「さらば工学部」日経ビジネス 2008.8.18号pp24-42より

2008年8月27日

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テクノロジー・・・日本がグローバルに展開できる経済活動のキーワードである。記事から読み取れることは、今後日本は二重の痛手を負うことである。

官製不況(Wikipedia)とも言われている”失われた”状態に日本が陥るも、企業は、この間の円高、アジア通貨危機、最安値の株価などの逆境を生き抜き現在に至っている。

経済は、人口動態に左右されるので、今後の日本において、テクノロジーの担い手は減少していく。これは、ある程度先が読めるものである(が痛手には違いない)。

これに加え、
「「ゆとり教育」の影響か、日本を代表する大学の例年レベルで行われる定期試験において、驚くほどの不合格率が記録された、そればかりではなく、入試問題自体すら大幅にやさしくしている(pp26-27趣意)。」

当然、大学での研究活動に影響が出てしまう。企業においても、研究、開発分野でリードしなければならない分野において、芳しくない状況であるといえる。

二重の痛手である。

確かに、工学部への不人気は、失われた期間における企業の経営が、節操のない”リストラ”により、暗い影を落とした影響もある。また、金融業界の人気の高まりから、企業のセレクションで製造業が選択されない面もある。

しかしながら、その当時の、いわゆる大人の施策群は、子供には関係ない。


私は学生の頃、理学系の大学院で研究した。その後、メーカーに入社し、再び経営系の大学院へ入学し学んだ。自身が行ったからというわけではないが、将来的にMBAやそれに近いキャリアを積みたいのであれば、まず、理学、工学、医学分野へ入学することが望ましいと思っている。

潰しが利くのである。

欧米のMBAでは(欧米出身のMBAコースの学生は)、理学、工学、医学出身者が多くを占めている(リベラル・アーツはおいといて)。

経営や経済分野が、それに比べ簡単である、という訳ではなく、理学、工学分野で言えば(医学は記載するほど学習過程に詳しくありません・・・)、その分野の習得には、学部時代から、実験を通じた研究作業を伴うことがほとんどで、経営、経済分野に比べて、机上で出来ることが少ないからである。

だから、人文系出身者が、しばらくの業務期間を経て、理工学系大学院へ進学する、という(上の記述と)逆の構図は成り立ちにくい。

どのみち、ビジネスでは問題解決にサイエンス的な思考が必要になるのであるし、ある程度年齢を重ねてから数字に強くなること、センスが磨かれることは非常に考えにくいので、若いときに訓練しておくのも、ありかなとは思う。いくら、ソフトウェアやPCが発達し、計算処理能力が飛躍的に上昇したといえ、数学が出来なければ、使いこなすことは出来ない。

訓練していなければ、驚くほど、数字を多面的に見れない。技術者の示す数字、いや、マーケッターの示すことさえ、一面的にしか捕らえることができない。例えば・・・
なんでもかんでも「前年比○○%」
なんでもかんでも「平均値」
など有意性の議論すらない。。。

・・・エンジニアも含め、今後の労働者の頭脳は総合大学化していく。

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