前年比100を超えることは簡単ではなくなった。

2009年6月9日

マーケティング

t f B! P L
学生の頃、一人暮らしをしていて、アルバイトなどでお金が入ると、なにかと買いだめした覚えがある。で、結構使わなかったり、食べなかったり・・・。

誰が我が社の製品またはサービスの”消費者”なのか―――その属性を調査、発見することは企業の重要な業務である。

100万件に1件程度のクレームでも、全く製品、サービスに反映しない場合もあれば、逆に開発計画を組まなければならない重要案件であることもある。

それは、その企業の製品、サービスは主として誰に売っているのかによる。

当たり前の話、「当該製品、サービスの顧客は国民である。」などと言うマーケッターはいない(そのような分野にはマーケッターはいらないので)。

何かしらの属性には分類しているはずである。

で、本日の記事は、”世帯”に関するものである。


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消費でいうと、世帯構造が変わると、当然ながら、購入形態も変化するものである(例えば巣ごもり消費)。下には、各分類された世帯の数を80年代から現在まで、さらに2030年頃まで推定した推移である(データの出所は記事下の<参考>を参照)。

主な分類は:
単独=単身世帯
核家族=夫婦のみ、夫婦と子、ひとり親と子
その他=核家族以外
である。

●家族類型別一般世帯数
単身世帯は増加しているが、詳細な調査によれば、この単身世帯は、未婚化、晩婚化や夫婦の死別などにより、すべての世代にわたって大幅に増加(今後も増加)しているのである

となれば、消費者の観点からは”単身世帯”の属性では不十分となる。

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我が社の消費者は・・・とは、どのような消費者なのか?消費者の想定は、マーケッターにとっては難問となりつつある。いわゆるセグメントが複数なのである

最早、現場主義に基づいた、または、イノベーター向けの製品、サービスの提供となり、競争相手は競合企業ではなくなっているのである。

だから、田舎や郊外に大型店を出店した企業は苦戦している。
それは、業績が振るわない中、”値下げ”という価値のない提案をし、業界が簡単に追随し、業界全体の利益を損ねてしまったのである・・・。もう値を上げることができない。
*上の世帯の例で言えば、値下げで喜ぶ世帯、例えば、夫婦と子供などは逓減するので、業界が足並みを揃えてしまっては、単に売上高が減少するだけである。

要は価格を価値と勘違いしてしまったのである。


顧客に価値を提供しない限り、前年比100以上は困難になりつつある。厳しく固定費用を削減したところで、販売価格は逓減していく。それは皮肉なことだが、競合企業が存在する限り仕方がない。

かと言って少しのカイゼン、いやカイゼンの大きさに関わらず、新たな利益は新たな顧客にもたらされるのである。


・・・一度、会議室や事務所で怒鳴っているマネジャーや経営陣に、当該製品、サービスの消費層を伺ってみてはどうでしょうか・・・。



<参考>
「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(2008年3月推計)、国立社会保障・人口問題研究所(http://www.ipss.go.jp/)
*本記事のグラフは、2.概要のエクセルデータをグラフ化、2010年以降は推計。
○消費について:大前研一ライブ―【向研会】個人消費・消費者心理の現状と課題

photo by Maco

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