社会人MBA-技術者編

October 29, 2009

リーダーは【平凡な人】を良く知っている。

企業の競争力を決定する3要素とは、「公平感、連帯感、達成感」であり*、「なぜ優良企業はダメになるのか」については陥りやすい7つの習慣病がある**ことが調査され書籍に著されている。


伝統的な製造業においての経験から、「こういったことが海外では実行しにくいのか」と感じたことは、高品質低価格の製品を生産する仕組みのなかで、高品質を保つそれぞれの工程やその範囲において・・・

日本の暑い夏、いやその前のひどい湿気、そして冬の乾燥、夏冬の温度差…に関わらず、「毎日、同じ(高い)品質を維持することは、実は凄いことである」ということである。

リーダーはそれを担うメンバーの凄さを、さりげなく大きな会議などで言って経営幹部に知らせなければ、そのうち、毎日高品質を創り出すことを当然だと考え始め、毎期一定の利益を計上できない経営幹部より先に、リストラの対象になる、という悲しい結果を招いてしまう。


そうなると、中間管理職は、(自分自身やたいしたことのない業績を)立派そうに見せるために苦労しはじめ、仕事どころではなくなっていく。

企業が大きな組織になると、必ずしも全員がクリエイティブでなければならないことはない。決められた業務を種々の環境の変化にも対応して全うする平凡な人も必要なのである。

ごくありふれた平凡な言葉であるが、チームなどの組織は:

当該組織の目的や理想、また理念(企業理念など)がよく浸透し、特にプロジェクトなどでは、メンバーは適材適所に配置され、また、目的や理想、また理念のもとでは平等(悪平等ではなく、いわゆる冒頭の公平感)であることが、メンバー間にも相互の信頼や尊敬を生み・・・


・・・いやいや理想論すぎましたか。。。



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相対的研究開発速度論
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October 26, 2009

リーダーは【他人の頭】をうまく使う。

もう何年が経つだろうか…。学生の頃の試験は、持ち込み可が多かった(専門課程での話)。例えば、量子力学などは、方程式を諳んじることより、解くことの方が大切である。

試験を通じて出題された課題を時間内に解く、このような制限時間付得点ゲームでは、どの情報を頭に入れるかより、どの情報がどこに記載してあるか(持ち込んだ教科書やノート)の方が大切である。

試験勉強や授業内容の理解不足が多いほど、持ち込む書籍が多かったのは、マーフィーの法則であろうか…いやはや…。

ビジネスにおいても、このゲームは似ている面がある。

特に、研究開発や開発設計の現場では、論文や特許、もしくは契約している学術機関から情報を得る。最近では、『クラウドソーシング 世界の隠れた才能をあなたのビジネスに活かす方法』で示されるなど、言い方は悪いが、「(関係組織以外の)【他人の頭】も使いよう」的な距離感を感じさせない事象が起きはじめている。


以前の記事(相対的研究開発速度論)の中頃に述べたように:


論文=知識想像の源(研究成果が論文という形式知にまとめられている)へのアクセスは、遠くまで行われるのに対し、技術の発明は、近距離に頭脳が集積していることが重要である。」など、その距離感は興味深い。

となれば、ビジネスでは特許化までをビジネス領域であるとすると、リーダーのマネジメントはますます重要である。と同時に、メンバーのマネジメントのされ方も大切で、「私、もしくはチームメンバーの考えに由来する発明ではない」と意固地になってはならない。

それは、ビジネスでは、錬金術的な要素の方が強いからである(例外的に、製薬などの化学物質の研究、開発などは一番にしか意味がない)。


となれば、リーダーに必要なのは、論理力となる。


さらに付け加えると、多くの人の頭を使うことから、交渉などの対人関係に関する能力や資質を持ち合わせていることがよく、嫌われ者は向いていない。

特に、以前の記事:ビジネスは結果か?②で、ソフトパワーに注目が集り始めて約20年が経つことを記載したが、リーダーの破綻は、企業の破綻を実感することが多くなっている。


