「固定費用に対する限界利益を最大化する」スピードと人材が育つスピードのズレ

2011年10月19日

t f B! P L
固定費用に対する限界利益を最大化する

とは、変動費用を抑制すると共に経営陣の大きなテーマで、要は「売上を増やせ」ということでもある。


ただ、金融危機以降からか、80年代からのソフトパワー議論からなのかはわからないが、長期にわたる企業経営を展望し、利益創出には“教育とイノベーションへの投資”というフレーズが最近よく耳にされるようになってきた。


*  *  *  *  *


企業でこれを考えると―
“企業は顧客へ何らかの価値を提供することで利益を享受する”
とすれば、起業家、もしくは既存の企業は、それを実現するための基本理念を定め、操業していき、利益を創出していく。


もちろん、価値を創りだし、届けるには多くの種類、方法があるので、参入者も多い場合もあるが、そこへ集合する従業員は、大よそ、その基本理念を参考にすることが多いだろう。

そして、企業は従業員を組織化し、効率を高めていく。


①基本理念
②組織


企業にとって大切である。これに加え、長期にわたり顧客に価値を提供し続けなければならないことを考慮すると、従業員の教育、育成は欠かすことのできない仕事である。


③教育、育成


製品・サービスなど、提供する価値が異なれば、理念も異なるであろう。同様に、製品・サービスに従い、経営者が効率化する組織形態は国・地域、また外部の経済環境により違ったものになる。従って、①、②は③に比して、外部環境に影響されやすい。


③に関しては、従業員が何かを教授され、習得していく時間―を考えれば、これは、どの産業でも大よそ変わりない。インターネットが出現したからといっても、例えば、ビジネススクールに通いながら公認会計士の学習が行える程の機会は有るが、習得することとは別である。


企業内大学やそれに付随する種々の機関、伝統的教育機関である大学が享受する種々の細分化されたカリキュラム―――現代では、特定の従業員にカスタマイズされた教育は可能となっている。


こういった教育費用がどれだけの利益を生むか?


少し前では、研究開発費用がどれほどの利益を生むか?で議論され、これには、一般論的な方程式はないものの、製品・サービス毎に各企業内での財務情報を加味すれば、そのリスクに応じて、コストアプローチからリアルオプション(無形資産の価値評価)など、価値を算出することで、大よその意思決定を支援することはできる。

とはいうものの、教育により変動費を削減する効率化を実現することもあるため、単純に費目の「教育費」と「営業利益」や「売上高」などの比率でそれを測定することは大雑把過ぎる。


もちろん、グローバル化は、のしかかる固定費用を償却する源泉として市場を拡大することでもあるが、負の側面として、企業が中心化した方針によっては、もしくは、本社の動き次第では、現地発のブランド価値毀損を招いてしまうことも少なくない。


種々の事柄が速く進んでも、教育、育成の進むスピードは他のそれよりも高速化はされないため、どこかでシステムの構造が歪んでしまう。


結局、人材の育つスピードでしか、事業は拡大できない。アウトソースすることも可能であるが、企業文化を共有しにくいデメリットもある。


・・・実は、グローバル化においての最大の投資先は人的資源に対してであり、当たり前過ぎて見逃されることが多いようです。

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