『できてしまう』ことと『できたことの方向性』2/2

2009年10月1日

書籍 有意差あり!

t f B! P L
『できてしまった』製品やサービスは、いったい誰がその方向性を決めている、導いているのだろうか。

ユーザーという1つのクラスは、ニーズや利用状況について、自分が保有する情報に大きく依存したイノベーションを開発しがちであることを意味している。同様に、メーカーというもうひとつのクラスは、自社が専門性を発揮できるようなソリューション情報に強く依存したイノベーションを開発する傾向にある。[2]

とは、ユーザー側の内容である。

企業の現場では…
企業の開発チームで言えば、いわゆる“優秀”な人を集めたから開発が成功するというよりは、(結果的に成功したのであれば)課題解決要因の専門家がいたか、連携していく(=専門情報に強く依存)ことが成功の確率を高めていくとも言える。

専門家集団が決めているのだろうか?
いや、凡庸な研究開発陣であっても、鋭い分析を行ない、顧客の動向を把握しているマーケット部門かもしれない。

これはメーカーの視点であって、上の引用で言えば、ユーザーがイノベーションの源泉である場合、メーカー主導とは異なる方向性を導いていく。同書ではそれは「情報の非対称性を生む」と表現している。

近年、これらに対応するために、P&Gや3MはこれまでのR&DにC&D(Connect & Development) の概念を取り入れ利用している([3]のクラウドソーシング、関連記事参照)。

いわゆる、“ユーザー”という言葉の定義を「個人か企業かを問わない」とすれば:
イノベーションを起こす能力と環境が向上している。[2]

のであり、これを著者は「イノベーションの民主化」としている。

では、あなたの属するサービス、製品、または企業の方向性を決めるキーパーソンは誰でしょうか、またキーファクターは何でしょうか?


・・・もちろん、それは、顧客が中心であることに間違いありません。



<クラウドソーシングを記載した関連記事>
相対的研究開発速度論

<この記事のシリーズでの参考書籍>
[1] 神奈川新聞社編集委員室 (編集) ,『ベンチャー・ドキュメント外食革命 青年社長・渡辺美樹の挑戦』, 神奈川新聞社, 2000, pp164-165を参照した.
[2] エリック・フォン・ヒッペル, 『民主化するイノベーションの時代』,ファーストプレス, 2006, p14,p96.




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