Wekaを起動する(補足 研究開発部門での使用)

2007年12月11日

データマイニング

t f B! P L
研究開発では、特に化学反応を伴う業務では、統計解析は線形的であるため分析が困難である。さらに、実験においては、例えば、A~Dまでの4因子が挙げられても、AについてA1、A2、A3などB~Dの条件は固定してAの挙動を確認することが多い。いわゆる一因子実験である。

この方法はある意味、最もロバストな方法であるが、例えば:
A:A1で+2
B:B4で+5
C:C1で+3
D:D2で+3(A~Dの総和は+13)
と、一因子実験から導かれたA,B,C,Dそれぞれの最適条件を組み合わせると+13が得られそうであるが(特性は望大特性とすると)、その組合せを実験すると+3程度と期待通りにはならない。(←本当に多い!)

そういったことから、実験計画法やタグチメソッドなどの手法を推奨されているが、それらは最適化に用いるもので、いくつもの因子を考えている研究開発者はいずれは最適化が必要だとは感じていても、研究開発の当初からは、(交互作用を把握することを目的とすると)実験計画が膨大になり、受け入れがたい。

となると、一因子実験の集合を分析するしかない

問題はその分析であるが、今のところ、それらをニューラルを用いて分析し、wekaでの予測機能を使用し、実験計画法(交互作用を詳細に調べるには応答曲面法)でシミュレーションする方法が有効であると思う。

具体的には、wekaで予測するには、下図のように応答因子の欄に"?"を入力し、分析の設定で"More options..."をクリックし、"Output predictions"を選択すれば予測値を計算してくれる。この際に"Test options("choose"の下)"を"Use training set"にしていれば、とりあえずのロジックは組んでくれる。




この際に、上図のcsvファイルで"?"を入力した行を複数にして、実験計画法で設定した因子を設定しておけば、これまでの実験から導き出されるルールをもとにシミュレーションしたことになる

結果を見て?であれば、新たな実験を行うであろうし、議論すべき結果があれば議論するであろうし、シミュレーションはリソース(実験に伴う費用、人件費など)はほぼ皆無なので、無駄なく先に進めると考えてよい(私も100通りほどの実験結果から仕様を決定する際は実際にこの方法で決定した)。

・・・研究開発に「魔法」は存在しないが、工夫は出来るものである

(「Wekaを起動する(補足 研究開発部門での使用)」了)
適宜気づいたことを掲載します。

*ブログ中の図はクリックすれば、拡大されます。
*本ブログ記事の下「Labels」の「データマイニング」をクリックすると、データマイニングに関する記事が一括掲載されます。

*   *   *   *
本記事最後に、「簡単にできる○○」など品質に関係する事柄(書籍など)が多いですが、実際はそうはいきません。その道に入るきっかけとしては興味を持つという意味で賛成ですが、大抵は書籍であれば、それを読んだところで実務者には役に立たないかもしれません(マネージャーにはいいかもしれません)。実際に学習に役立つ書籍を下に挙げますので参考になれば・・・と思います。この他に役立つ書籍やサイトがあれば御連絡ください。

○実験計画法/タグチメソッド
品質設計のための実験計画法(田口玄一/日本規格協会)

○タグチメソッドでも化学・薬学・生物学に応用するには
化学・薬学・生物学の技術開発 (品質工学応用講座)

○TRIZ
TRIZホームページでは『体系的技術革新』が推薦されています。このページでは種々の事例も参照できますのでご覧ください。
*TRIZ手法は多岐にわたりますので概要は内容を紹介する簡単な書籍で把握して、使用する手法をマスターすることがお薦めです。私のそれは「矛盾マトリクス」と「次世代予測」でした。TRIZは産業能率大学 総合研究所が盛んです。

○品質機能展開(QFD)
品質展開入門 (品質機能展開活用マニュアル)
品質展開法(1) 品質機能展開活用マニュアル第 2巻
品質展開法(2) 品質機能展開活用マニュアル第3巻
どれよりこの三部作につきます。

ちなみに、日科技連の提供する統計ソフトでは、QFDの機能がエクセルのマクロで提供されており、統計ソフトとリンクして主成分分析などが行うことが出来るものもあります(上記のタグチメソッドでは「割り付け」が視覚的にできてわかりやすいです)。企業実務での統計ソフトではこの他にMinitab(構造計画研究所)が販売されております。もともと日本製ではなかったので「シックスシグマ」において多くパッケージされていたソフトウェアでもあります(私がシックスシグマのコンサルティングを受けた米企業ではMinitabを使用していました)。ver14は日本語版です。学術ではSPSSが多いようです(在籍していたビジネススクールではSPSSでした)。フリーなものでは"R"がありますが、残念ながら使用したことがなくわかりません。

自己紹介

自分の写真
エンジニアの視点から、品質技法、解析技術、生成AIについて発信しています。 (シックスシグマ・ブラックベルト、MBA)

このブログを検索

ブログ アーカイブ

QooQ