QCにおけるT≠CW―経営管理とは?

2012年3月21日

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TQC(=Total Quality Control)は、米国のファイゲンバウム(当時GE)が使用したもので、米国品質管理協会誌(Industrial Quality Control)の1957年5月号に論文を発表している。

「TQCとは、消費者を完全に満足させるということを考慮して、もっとも経済的な水準で生産し、サービスできるように、組織内の各グループが、品質の開発・維持・改良の努力を総合するための効果的なシステムである」

つまりは、企業のビジネスシステム全体で、その品質を総合的に管理する、というシステムで、「経営管理」のひとつである。

日本で普及していたTQCは、CWQC(Company- Wide Quality Contorol=全社的品質管理)であり、①全部門参加、②全員参加が主な特徴である。

従って、米国で展開されていたTQCにあって、日本版TQCにないものは、マーケット・リサーチ(MR)の概念である。


photo by Maco

とはいえ、日本の製造業の発展が示すように、TQCは大きな貢献を果たしてきた。

こういった成功体験が盲信となってデメリットを生んでしまうことがあるが、いくつか列挙する。


「全員が合理的に考えるようになるため、金太郎飴のような画一的集団になり、まったく新しいものを創造するという発想には効果的でない」
「TQCが水戸黄門の葵の御紋のような威力を持ち、『お上のこれが見えないのか』とばかりにTQCを押し付けられ、それを批判するのはタブーで、TQCをやらない者はこの会社では除け者のとなった」
「かけがえのない人材の流出が続き、職場環境は荒廃し、企業改革自体が尻すぼみに終わった」
「やらせ、ごまかし、デッチ上げのQC」
「TQC指導会は単なる吊るし上げ」


など、顧客に高品質を効率よく届けるはずのマネジメントが、単に当該企業に導入できればいいという、おおよそ手段が目的化してしまうことが遠因となっている。


そういった企業の多くでは「先生」と呼ばれるコンサルタントが指導するが、あるコンサルティング企業のトップが苦々しく「あぁいう存在は・・・」と語ったのは、クライアントの経営に責任を持たない点をよく思っていないからである。



・・・TQCといえども経営管理のひとつです。




<参考文献>
・徳丸壮谷, 『日本的経営の興亡―TQCはわれわれに何をもたらしたのか』, ダイヤモンド社, 1999.

<関連サイト>
QC, TQC、そしてTQM―QC, TQCの概要と功罪

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