・・・ビジネスはカンニングありの公開ゲームです。顧客に応えることが出来るのであれば、誰が発明しても構いません。



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ビジネスは結果か?②



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October 21, 2009

日本はすでに【世界経済地図】から消えている。

世界2位の経済大国は、歴史になりつつある。早ければ、来年にも中国が日本のGDPを抜き、すぐそのあとには、インドが待ち構えている。

また、EUが地域として認定されると、日本はG20の一国程度となり、東アジアは中国の規模が最も大きくなる(長い歴史からは覇権は元に戻る?)。

1980年からのGDPの推移を下に示している。

各国、地域のGDP推移(1980~2010,2009-2010は推定)*データ:IMFより(http://www.imf.org/external/)。


このようなグラフを見るといや~な傾向が日本だけから伺える。

成長がストップしているのである。


この間(1990年代中盤から2008年)に国民の資産は増加し・・・金利も最も低く・・・バブルのダメージというか、マクロ経済学って何なのかというか・・・いわゆる自滅かもしれない。

企業では、経営陣のマネジメントが問われるように、これは、政治的な課題でもある。

となれば、日本の後は追わないとしていた米国も、結局は日本のバブル後と似たような施策が多いので、もしかしたら、今後のグラフは、ここ15年の日本と同様にフラットになるかもしれない。

いずれにせよ、オバマ大統領の任期中には、その(経済施策の)結果がわかるであろう。


・・・すでに、経済的競争における世界の勢力図は大きく変わっています。世界では“そこそこ”の国に興味が無いようです。。。



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GDP回復の源泉は海外経済の回復である。
米国の短期国債の利回りが急激に低下
対応すべきはEUである。協調すべきは中国、韓国、台湾である。
それでも中国の成長は止まらない。

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October 19, 2009

成功するカイゼン、失敗するカイゼン2/2

カイゼンの成否として、前回はチームメンバーの主体性を述べた。最後に、シックスシグマの形態を推薦し前回は終わった。今回はその続きである。

なぜ、シックスシグマなのか?
単に、私がブラックベルトであるという理由でもない(また、コンサルタントから紹介料も受け取っていないです…)。

シックスシグマは、問題解決論をベースに、QCで使用するツール(特性要因図FMEAQFDタグチメソッド、統計解析、リーン生産など)を使用している。

その組織形態は、野中(1996)がその著書(下の書籍)の第六章で考察した組織構造についての記載*注)を読めば、まさにその通りで、期間限定のプロジェクト方式で、おそらくはターゲットはハイパーテキスト型組織に近い。

いわば、日本の伝統的製造業の集大成とも言えるので、ビジネス的にも、教育目的でも導入がしやすい。


また、企業トップ(もしくは中枢部)では、より政治的な利用が可能である。


通常、シックスシグマは、トップダウンということで、社長や副社長、または専務クラスの下に、ブラックベルトが組織化される。多くの企業がそうであった様に、運動初期のブラックベルトは、あからさまな幹部候補生である**。

    **やがて裾野が広がると教育目的が主になり、ブラックベルトの質が劣化する(=運動も形骸化し始める)。大体の企業は、初期のブラックベルトと入れ替わるタイミングでこの運動を終了する、せざるを得なくなる。続けるなら、品質保証部、もしくはその上位組織に引き継ぐこともひとつである。

多くの場合(ブラックベルトは複数のプロジェクトを抱えている)、社長自らがプロジェクトを提案する、というよりは、事業部長クラスや部長クラスのトップダウンで行なわれる(それが、ブラックベルトのボトムアップであっても、一応…)。

また、取り扱うテーマは当該事業での重要テーマなので(そう決まっている)、少なくとも運動初期の頃に、ブラックベルトになり、プロジェクトをいくつも抱え、毎月、毎月、トップと会議を行なって、特に他のブラックベルトも政治的には影響力がないので、正直に問題を捉え、課題を話し合う…

こんなことを1,2年も続けていたら…(役職が)自分から上の部長クラス以上トップのすぐ下程度の間で、どいつが出来ない奴なのかがわかってしまうのである(何せ、全事業部からブラックベルトが選出されているので)。

