氷山の一角

2009年3月25日

有意差あり!

t f B! P L
氷山の一角・・・多くの不具合、エラーなどは、その背景に多額のコストを有している。

例えば、工場での不良はその材料費はもとより、固定費、変動費・・・もし、クレームが起これば(実際に起こっていたら)、そのトラブルシュートにかかる費用(出張費、分析費用等)などである。

”氷山の一角”をあることをうまく表現しているのは下図である。シックスシグマでは財務指標として用いられるものであり、この概念をCOPQと呼んでいる。

経営陣やマネジャーは常に”お金”で考えることが習慣になっているため、この概念を理解しやすい。

*[1]を参考に筆者作成。

組織に新たな概念を導入する際には、必ずコンフリクトが起こるものであるが、この概念で苦労するのは、研究員や開発設計員である。

なぜなら、「研究、開発行為は博打である」ことを理解されにくいからある*。
*次の実験が成功するかどうかは誰もわからない。


●金銭面から言えば:
研究員や開発設計員が”効果金額”を算出するというのは、もはや、その行為自体が”経営行為”である。私はそのようなプロジェクトの投資意思決定に関して、技術価値評価を行なうことでひとつの解決策になる、という研究をビジネススクールで行なったが。。。逆に言えば、研究になるほどである。

●研究開発行為自体から言えば:
あるひとつの仕様を決定するまでには、それは多くの実験や確認が積み重なり、結果を得る。時にそれらは、無駄に終わることがある(研究開発者にとっては仮説検証のプロセスなので無駄ではないが・・・)。



工場での無駄は、COPQの概念図に示されるように、目に見えるディフェクトは”氷山の一角”であるが、その上流の研究開発行為においては、研究成果や出来上がった仕様はいくつもの仮説検証の結果なのである。


一見、当たり前のように思われることも、現場ではこの基本を見失うことがあり、成功する方法(不良を出さない製造方法、機能向上の研究開発結果など)ばかり追っかけてしまう。時には、どうすれば不具合が起きるのか、の実験も必要である。


・・・結局、工場での不良や研究開発での実験(や仮説検証)は、成功できなかった方法を教えてくれているだけなのであり、成功するためには積み上げなければならない失敗である。



<参考>
[1](図の出所)de Feo,J., Bar-El,Z.,"Creating strategic change more efficiently with a new Design for Six Sigma process", Journal of Change Management, 3, pp60-80, 2002.


photo by Maco
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