講師の資料)をパワポで受け取ってしまうと、なんだか、それだけで安心してしまい、熱は入りにくい。


その教授が、論文審査後のパーティで述べた言葉は、ありきたりであったが今も覚えている。


私達の時代は、専門バカでも通用した。でも、もう通用しない。総合力だ。


実際、パーティに出席した学生のほぼ全員が企業へ就職したので、そういったことを配慮したかもしれない。ありきたりだが、研究一筋の教授が言うと(退官間際であった)、なんだか重みがある。


とはいうものの、広い専門性の習得にはとても多くの時間を要し、現実的ではない。どうしても“浅く広く”になってしまう。


だが、それは、ネットが大きく環境を変化させた。いわゆるビジネスが“カンニングありの正解なし”といった性質が強くなってきたことも背景に、各専門家へのアクセスが一昔前と比較にならないほど簡単になったからである。

さらに、「サイエンス(科学)とは異なりインダストリー(産業)にはクリエイティビティが必要」で、それらは:

①発明・発見を基本としたテクノロジー
②プロダクトのプランニング(開発の方向性)
③マーケティング

である*。


そして、研究行為に目を向けると、R&D(Research & Development)といわれ、何世代かのステップを踏んできたこの概念は、C&D(Connect & Development)に拡大され、“世界のどこかにいるその専門家にアクセスできれば問題がない”状態で、研究や開発行為が進められていくのである。


ここまでくると、総合力というよりは、マネジメント力といってよい。



・・・とはいっても、最初には何か極める=何かの専門家であると言える程の力量は必要です。


<参考資料>
*『盛田昭夫語録 』小学館文庫,1999, pp186-189.を参照。

<関連書籍>

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March 17, 2010

QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。③-2

前回は、実験計画法、タグチメソッドの普及の困難さに:
①統計学の習得の問題
②実験

の二点について述べ、実験計画法の“最適化”についてまで述べた。今日は、その続きである。

―――――*―――――*―――――*―――――

タグチメソッドでは、SN比(バラツキの尺度)、割り付けなど、厳密には一般的なシックスシグマのブラックベルトが習得していない*パラメーターを考慮する。
*ブラックベルトは実験計画法での最適化がメインです。


これは、“最適化”では、プロジェクトの終盤、犯人がすでに見つかっているタイミングで使用する―すでに、次のプロジェクトの準備もはじめることができる段階―。


だが、タグチメソッドは、プロジェクトが始まって少しの段階での使用が可能である**。
**ブラックベルトが習う実験計画法がシミュレーションに不向きであるということではありません。


一般的な製造業においては、歩留まりの悪い“究極の配合”より、ロスの少ない“ロバストな配合”を求める。誰が行なっても、いつでも同じような出来でないと困る場合がほとんどである。


そうすれば、その指標の一つとなるSN比、因子の作用に応じた実験計画(割り付け)が出来れば、もしくは、モックを画面上で作成し、種々のシミュレーションが行なえれば:


コストは安い上に、後工程での資源を極力削減することが出来る。


確かに――

(経験不足からくる)実験結果に対する不安はあるだろう。また、それを補う実験を行うことができない場合も多いだろうが――


いいかげんな“勘”、もはや根拠を失っている“伝統”よりは、格段に信頼度が高い。


しかし、習ったからといってすぐに使用できるものではないし、経験の積み重ねがモノをいう手法でもある。


・・・管理者は、忍耐強く待つしかないようです。



<関連記事>
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。①
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。②
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。③-1


<代表的な統計ソフト>
Minitab
JUSEシリーズ
SPSS


<関連書籍>
○TRIZに関して
超発明術TRIZシリーズ (1)』日経BP社
*この書籍はシリーズ(6)まであります。
*産業能率大学 総合研究所からも案内がありましたが、現在は絶版です。
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*TRIZ実践者が納得できる数少ない書籍です。


○QFDに関して
QFD3部作はこちらです。



○タグチメソッド(≒実験計画法)について
これについては、日本規格協会からの書籍が自習に適しています。

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March 14, 2010

QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。③-1

QFD(品質機能展開)TRIZ(発明技法)、及びタグチメソッドは何故簡単に使えないのだろうか?


