「日本の製造業は空洞化する。」
製造業の海外進出、産業集積地の衰退、四半期ごとの長期展望なき経営スタイル・・・大きな流れは確実に進んでいる。一昔の米国への警鐘が虚しく響く・・・。
最近の「変わる」―いわゆる変化はキャッチーな用語である。この現在から将来への見通しであるが、象徴する出来事に、日本が貿易赤字になったことが挙げられる(財務省の貿易統計によれば、2008年後半からその傾向は顕著)。
年月を遡ると、その大きな相手国であった米国に対し、ドル/円は、政治的にも大きな影響を受けたが、貿易黒字は変わらず、黒字であり続けていた。
これが、ひとつの錯覚を生む。
例えば、米国が回復すれば日本も連動するなどに代表される、循環的な要因説である。
確かに、その影響はある(逆に全くないということを述べるほうが困難であるが)。むしろ、あの時の現象は、そうかもしれない。
が、ここで、問題なのは、経営スタイルもそうであるが、日本が米国化していることであり、将来的な事として、一時的な現象ではなく、構造的になりつつある、ということである。
ご存知、米国は大きな輸入国である(あった)。
カイゼンに代表される優秀な輸出産業(であった)トヨタはそのシンボルである。今や、海外に50以上の工場を抱え、日本で製造することの方がレアである。いまや、一眼レフもタイで生産している(ニコン;プロ用は仙台)。
多くの企業も海外への進出が目立つ。いわゆる逆に、その海外=現地法人から輸入するのである(経済産業省「海外事業活動基本調査」)。
が、詳細に見ると、結構、アジアで製造して、アジアに販売する割合が高い。なんなことはない、made in Japan が made in Asia になったのである。特に、ノウハウ構築まで年数がかかる分野(素材など)は日本のお家芸であろう(中国、韓国はそれほどこの分野に積極的ではない)。
いやいや、日本悲観論ではない。周囲に今後数十年成長が保障されている国・地域があり、その他の周辺諸国も次々に経済的な発展が約束されている。
Asiaという括りでは、赤丸急上昇なのである。
こういった擬似共同体のなかで経済圏が構築されていくのであるから、企業も社会もマネジメントが変わる。ということは、従来の教育も変わらなくてはならないだろう。
・・・最適地で安く造って、高く買ってもらえるところへ売る―基本的なことだが、それに徹する以外にない*。
参考)
財務省の貿易統計
経済産業省「海外事業活動基本調査」
大前研一アワー#248(BBT総合研究所資料)
*ライブ中の終盤での大前の発言。
写真)撮影地 中国 写真ギャラリー Sothei
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