トップにしてみれば、別の会議でそのクラスに会っているわけだが、ある意味フィードバック評価みたいなことも出来てしまうのである。プロジェクトの内容も議論するので、事業部長クラスの値踏みにはもってこいの運動なのである。


トップは、いろんなことでシックスシグマレベルを目指しているのである。


・・・いずれにせよ、ボトムアップと合理的判断のちょうどいいブレンドを模索する作業が、メンバーの主体性を促すことにつながっていきます。お手伝い集団では組織の創造性は劣化します。



<関連記事>
成功するカイゼン、失敗するカイゼン1/2
本ブログでのシックスシグマに関する記事一覧

<参考書籍>
*注)書籍ではp256のハイパーテキスト型組織、下の参考資料でも概要の閲覧が可能
西山美瑳子「創造的思考法とQC、新QC手法についての考察」関西学院大学社会学部紀要第84号、p63、p65にハイパーテキスト組織の記載あり。

野中 郁次郎, 竹内 弘高, 梅本 勝博(訳), 『知識創造企業』東洋経済新報社 (1996/03)



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October 13, 2009

成功するカイゼン、失敗するカイゼン1/2

多くのプロジェクトや開発チームを経験すると…いや、そのような大そうな話ではなく、多くのビジネスパーソン達が経験しているように、私もこれまでに、ボトムとトップの両極端の状態を経験している。

ボトム、トップをその当該組織やチームが目標にしていた、顧客へ提供するサービスや製品機能の達成具合だとして、その該当チーム(という単位で考える)は、どのような特徴をもっていたのであろうか。


それは、上司の嫌われ方が金メダル級で…ではなく、リーダーも含めて、チームのメンバーが“主体的”であるかどうかだったと思う。

近年のネガティブな主張として、「日本的な…」と振り返ることがある。より突き詰めていくと、それは、現場の主体的なカイゼンと経営トップの合理的判断とがうまく混ざり合い機能していたことなのかもしれない。

とうは言うものの、この“主体的”なのは、便利な用語で、実務レベルでは、メンバーへの権限委譲であり、リスクを伴うものである。

ただ、企業や事業組織では、その業界特有のあるスパンで、壁に直面するものであるから、持続的成長を遂げるには人材育成が肝要であることを踏まえると、このリスクはそれほど、大きくはない。


どのみち、メンバーが“お手伝い集団”では何十人集っても課題解決の可能性は高まらないので、メンバーに応じた責任を分担することが賢明である。

おそらくは…それにより個人評価が云々―から発する問題のリスクは、日本企業ではチームプレイに価値を見出す傾向が強いので、低いだろう。


詰まるところ、「そのカイゼンチームをどのように結成するか」が大切であるが、それを問われれば、たたき台として(ありきたりだが)シックスシグマの形態を推薦している。(つづく



<関連資料>
*この中で取り上げられた企業は…こういった書籍は、数年後に読むのも面白いものです。



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October 8, 2009

リーダーは、あっさり【譲る】ことも必要である。

歴史の中では、家督を引き継ぐ―まさにその時、「組織は弱体化する」「あの家長は器が小さい」など、いわゆる敵国にとっては、絶好の好機であった時もあった。また、意図的に、内ゲバを起こさせ組織を弱体化させることも行なわれていた…。

孫子の兵法(Wikipedia)が、ビジネスでも取り上げられるなどを見ていると、いわゆる“競争”の本質は変わっていないところもあるのだろう。

企業においても、いや、その中の問題解決、機能横断チームにおいても、リーダーの交代は結構なイベントとなる。

自分色を急に出そうと、チームがこれまで行ってきたことと全く異なる事を実施してしまうと、現存するメンバーとの間には(取り返しのつかない)コンフリクトが発生する。

逆から言えば、企業などがその文化を変えるほどの改革(例えば、ノキアが電線事業から携帯事業への傾倒)をしたいのであれば、何分の1という大きな人数のリストラによる入れ替えが最も効果的な手段となる。

どうしても、差し迫る合理化の指令と直面する課題から、チームに必要な能力が問題解決(専門的な技術など)、意思決定(プロジェクトを進めていくことなど)に焦点がいくが、同様に対人的スキルも必要である。


