企業にはその企業にしかないアイデンティティがある。時には、偏狭になることもあるが、そのアイデンティティに惹かれ優秀な人材が活躍することもある。製品やサービスにはその企業の特色を感じ取ることも出来る。
企業に守るものがあるとすれば、言うまでもなく、株主、顧客、従業員である。ある時代、長時間労働や企業に生活をささげることが美徳とされていたが、グローバルに事業を展開している企業にとってはそれは醜徳でしかない。
また、企業がそのような株主や顧客を満足させるために、そのような教育を従業員に実施しているのであれば、企業の精神は死んでいると言えよう。
企業の精神は大抵の場合、経営方針などで表明されている。企業の目指すべきもの、現実的なもの様々であるが、建前であることが多い。
企業の精神は倫理といっても良い。
企業倫理に関するアンケートでは、企業不祥事の発生要因のなかで、行き過ぎた業績至上主義が要因の第一である。
「行き過ぎた業績至上主義が結局は経営者・社員を極限の経営行動へと駆り立て、非倫理的な行動となって不祥事を生む」のである*。
かつて、ドラッカーはエンジェルでも利益を創出しなければならないと言ったが、デビルよりマシである。
・・・企業が乱れるのは、第一に企業倫理が乱れるからである。企業倫理が乱れるが故に、従業員が乱れ、結果的に株主、顧客を含めたすべてを乱すのである。
<参考>
*日本経営倫理学会監修、水谷雅一編著、『経営倫理』同文舘出版、2003、p76 企業不祥事の要因に関するアンケート結果より。
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