今日は、タグチメソッド(実験計画法)についてである。


タグチメソッドでは、まず、実験計画法での分散分析や種々の統計をある程度は理解しないと、あの割り付けやSNの話の凄みが味わえない。


その実験計画法では、一度でも“最適化”してみないと、その手法の便益を享受できない。



3D-CADなどを用いた際に行なうタグチメソッドとの共同作業は、何せモックも組まなくていい(プロトタイプを試作しないなど)、画面上の話なのでトコトンまでシミュレーションを行うことができる。


ここまでくれば、いいことばかりだが、いや、いいことばかりである。


なぜ、簡単に使えないのか?
第一に、QFDと同様、統計学の壁
第二に、実験が必要

である。



-----*-----*-----*-----*-----

第一の統計学は、QFDと同様である。


シックスシグマのブラックベルトは、実験計画法を習得する。実は、このときの研修が最も楽なのであるが・・・それは、実験計画法は「最適化」だからで、その課題に有意な因子は、「最適化」の前の「分析」の段階で因子を把握しているからである(もう、何が原因か因子はわかっている)。


解析のほとんどは、統計解析ソフトの寄与であり、私達はそのアウトプットされた情報の見方、捉え方を習得する程度である。


おそらくは、統計解析ソフトを提供する企業は、セミナーを多く開催しているので、習得の機会は多い。


そう、多くの使用目的は「最適化」であり、犯人は分かっている。あとはその設定だけなのである

おそらくは、統計的概要を把握する、というよりは、ソフトウェアの使用の仕方を習得すれば、多くの場合に使用できるようになる(統計的概要は少々?でもいい)。


近年のソフトウェアの発達により第一の問題は解決されつつある。




何より、数学的には、古くから実証されており、品質工学という分野の確立にも貢献したこの手法が、近年まで、爆発的に普及しなかったのは、この統計計算にある。

それは、一昔前は、実験より、計算に時間がかかったためである(そりゃそうだ)。なにせ、計算機もない時代から、この手法は確立されていたので・・・。


さて、問題は第二の“実験”である。


研究開発者は、まだマシかもしれないが、例えば、生産現場の主任クラスが使用するシーンを想定してみると・・・生産現場で実験はできるのだろうか?みすみす、廃棄する製品を生産するようなものである。


その費用と時間を捻出できるかどうか、また、幾度かは小さな実験を行えるかどうか、いきなりの大実験は不安であろう。


さて、ここまでは、主に、実験計画法と称された“最適化”である。
(つづく)



<関連記事>
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。①
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。②


<代表的な統計ソフト>
Minitab
JUSEシリーズ
SPSS


<関連書籍>
○TRIZに関して
超発明術TRIZシリーズ (1)』日経BP社
*この書籍はシリーズ(6)まであります。
*産業能率大学 総合研究所からも案内がありましたが、現在は絶版です。
*Amazonでも在庫がないようです(2010/2末の時点)。

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株式会社創造開発イニシアチブのHPより。
*大阪学院大学の中川徹先生が監訳されています(紹介ページはこちら
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*TRIZ実践者が納得できる数少ない書籍です。


○QFDに関して
QFD3部作はこちらです。



○タグチメソッド(≒実験計画法)について
これについては、日本規格協会からの書籍が自習に適しています。

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March 10, 2010

QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。②

QFD(品質機能展開)TRIZ(発明技法)、及びタグチメソッドは何故簡単に使えないのだろうか?

本日は、QFDについて述べようと思う。


さすがに、この手法は、60年代から試験的に使用されてきたこともあって、その時代の日本のお家芸であった“コンカレント・エンジニアリング”そのものである。

だから、普及の困難さは、手法そのものと組織的な理由に分類される。


-----*-----*-----*-----*-----

QFDは品質機能展開とよばれ・・・いやいや、要は顧客の要求を、サービス、製品を発信する企業の開発目標やその生産工程にまで落とし込む、マーケットイン型の手法である。

とはいっても、「発明」というよりは「改良」に向いており、ライフサイクルでは成長期での適用が好適である。

*上の表は、統計解析ソフトJUSE-Statに添付されている例で、実際の製品・サービスのものではありません。


さて、なぜ浸透しないのか?
第一に、前回も述べた“数学”の習得の問題
第二に、組織のレベルの問題

がある(と思う)。



-----*-----*-----*-----*-----

第一の数学の習得に関しては、詳細には、QFDは、主成分分析などを行なうと、行列、固有値*の話が出てくることもある。時には、競争参加者を分類するためにクラスター分析も行なわなくてはならない。多くの人は、数学は避けて通りたいものである。ここで、門が狭くなる・・・。
*一般的な統計学では、行列、固有値は含まれていない。固有値・固有ベクトルは大学の初年度で習うことが出来る。


「あぁ・・・結果を教えてくれる?」


と言われることが多い。


が、その結果を簡単に伝えると、「どうしてこうなるの?」と尋ねてくるので、分析根拠を述べ始める・・・簡単に説明しようとするが・・・やはり、行列、固有値は説明しにくい面もある。


やっぱり、わからないものは信用しにくいものである。


これが、次に述べる第二の組織レベルの問題でもある。レベルとは習熟レベルで、長年、企業が培うものなので、今日明日の話ではない。


製造業では、伝統的なQC程度は運用しているか、従業員が習得しているかのレベルでなければ、QFDは現場へ展開できない(管理が出来ていないから)。


販売員、特に、マーケターが「この分析(=ここでは主成分分析、因子分析)は知らない」となれば、顧客からの声は届かない(顧客を分類できなければ、ターゲットは決められないので)。


