“商圏”といえば・・・当該地域や周辺地域にどれぐらいの人口で、その人達の収入はどれぐらいか―それがその地域の財布である。
確かに、イオンモールの業績は好調であったが、「イオン全体としては、郊外店が大き過ぎて(地域の財布より)、ダイエー化が懸念されている[1][3]。」
アウトレットも「非日常体験、安・近・短レジャーを楽しむ人々に受けており[2]」、好調さをうかがわせるが、実際のところ、「お目当ての商品だけ買って、あとはひたすらモールの中を歩いている[3]」。
今や、百貨店の売上を越えたコンビニではあるが、消費低迷に悩み、代表格であるセブン―イレブンは「値引き販売に揺れている[4]」。
要は、いずれも飽和状態で“地域の財布”を超え始めている、ということである。
経営がどうのこうのいうのはこれからで、やはり、王道は新たな“価値”を顧客に提供することで、“価格”を下げることや、手っ取り早い人件費の削減ではない、ということは以前述べたことがある(前年比100を超えることは簡単ではなくなった。 )。
さて、製造業から見れば、アウトレットの形態(流通の)にもよるが、型落ち商品であれ、箱の中身は検査OKで外装がNGな商品であれ、在庫(や場合によっては廃棄)になるよりはマシではあるが、当たり前の話、目玉商品はそんなに供給できない。
郊外大型店やそれに付随する小売であれ、「お堅い商売を展開する、ヤマダ電機[3]」など、【プライベートブランドを展開することで、製造業の研究開発費用や物流費を低減し価格に反映させている】という理由で、(その小売よりマーケティング本部が充実し、国内に流通網を有する)メーカーを圧迫する一部の格安商品の販売や単なる値下げの要求による販売等は、製造業においては、より安く製造する工夫をし始めなければならなくなる。
*このくだりは特定の業者を批判するものではなく、単に“価格”にしか価値を見出さない経営思想を表現したものです。ご了承ください。
それは、単に日本で製造しないことでしかない。そうでなければ、高品質品ではない製品の提供である。いや、『品質はナショナルブランドと同じである』というのであれば、単にメーカーが泣いているだけである。
多くの場合、地域の財布の大きさを越えた過剰な状態を脱するのは―新たな価値に財布の紐を緩ませるものは―従来の枠外からのアイデアなどがイノベーションの源泉であることが多い。
その価値は、―顧客ターゲットの設定が甘かった[5]―顧客とマッチしない結果となった【イオンモールへ三越が入ること】ではなかった(ひとつのトライ、実験としては良質な知見が得られたのではあるが)。
安売りによる顧客の基準価値は“価格”なのであって、店の暖簾やブランドに忠誠心はない。明日、○○スーパーが10%引きなら・・・。
・・・価格を下げる行為は魔法のように顧客を引き付けるかもしれないが、その後、如何に価値を高める行為を行なっても、顧客の頭の中の“あそこは安い”というイメージを覆すことはできないだろう。
<関連記事>
○「だれに」「なにを」「どうやって」
○前年比100を超えることは簡単ではなくなった。
<参考記事>
[1]「イオングループ15社、7社減益、3社赤字に、前期経常、衣料専門店落ち込む。」,2009/04/07, 日本経済新聞, 14面.
[2]「チェルシージャパン社長吉村俊秀氏――「安売り屋」と言わせない(トップの戦略)」,2009/08/16, 日経流通新聞, 3面.
[3]「横浜、御殿場、軽井沢・・・高速利用で行列ができる「アウトレット」人気の落とし穴 」,週間ポスト, 2009/8/21,28合併号, pp74-75.
[4]「セブン、加盟店に指針説明、広がるかコンビニ値引き――損失、店側が「自腹」」,2009/08/07, 日経流通新聞, 1面.
[5]「三越名取店閉鎖、団塊・ジュニアに照準甘く、仙台店と顧客争奪、相乗効果生み出せず。」, 2008/09/26, 日本経済新聞 地方経済面 (東北A), 2面.
photo by Maco
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