コスト削減…利益は売上からコストを差し引いたものであるゆえ、内向きな施策としてはよく耳にする。特に製造業では1銭にこだわり削減する。時に行き過ぎたコスト削減も行なわれるが、企業が生き残らなければならない事情も昨今は見られる。
*本記事の”原価”や”コスト”は個別原価における”材料費”の意味で用いていおり、”品質原価”に見られる考えも大切である、という主旨の記事です。
さて、ここからは皆さんご存知のことで、一般論については、下の<参考書籍>をご覧になってくださるといいと思う。
私の結論は、「コスト削減は前年比で行なうもの」である、ということで、なんら新しいことはないが、あくまで私の経験からの記事であるのでありきたりなのかもしれない。
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下はある工場の1単位あたりの材料原価を示している(とする)。
2006年 2007年
-----4月-----9月-----4月-----9月
-----100-----115-----95-----105
前年比 4月-95%(100→95)、9月-91%(115→105)と、上期、下期とも前年比では原価の削減に成功していることがわかる。当然、年度でも原価は削減されているが、おそらくそのような予算が組まれたに違いなく問題はないだろう。
いわゆる、(工場での)原価低減は、技術が向上しないと、更なる廉価な素材で同等、それ以上の機能は発現できないのである。この例は、毎年9月にその新技術を確立した製品を上市していることになるのである。
医師の例で言えば、”術式の進歩”ではないだろうか。術式の進歩により神の手の持ち主でなくとも、患者を救うことができる…(ん?例えがおかしいか)。
技術の進歩により、それまでは使用できなかった(=機能を十分発現できなかった)素材の使用を可能にする。そら、コストは高なりまんがなぁ、開発してるんですんもん。
下の図はそれを模式的に示している。
ただし、人間は忘れやすい…。生産現場、開発設計、生産技術部署―いわゆる”工場”では、原価削減担当から、(この例の場合)7,8月付近になると、なぜ原価が高くなるんだ!と責められてしまう。それは、実はその後ろにいる事業部トップの年度初めの予算策定にケチをつけていることと同じなのだが…。
ただし、人間は覚えが悪い…。4月を向かえた時点で、すでに次の期の削減案まで確定している準備がいいセクションは、何もしていないかのように担当者から責められる(逆に前倒しを請われて実施した後、倒したはずの時期にコスト削減を予定され、出来ていないと騒がれる)。
社会人ならよくある話ですよね。サラリーマンいやいや、ビジネスパーソンの悲哀でしょうか。
・・・当たり前の話ですが、コスト削減には”開発行為”が必須です。
<参考書籍>
photo by Maco