開発従事者が、QFDを意識しなければ、マーケットと現場を紡ぐことができない。その開発の価値が不明である。





また、この手法は、その特性から、各部が連携をしなければ、成り立たない手法である。そのことは、顧客の声からはじまって、現場までの展開表が作成できることからもよくわかる。


QFDは、サービス・製品が成長期にあるときその威力を発揮するが、その時の組織の学習度合いは成熟していなければ、混乱するばかりなのである。


どうして、ここまで組織、チームについて言及するかと言えば、実際に実践することを想定してみると・・・


まず、顧客の要求を把握する。次に、それを製品・サービスに適用する言語に翻訳する。開発陣はここで機能、機構に展開、また、現場には、部材などに展開していく。生産現場ではどうか?さらに、競合の特徴も入力しなくてはならない。


そう、全体を把握することが、QFDの品質の高低に相関するのである


だから、遂行するチームやメンバーは、企業の計画された教育課程の中に組み込まれていないと、絵に書いた餅なのである。


・・・しかし!QFDの書籍(下参照;水色の表紙のもの)にある、100円ライターの例、是非読んでください。100円ライターでここまで展開表ができるものか・・・と初見でうなったことを覚えています。


<関連記事>
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。①


<関連書籍>
○TRIZに関して
超発明術TRIZシリーズ (1)』日経BP社
*この書籍はシリーズ(6)まであります。
*産業能率大学 総合研究所からも案内がありましたが、現在は絶版です。
*Amazonでも在庫がないようです(2010/2末の時点)。

Darrell Mann著、中川徹監訳『TRIZ 実践と効用 体系的技術革新』創造開発イニシアチブ,2004.
株式会社創造開発イニシアチブのHPより。
*大阪学院大学の中川徹先生が監訳されています(紹介ページはこちら
*「TRIZホームページ」―TRIZは、こういうWeb上で情報交換することの方が一般的で、日本では、中川先生が運営されているページのことです。まずは、このサイトを参考にしてください。
*大手書店で販売されている書籍の多くは、管理者向けで実践できるものではありません(TRIZはとても一冊では説明できない)。
*TRIZ実践者が納得できる数少ない書籍です。


○QFDに関して
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March 7, 2010

QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。①

QFD(品質機能展開)TRIZ(発明技法)、及びタグチメソッドは何故簡単に使えないのだろうか?


簡単に言えば、習得自体に時間がかかることと、習得には、“統計学”が要求されるからである。


確かに、統計解析のソフトウェアの発達は著しいが、その基本である統計学の素養があるのとないのでは・・・やはり、何でも土台はしっかりしているほうが理解も深いし、応用の幅も大きい。


これらの技法を解説する書籍は、入門編が多く、読めば、それぞれの技法を使用すれば、開発・設計で効率的に作業が進むであろう事は把握できる。

大きな企業であれば、階級別教育の中に含まれていることもあり、教育の機会はあることはある。が、卑近な経験からは、これらを習得しているのは、かなり少ない。


どれぐらいの期間が必要か?


シックスシグマのブラックベルトは4~6ヶ月で、実際にプロジェクトを担当しながら研修が進む。上記の手法も同様で、なにかしらのモデルケースは必要である。

さらに、ブラックベルトは、いわゆるDMAICを終了した後、DFSS(design for six sigma)*まで習得していれば、少しの自身の研究で、QFD、タグチメソッドはほぼ使用できるようになる。

*シックスシグマ活動における品質向上アプローチの1つ。製品やサービスを開発・生産・提供するに当たって要求品質が得られるようにするため、製造時ないし使用時の不確定要素に対するロバスト性(頑健性)が高くなるよう、設計を行うことをいう。一般にシックスシグマ(DMAIC)をマスターした組織が実施する。(@IT情報マネジメント用語事典より)


次に、連続して、TRIZのなかの何か(TRIZは手法が多いので)をマスターし始めるとなると・・・ここまでくれば、それは、何ヶ月単位ではないことがわかる。



・・・実践者よりほかに、管理者が“待つ”我慢が出来ません。



今後、若干ですが、それぞれについて述べていきたいと思います。


*これらの手法の習得は、自習もさることながら、セミナーを活用することもいいと思います。大手企業の方はこれらの手法は伝統的に教育講座がありますし、そうでない場合でも、多くの企業がセミナーを実施しています。


<追記>
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。②


<関連書籍>
○TRIZに関して
超発明術TRIZシリーズ (1)』日経BP社
*この書籍はシリーズ(6)まであります。
*産業能率大学 総合研究所からも案内がありましたが、現在は絶版です。
*Amazonでも在庫がないようです(2010/2末の時点)。

