研究開発のアーリーステージでは何が重要か?

2007年4月15日

研究

t f B! P L
研究開発に携わると、つい、研究テーマに目を向けてしまうが、企業で研究開発を行なう際、重要なことは、財務価値の算定である。
あくまで算定である。

長期的なスパンであれ、短期的なスパンであれ、選択する戦略は企業の自由である。一概に評価の高い順に選択することは選択の一つであるが、絶対ではない。

これらは従来、正味現在価値を求めることで行なわれてきたが、実施する期日が設定されており、柔軟性に欠けるという欠点も有している。が、成熟期に入るまではその欠点は問題にはならなかった。

そういった中、リアルオプション法が着目され、製薬企業などでは取り入れはじめられ、成果が出始めてきた。

問題は、電機などのように移り変わりが激しい業界である。なにせ、来年、再来年の話ばかりである。長期的スパンなど神のみぞ知る領域に近い。はたして、R&Dで使用されるコール・オプションの因子が決定できるのだろうか?そもそも、金融工学のこの分野に明るい企業人はいるのだろうか?

そんななか、ティモシーは、企業実務家でも使用できるフレームを用意している。
要は、NPVqを求め(現在価値を行使価格の現在価値で割ったもの:qはトービンのqの考え方に近い)、ブラックショールズ式で使用するボラティティと期間を収益率の分散と期間で読み替え(σ√t)、算定するというものである。

・・・価値算定にはシナリオが重要であるが、その失敗確率を減らすには、最初のフェーズで種々の面からしっかり議論されているかが重要である。

<参考文献>
Timothy A. Luehrman, 吉村信昭訳,「事業価値評価の新手法 リアル・オプション(Investment Opportunities as Real Options: Getting Started on the Numbers)
」, ハーバードビジネス, pp94-111, Dec-Jan. 1999, ダイヤモンド社(Harvard Business Review, July-August 1998)

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エンジニアの視点から、品質技法、解析技術、生成AIについて発信しています。 (シックスシグマ・ブラックベルト、MBA)

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