なぜ、シックスシグマなのか?
単に、私がブラックベルトであるという理由でもない(また、コンサルタントから紹介料も受け取っていないです…)。
シックスシグマは、問題解決論をベースに、QCで使用するツール(特性要因図、FMEA、QFD、タグチメソッド、統計解析、リーン生産など)を使用している。
その組織形態は、野中(1996)がその著書(下の書籍)の第六章で考察した組織構造についての記載*注)を読めば、まさにその通りで、期間限定のプロジェクト方式で、おそらくはターゲットはハイパーテキスト型組織に近い。
いわば、日本の伝統的製造業の集大成とも言えるので、ビジネス的にも、教育目的でも導入がしやすい。
また、企業トップ(もしくは中枢部)では、より政治的な利用が可能である。
通常、シックスシグマは、トップダウンということで、社長や副社長、または専務クラスの下に、ブラックベルトが組織化される。多くの企業がそうであった様に、運動初期のブラックベルトは、あからさまな幹部候補生である**。
- **やがて裾野が広がると教育目的が主になり、ブラックベルトの質が劣化する(=運動も形骸化し始める)。大体の企業は、初期のブラックベルトと入れ替わるタイミングでこの運動を終了する、せざるを得なくなる。続けるなら、品質保証部、もしくはその上位組織に引き継ぐこともひとつである。
多くの場合(ブラックベルトは複数のプロジェクトを抱えている)、社長自らがプロジェクトを提案する、というよりは、事業部長クラスや部長クラスのトップダウンで行なわれる(それが、ブラックベルトのボトムアップであっても、一応…)。
また、取り扱うテーマは当該事業での重要テーマなので(そう決まっている)、少なくとも運動初期の頃に、ブラックベルトになり、プロジェクトをいくつも抱え、毎月、毎月、トップと会議を行なって、特に他のブラックベルトも政治的には影響力がないので、正直に問題を捉え、課題を話し合う…
こんなことを1,2年も続けていたら…(役職が)自分から上の部長クラス以上トップのすぐ下程度の間で、どいつが出来ない奴なのかがわかってしまうのである(何せ、全事業部からブラックベルトが選出されているので)。
トップにしてみれば、別の会議でそのクラスに会っているわけだが、ある意味フィードバック評価みたいなことも出来てしまうのである。プロジェクトの内容も議論するので、事業部長クラスの値踏みにはもってこいの運動なのである。
トップは、いろんなことでシックスシグマレベルを目指しているのである。
・・・いずれにせよ、ボトムアップと合理的判断のちょうどいいブレンドを模索する作業が、メンバーの主体性を促すことにつながっていきます。お手伝い集団では組織の創造性は劣化します。
<関連記事>
○成功するカイゼン、失敗するカイゼン1/2
○本ブログでのシックスシグマに関する記事一覧
<参考書籍>
*注)書籍ではp256のハイパーテキスト型組織、下の参考資料でも概要の閲覧が可能
西山美瑳子「創造的思考法とQC、新QC手法についての考察」関西学院大学社会学部紀要第84号、p63、p65にハイパーテキスト組織の記載あり。
野中 郁次郎, 竹内 弘高, 梅本 勝博(訳), 『知識創造企業』東洋経済新報社 (1996/03)
photo by Maco
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