Darrell Mann著、中川徹監訳『TRIZ 実践と効用 体系的技術革新』創造開発イニシアチブ,2004.
株式会社創造開発イニシアチブのHPより。
*大阪学院大学の中川徹先生が監訳されています(紹介ページはこちら
*「TRIZホームページ」―TRIZは、こういうWeb上で情報交換することの方が一般的で、日本では、中川先生が運営されているページのことです。まずは、このサイトを参考にしてください。
*大手書店で販売されている書籍の多くは、管理者向けで実践できるものではありません(TRIZはとても一冊では説明できない)。
*TRIZ実践者が納得できる数少ない書籍です。


○QFDに関して
QFD3部作はこちらです。



○タグチメソッド(≒実験計画法)について
これについては、日本規格協会からの書籍が自習に適しています。



あとは、統計解析ソフトを用いての練習も必要です。

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March 3, 2010

『七つの資本主義』『資本主義はニヒリズムか』

資本主義はいくつあるのか?それは何色なのか?

グローバリゼーションが進む企業では、避けては通れない質問である。日本式の「郷に入っては郷に従え」では、やや心細い感がある。

今日の記事は、一般的には、「組織管理」などでよく行なわれる“組織文化”や“多様性のマネジメント”の議論のひとつである。

現代企業における比較経営論のアプローチとして、比較文化的研究調査をもとに:

資本主義は一つではなく、国の数だけ経済システムは存在し、その形態は、それぞれの国や地域における歴史や文化により相違がある。

と、それらのシステムの特色を詳細に著した書籍が、C・ハムデン―ターナーらによる『七つの資本主義―現代企業の比較経営論』(日本経済新聞社)である。


調査は、1986年から1993年のことであるが、当時の日本を知る上で、“日本の競争上の利点”を引用してみる。

日本が堅持している独特の競争上の利点のひとつは、長期的な戦略立案にある。

(中略)日本の文化で非常に重要なのは、世代間サイクルである。年老いて引退したした人々は、代わって新しく昇進してきた者たちに知恵と知識を伝える。

同じような論理が製品についてもあてはまる。製品は市場で成熟し、やがてその売上は低下するが、その過程で次世代の製品にきわめて重要な情報を伝えずにはおかない。

成長と開発のための情報を後の世代にフィードバックするこうしたサイクルを頻繁に群発させることが長期的展望のための必要条件なのだ。

(第7章 同期化、タテ社会、時間より。改行、太字は本ブログ運営者による。)


ちょうど、この頃が日本のピークであっただろうが、うまくいっている時は、うまくいっているように映るものである。

とはいうものの、現代に照らせば、「長期的ビジョンが描けない」ことは逆説的な結果となっている。


最近の金融危機により、資本主義に関する議論は、よく目にするようになっている。そのひとつのキーワードは「ニヒリズム」(Wlipedia)であり、それは“神の死”を連想させる。

それは、おそらく、「ニヒリズムは歴史的必然*」とも言われる現代において、価値規範や道徳観が空位、欠落していることを表しているのであろう。

*『資本主義はニヒリズムか』(佐伯啓思, 三浦雅士(著), 新書館, 2009.)


それを端的に感じるのは“無差別化”であるかもしれない。詳細は専門家に譲るとして、ごく身近な例で言えば、「売上アップのために売上を上げる」など、手段が目的化していることなどがそうである。

いわゆる、利益を上げるのであれば、(お金に名前が書いていないことをいいことに)それは、顧客のものでも、従業員の懐からでも何でもよい。

労働も、作業員A、作業員Bが決められた業務を機械的に行なえばよく、ミスの多い機械は取り替えればいい。

こうなってしまえば、天井(いわゆる目的)がないので、ゴールがない。競争で言えば、レッドオーシャン(Wikipedia)である。


なんとなくではあるが、長期的な視点は欠落していくことはわかる。



・・・抜本的な特効薬はありませんが、現状を把握する上では、当該企業(組織)の歴史を紐解くことは大切です。“シャインの組織文化論**”ではありませんが、「人工物」「価値」「基本的仮定」をもとに議論してみてはどうでしょうか?



**シャインの組織文化論のレベルとしての「人工物」「価値」「基本的仮定」は、書籍でなくとも、こちらのリンクの1~2枚目に丁寧にまとめられています。理由はわかりませんが、シャインの『組織文化とリーダーシップ―リーダーは文化をどう変革するか』(ダイヤモンド社,1989.)がAmazonのマーケットプレイスで異常な高値になっていますので参考までに(本記事執筆時点での話です)。



<参考書籍>




<関連書籍>
*マネジャーの方は一読の価値ありです。

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