大学院を卒業後、電機メーカーへ就職し、2年が過ぎ、ようやく配属先の開発業務の基礎が固まり始めた頃、上司に呼ばれた。
「お前、シックスシグマやってくれないか?」
当初は”シックスシグマ”といえば、関わっている人がよくデータ取をしていること以外、よく知らなかったので、『教育のことか?』と思い、「はい、わかりました。」と言ったのが始まりであった。
それは、ブラックベルト(=BBとも表現される;と呼ばれるシックスシグマのリーダー的役割)研修の依頼であった。
「後悔先に立たず」とは言ったもので、当時、わが社では、副社長の音頭のもと、シックスシグマを導入し始めて3年目を迎えており、1,2年目の1,2期の先輩は10年選手がゴロゴロしていた。後で聞いた話だが、副社長が人事査定をもとに上から引っ張っていたらしい。
『あぁ、シックスシグマより会社のことの方が知らないことが多いよぉ』
会議に招集されると、副社長と専務が同席しており、熱く語られるのであった…。会議は毎月行なわれ、プロジェクトの進捗状況を報告しなければならず、以後数年の間、苦悩が続くのである。
* * * *
さて、シックスシグマをはじめるに当たり、第一に行なわなければならないことは、
研修で行なうプロジェクトを決めることである(エグゼクティブの方はシックスシグマ自体を行なうかどうかを決めなければなりません!)。
そもそもシックスシグマは品質管理のイメージが強いが、ソニー[1]やGE[2]が導入したのは、品質問題が経営に深く関わっていた背景がある。
ということは、研修用とはいえ、結構荷が重いプロジェクトとなる。さらに、研修用なので研修期間に終わるようなものでなければならない。このことは、研修を受けるブラックベルト候補生より、プロジェクトを定める経営トップや事業トップの方が大変である。
私の場合は、私が開発を担当する製品の生産現場の課長や部長を交えて、そのプロジェクトが選定された。もしも…の際に生産現場の課長はプロジェクトの効果が思わしくなくても効果が出るように効果の貯金をしていてくれたことは今でも大変感謝している。
・・・こうしてブラックベルトへの道が始まったのである(つづく)。
<参考書籍>
・マイケル ハリー, 『シックスシグマ・ブレイクスルー戦略―高収益を生む経営品質をいかに築くか』, ダイヤモンド社, 2000.
・ピーター S.パンディ, 『シックスシグマ・ウエイ実践マニュアル: 業務改善プロジェクト成功の全ノウハウ』, 日経BPマーケティング, 2003.
[1] ソニーに関して:ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス編集部(「シックスシグマの改善インパクト」, ハーバードビジネス1998.7 ダイヤモンド・ハーバード・ライブラリー, ダイヤモンド社)による内容で、ソニーの「精密・小型化を追求するあまりややもすると壊れやすいといわれがち」である状況に対し、社内独自の品質測定値が頭打ち状態となっていた、との記載より。
[2] GEに関して:J・ウェルチ,ジョン・A・バーン, 宮本喜一訳,『わが経営 下』, 日経ビジネス人文庫,p192, 2005. より。
(「シックスシグマ①(BB候補!?)」了)
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