結論から言うと、ビジネスでは「勝てば官軍」である。利益成長を遂げている企業は、当該企業が実施している事柄のほとんどが、成長の源泉であると研究される。反対に、同じ戦略でも、利益を損なえば、それが敗因であると分析される。
スマイルカーブ*1)から考えると、日本の製造業では、組立て、量産過程において、残存する利益はほとんど残っていない。特に問題がなければ、現状維持で、特に方法を変更したり、最新設備以外の投資(人的も含む)は行なわない*2)。
*1)スマイルカーブ→このリンクはモジュールの説明ですが、”ハードウェア”の説明後半にスマイルカーブの記載があります(Wikipedia)
*2)これは今ある技術をカイゼンしたほうが経営的に安くつき、方法を変更することで余分な組織的コンフリクトを避けられるためである。ただし、最新技術を開発する産業では、この部分は「研究」にあたり、この限りではなくなる。
従って、利益率の高い研究開発分野、販売、アフターサービスなどに資源を投入する。例えば、トヨタやその他の自動車産業が確実に海外へ進出し、利益を伸長させ、ハイブリッド車を開発、上市する、ことである。
特に、組立て、量産過程に利益を求めない米国、欧州では、iPodのように、コンセプト、デザインのみで、製造を担当したのは、結局、東アジアのドリームチームである。
日本の場合、海外の研究者がよく上記を調べ、日本でも高名な学者も多くいる。その結論は、「日本の製造業のチームワークは独特である」ということで、これは、もはや文化的側面を説明していることが多い。このことが、日本の製造業において、未だに量産、組立てで利益が残存している一因である。
さて、そういったことから、トヨタを善悪両面から観察する。
まず、最近のトヨタ研究で賞賛側の代表作は:
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負の側面を語ったものが:
おまけでこういうのもあります。
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①開発について
- トヨタ(を含め多くの自動車メーカー)は、内燃エンジンの効率化をひたむきに研究し、ついには、ハイブリッド車を製品化し、新たな競争軸(またはハイエンド)にてリードしている。米国のコンペティター達が老年期であることは否めないが、電池を搭載するコンセプトは、電池産業は日本のメーカーが世界をリードしている利点も考えると、大きな開発成果である。
- 反面、長年、それしか製造していない。自動車は経済的側面から排ガスを許容され、成熟期が長いのである。ハイブリッドの成果は主に電池メーカーの成果と言ってもよい。それも、燃費効率を高める延長上にあり、目新しい技術ではない。さらに、現在搭載されているニッケル水素電池から、携帯電話やノートPCに搭載されているリチウムイオン電池へシフトする開発は、単に、リチウムイオン電池がニッケル水素電池に比べ、軽く、容量が大きいから、という従来の燃費効率上昇のコンセプトから生まれたものであるならば、その設計思想は危うい(とは言っても、安全性は確保するでしょう)。
②生産方式について
- トヨタが実施する生産方式は、在庫が最小となり、また、顧客の要求に応えるリードタイムは常に更新され、経営上、すばらしいインパクトがある。また、それは、サプライヤーが集積している利点を見事に生かしたものであり、高額な給料を支払うこともなく、一部、非正社員で実施できる利点を持つ。
- ただし、それは、70年代の石油ショック時に考案されたもので、外資に吸収された日本のメーカーもほとんどがその方式であるのに関わらず、経営状態が異なることから、経営上ではなく、生産上のカイゼンであり、過大評価の嫌いがある(例えば、この方式で利益を捻出することを戦略にするなど)。
また、この方式の在庫の最小化は、運送業者による排出ガスと反比例である。在庫を持つほどに、部材などの運送で排出されるガスは低減される。その効果は、ハイブリッド車の低減分と比べてどうだろか・・・。
・・・少し前はソニーがよく議題に挙がりましたよね。現在は、エネルギー価格の高騰も手伝って、トヨタですよね。ある学者は、トヨタの発展はミステリーだそうです。いずれにせよ、そうなることは企業としては素晴らしいことです。皆様の見解はどうでしょうか。
<参考書籍>
ジェフリー・K・ライカー, 『ザ・トヨタウェイ(上)』, 日経BP社
ジェフリー・K・ライカー, 『ザ・トヨタウェイ(下)』, 日経BP社
渡邉 正裕, 林 克明, 『トヨタの闇』, ビジネス社
鎌田 慧, 『自動車絶望工場―ある季節工の手記 (講談社文庫)』, 講談社文庫
若松義人, 『マンガでわかる トヨタ式カイゼン [宝島社文庫] (宝島社文庫 D わ 1-3)』, 宝島社文庫
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