今は“係長”という便利な職位がなくなりつつあるので、そういった対人スキルはリーダーが兼務しなければならなくなっている。


チームのメンバーは「そのパーソナリティや希望に基づいて選定されるべき(関連書籍参照)」であるが、リーダーは、(スキルも高いほうが良いが)チームプレイに徹することが出来ることが第一条件であると思う(結果的にそういう人は、ある意味、自分の立場を捨てることができる人なので)。


やはり、未熟だとはわかっていても、(単に投げられるのではなく)仕事を任せられれば、いわゆる、リーダーの職務の一部を譲られると、メンバーの意識も変わってくるものである。


そうして、譲る側の人は、後輩を信頼、時には全面フォローしていくことも必要であるし、譲られる側は、急進的に事を進めるよりは、例えば、前任者がリーダーの時に不達であった事柄に挑戦していくなど、前チームとの関わりを持ち、その動きの中、メンバーのパーソナリティをつかんでいき、文化を把握していくことが、チームメンバー的にも、組織的にも効果を生むでしょう(いろいろなことが共感できる)。
*たとえ、同じチーム内からのリーダー選出であっても、メンバーとしての把握とリーダーとしてのパーソナリティの把握は異なるので。


・・・言うまでもなく、企業の持続的成長とは、構成員の持続的成長のことです。



<関連記事>
レベル4の集団
イノベーションの採用のパターンを予測する。
チームに必要な人―√2のピエロ
組織が破綻するのは少しのことが原因だ。
問題解決より優れていること。
リーダーの得意技は【測定系】の決定にある。
リーダーは【他人の頭】をうまく使う。
リーダーは【平凡な人】を良く知っている。
リーダーは【先見性】を持っている。


<参考書籍>
*本文の中では、一部本書の第3部「組織の中の集団」を参照して記載しています。



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October 1, 2009

『できてしまう』ことと『できたことの方向性』2/2

『できてしまった』製品やサービスは、いったい誰がその方向性を決めている、導いているのだろうか。

ユーザーという1つのクラスは、ニーズや利用状況について、自分が保有する情報に大きく依存したイノベーションを開発しがちであることを意味している。同様に、メーカーというもうひとつのクラスは、自社が専門性を発揮できるようなソリューション情報に強く依存したイノベーションを開発する傾向にある。[2]

とは、ユーザー側の内容である。

企業の現場では…
企業の開発チームで言えば、いわゆる“優秀”な人を集めたから開発が成功するというよりは、(結果的に成功したのであれば)課題解決要因の専門家がいたか、連携していく(=専門情報に強く依存)ことが成功の確率を高めていくとも言える。

専門家集団が決めているのだろうか?
いや、凡庸な研究開発陣であっても、鋭い分析を行ない、顧客の動向を把握しているマーケット部門かもしれない。

これはメーカーの視点であって、上の引用で言えば、ユーザーがイノベーションの源泉である場合、メーカー主導とは異なる方向性を導いていく。同書ではそれは「情報の非対称性を生む」と表現している。

近年、これらに対応するために、P&Gや3MはこれまでのR&DにC&D(Connect & Development) の概念を取り入れ利用している([3]のクラウドソーシング、関連記事参照)。

いわゆる、“ユーザー”という言葉の定義を「個人か企業かを問わない」とすれば:
イノベーションを起こす能力と環境が向上している。[2]

のであり、これを著者は「イノベーションの民主化」としている。

では、あなたの属するサービス、製品、または企業の方向性を決めるキーパーソンは誰でしょうか、またキーファクターは何でしょうか?


・・・もちろん、それは、顧客が中心であることに間違いありません。



<クラウドソーシングを記載した関連記事>
相対的研究開発速度論

<この記事のシリーズでの参考書籍>
[1] 神奈川新聞社編集委員室 (編集) ,『ベンチャー・ドキュメント外食革命 青年社長・渡辺美樹の挑戦』, 神奈川新聞社, 2000, pp164-165を参照した.
[2] エリック・フォン・ヒッペル, 『民主化するイノベーションの時代』,ファーストプレス, 2006, p14,p96.




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