テクニカルマネジャーの役割 2/2

2011年11月30日

t f B! P L

(通常のマネジャーは一般管理に加えて技術論にも長じていなければならない時代になっている、ということを踏まえて)
とはいうものの、単に、技術担当マネジャーとすれば、当該技術周辺に詳しいだけの存在になりかねない。業者に顔がきく程度の存在であれば、そのポストは必要ない。



当該技術(周辺技術)、特許、研究機関に詳しいベテランやテクニカルマネジャーの役割は、当該製品が絶好調の時に、いずれくる破壊的イノベーターに対抗しうるため、改革の種を蒔くことである


そこは、クリステンセンも指摘するように、主流事業の好調時は、「成功を持続させるための必要な資源やプロセス、価値基準を変えるわけにはいかない時期[2]」でもある。

しかしながら、「新成長事業構築の機会に取り組むのもこの時期[2]」なのである。

その方法論の一つを技術面から論じれば、中核事業を脅かす、いや、陳腐化する技術、製品の在り方(新たな顧客探索)、事業の仕組み、など、破壊的な側面を研究し、表明していくことである。


一般管理のマネジャーは当該事業での一般管理に専心している。組織的には、このようなことが出来るのは、テクニカルマネジャーでなければならない*。

* [2]では、チャールズ・オライリーの研究を参考に、事業の持続的成長を支えることに加え、破壊的イノベーションでの闘争に具える「両手ききの組織」の構築を紹介している。


だが、実際の現場では、そんな人材を育てる余裕はないだろう。ある意味、事業が好調な時に始めることは、リソースの面からもその時しかないのは皮肉なものであるが・・・。


もちろん、組織や機構がビジネスを運営するわけではない。ただ、マネジャーは事業が好調であっても、当該事業を陳腐化する技術、サービス、また、(生まれてくる)成長事業に適したマネジャー候補、教育などを考察していくことは大切なことである。


そう、好調時に当該事業の誰もが真剣には取り組みにくいこのテーマに取り組まなくてはならないのである。


そういった意味では、テクニカルマネジャーの連携すべきは、ジェネラルマネジャーの様な当該事業に関係するサプライヤーなどの関連組織、機構ではなく、人事部であろう。


・・・既存のプロセスは、既存の事業のためにある。新たな事業には新たな価値基準に基づいたプロセス、リーダーが必要である故、将来を鑑みた教育を施せるのは、人事部との連携なのである。


<参考書籍>
[1] 盛田昭夫研究会編, 『盛田昭夫語録』, 小学館文庫, 1999, pp110-114.
[2] クレイトン・クリステンセン他, 『イノベーションへの解 利益ある成長に向けて』, 翔泳社, 2003, 第7章 破壊的成長能力を持つ組織とは, より。


*2024年2月 一部改編

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