情報は正確であればそれでいい。

2011年1月30日

つれづれ

t f B! P L
情報――結構、定義することが難しい用語である。定量的、定性的なものもあり、研究や開発では、定量的な情報⇔定性的な情報の変換は多い。


さて、失格のリーダーの特性とは、ミンツバーグによれば、「顧客や従業員、製品や工程に関する現場の知識をろくにもっていない人が、その知識を有している人を管理出来てしまうと錯覚する[1]」ことで、例えば、2,3年程度の実務経験で勤まるものではない*。

* 参考の書籍では、MBAに関して、希望者は、実務経験2,3年程度でも入学試験を受験可能であり、(実務を離れ)大学院に2年程度在籍することで、経営の重要なポジションを担う危うさを危惧しています。日本では、あまり見られない傾向です。技術職の地位が高い日本といえども、工学系大学院卒が、ちやほやされることはまずありません。


チームで見れば、例えば、管理を担う人(課長や部長など)が自社の従業員数、売上、利益率、株価などのマーケット情報に疎いのと同様に、それぞれの担当において、周辺情報に疎いメンバーは問題の発生源である。


○現場の生産技術者やオペレーターが―――
 ・歩留まり、工程能力などの生産効率に関する基本的な指標がわからない
 ・製品仕様の基本的数値を計測したことがない
 ・伝統的な管理手法を知らない

などは言うまでもない。

さらに、研究開発者が市場の競合を分析していなかったり、サプライヤーを比較していなかったり、現場を知らなかったりとは上と同様である。

そんなメンバーが集ったチームは、問題の発生源となる。


問題でないことを問題視したり、致命的な欠陥を見逃したり、メンバーの会議では、不確かな情報が飛び交うだろう。


確かに、定量的な情報に落とし込むことに偏って、分析症候群に陥ってしまってはいけないが、私の経験では、その道に詳しい人は、異常なまでに細部の数値を把握しているものである。

現在の計算能力に長けたコンピュータは、家庭用でも統計解析は簡単に行えるが、もとのデータが不確かであれば、分析結果も不確かである。

  • 例えば、観点は異なるが、寸法10.0mm の部品がある。これは、自社も納入業者も測定方法が同じで言っているのであろうか?
  • 「昨日にくらべて良い」と言う台詞の根拠は、本当に“昨日”を代表するデータを取得したのであろうか?
  • 「変えてくれ」とは、一体“何を何にどのように変える”ことを望んでいるのだろうか?

結局、不確かな情報のもとで行われた分析では、結果も不確かなものとなり、それを元に施策が練られるのであるから、問題解決へ向かうことは極めて少ないのである。


当該組織(例えばチームなど)にとっての“情報”の定義は、最初に、いや、チームの稼動中にも確認しておく重要項目である。


・・・情報が不正確であれば、そこは、諸問題の発生源となる。


<参考>
[1] H・ミンツバーグ, 池村千秋訳, 『MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方』, 日経BP社, 2006, 「Part1 MBAなんていらない」より趣意。

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