“イノベーション”――そもそもの語源からは、「何かを新しくすること」であり、基本的な概念は「変化すること」である。(参照 イノベーション)
どちらかというと静的というより動的な感じである。これがマネジメントを困難にしているひとつかもしれない。
これまで、伝統的製造業では、特に日本型企業においては、加工貿易立国の一員として多くの成功を収めてきた。つづく円高、株価安、通貨危機に伴う余波なども乗り越えてきた。
顧客に提供する価値を高めつつ、変動費用を削減していく技術を研ぎ澄まし、高品質低価格製品とともに“カイゼン”という用語までも輸出した。
蓄積する知識は数知れず―
・・・だが、近年はこの経済環境を如何に乗り切るか、百家争鳴であろう。
従来は、従業員の地道なカイゼンが実を結んできた結果が、直接的に経営成果に結びついていた面が大きかったが、その戦術面(手法など)を過度に焦点をあて、手っ取り早く結論を得ようとする安易さが目立ち始める。
ある戦術(手法など)を紹介するインストラクターは、その数だけ、「この方法が経営成果に結びつきます」と言うだろう。
やがて、当該企業のなかで、戦術がインフレーションし、本来は、あるシステム化で共存するような手技・手法がうまく機能せず、トップ集団の意思決定は困難を極めてくる。
顧客に価値を提供することを中心に据えなくなっている状況は、競争のための競争を誘発し、新たに価値を生みにくい状況をつくってしまう。新結合(イノベーション)は減速する。
その昔―
モノづくりでは、ある製品の機能を高めていく技術Xが、財務指標に対して感度が高いものであった。外部環境も成長モード、変動費削減はお家芸であった。
現在、その技術Xは、研究や開発の機能にあるというより、分散化されつつあり、ある価値(機能・サービスなど)を顧客に届け、利益を創出する仕組みを設計していくこと自体の技術がそうなってきている。
その中で企業は何かの機能を徹底的に磨くしかない。画一的な能力の集合体より、バラエティに富んだ人的資源を獲得していくことである。
ソロー(Wikipedia)のいう「技術変化」とは、生産関数をシフトさせうる要因であり、それは、現代ではニュアンス的には“イノベーション”であろう。
・・・顧客のために価値を。成長のために変化を。利益のために設計を。
*文末のソローのくだり
・玉田俊平太, 『産学連携イノベーション―日本特許データによる実証分析』,関西学院大学出版会, 2010, 第1章を参考。
*「事業システム」と言う観点で参考になる書籍
・加護野忠男他,『事業システム戦略―事業の仕組みと競争優位』,有斐閣
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