今日はアップルに関する記事である。
古くから、アップルはイノベーションの議論によく登場する。それは、IBMのメインフレームに始まり、アップルのデスクトップコンピュータが登場する頃から、現在のスマートフォンに至るまで様々である。
さて、顧客に価値を届ける際、製品の構成要素において、統合的か非統合的か?の議論は、言い方は荒いが、相互依存型か?モジュール型か?、また内製?外注?などがその的となる。
現在のスマートフォンにおいてのこの構図は、アップルvsグーグルがその典型的である。
* 以下この記事では、相互依存的(統合型企業;いわゆる内製、バリューチェーンにおいても自らが行う領域が広い)、モジュール式(非統合型)という言葉で進めます。
相互依存的かモジュール式か?
それは、クリステンセンによれば、「顧客にとって製品の性能が十分でないか、十分であるか」が分かれ目であり、前者(性能が十分でない)の場合は、相互依存的に、後者(十分である)の場合に専門化、特化(いわゆるモジュール化に近い)というのが有利である、ことを述べている[1]。
モジュール化が進めば、いわゆる当該製品設計の自由度は低くなることも影響して、相互依存的な場合の方が、製品の性能は高い。
だが、モジュール化が進んだ製品の性能が、顧客が望む性能を超えていたら(性能過剰)、相互依存的な場合より柔軟性が高いため、顧客には有益である。
逆に、当該製品の性能が顧客にとって不満であれば(性能ギャップが存在する)、相互依存的な方が有利である。
スマートフォンはどうであろうか?(でるか!?G-phone?)
もちろん、上で述べた“性能”について、それを指定したり、測定したり、予測することは難事であるが、こういう指定、測定、予測が当事者において出来るようになってくることは、モジュール化を後押しする。
議論になる点は―
「アップルが『OSからハードウエア、通信業者までをすべてバンドルした製品を売る』という従来路線[2]」
をどうするかである。スマートフォン(iPhone)の爆発的な普及とは、マジョリティを手にしたことであり、これは、多くの顧客は製品の機能、信頼性に満足している状態でもあるため、上で述べた「性能過剰」な状態はすぐに訪れる。
クリステンセンが述べるイノベーションの形態の考察からは、幾分かでもクローズからオープンにした方がいいかもしれない。
* グーグルによるモトローラ・モビリティの買収は、グーグルを相互依存的に進める(垂直統合的)が、アップルの形態も考えると、もし仮に、現在の相互依存度が妥当なものであるとすれば(これは今はわからないが)、彼らは、顧客にまだ不満を感じさせている、と考えている。
その(顧客が)満足していない性能とは、何なのか特定は出来ないが、現在の端末の先にあるのは、端末のPC化で、ちょっとした出先での持て余す時間に以前自宅でダウンロードした映画、音楽、また撮影した写真などを端末で見たり、聞いたりなど、時間と場所を選ばない利便性が生まれる、というものであろう。もしそうであれば、詰まるところ、テレビを食う(テレビを見る時間が減るので)。
が、まだまだ始まったばかりのこの競争軸。どこが残るのかはわかりません。
・・・ Stay hungry, Stay foolish・・・
<参考>
[1] 『イノベーションへの解 利益ある成長に向けて』, 第五章 事業範囲を適切に定める、に詳しい。
[2] 大前研一「産業突然死」時代の人生論―ジョブズ氏の強烈な思い出、アップルの今後とるべき道
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