マーケティングチャネルは、財を生産者から消費者へ運ぶ役割がある。多くの場合、生産者はダイレクトにマーケティングを行う資源、能力が不足しているので、仲介業者の利用によって利点を得ることを目的に利用する。そして、それは利害が一致しなければ、コンフリクトが生じることになる。
そろそろ秋の新作がショップに並ぶ頃である。女性であれば、春の新作のバーゲンで思わぬ逸品を見つけたり、お気に入りの新作をクローゼットに加えたり、また、男性にとっても、最近の百貨店のメンズ館の充実ぶりに、一品加えることもできる。
さて、いま、イメージした高級衣料の購入経緯はどのような想像であったろうか?まさか、ヤクルト販売員からの購入を想像した人は・・・あるケースを学びましたね。
そう、この話は80年代にヤクルト本社と三菱商事が発表した通信販売の新形態、リプソンである。チャネルがヤクルト販売員なのである。確かに、ヤクルト販売員は通信販売から見れば強力なチャネルである。
が、自社のイメージ、販路にふさわしくない商品はまず売れない。
大きな括りでは、電機にとって、ヤマダ電機が君臨しているうちは、付加価値品に意味がない。安く売り叩かれるからである。ソニーやアップルの携帯型音楽プレーヤーはそれぞれの専門店で見るのと、ヤマダ電機で見るのでは、何か違うような気がしてしまう。安ければいいのであれば、ヤマダ電機で購入するが、顧客のすべてがそういうわけではない。
こういった観点から見ると、生産者側の中にもコンフリクトは起きている。
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ある開発陣は、それまでの顧客が求めている機能を2倍にできる研究成果を発表した。開発陣が危惧したのはコストであったが、今、Goの決定がなされれば、従来品と同価格におさまる設計を見通していた。この時、マーケッターは「従来品より安くないと売れない」とし、その企画はお蔵入りとなった。
その数ヶ月後のある会議で、マーケッターは、機能を2倍にした製品が必要である、と開発陣に要求したが、開発陣は、コストが維持できないとして一蹴した。
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一昔前によくあったやり取りである。問題は、マーケッターがチャネルを変えて動いていることを、開発陣がわからないことであるし、逆に、機能拡張に対してマーケッターは同じチャネルを想像していたことでもある(従来品より安くて機能が2倍なら、会議はいらないのでは?→あくまで例えです)。
レクサスについては賛否両論だが、レクサスの販売店でレクサスシリーズの横にカローラが並べてあったら、ゲンナリしてしまうし、レクサスがカンバン方式で製造されているのも想像したくない。
・・・良識ある上級管理職が「経営者の目線で」と言う理由が良くわかります。マーケティングの中枢が本社にあるのはこういった理由なのです。
<参考書籍>
*記事冒頭の部分は以下の書籍のpp586-587を参照しています。
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