TRIZとは? 普及の難しさは?
TRIZ(発明的問題解決理論)は、ソ連で開発された体系的な問題解決手法であり、技術革新や発明のプロセスを効率化するために用いられています。しかし、TRIZは高度な専門知識を要するため、技術者や研究者の間でも習得が難しく、広く普及するには至りませんでした。
筆者の企業(製造業)でも研修がありましたが、QCのような従来のカイゼン活動のように浸透しませんでした。
・QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。
・「QFD、TRIZ(発明的問題解決理論)、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか」に反論する(生成AIの登場)
さらに、多くのTRIZ関連書籍は絶版となっており、オンラインでアクセスできる情報も限られています。これにより、特定の企業や専門家にのみ活用される「閉ざされた手法」となっているように思います。
設計の視点(コメント)
TRIZの場合、設計などの技術部門の実務家ではなく、TRIZの専門家を有する組織がないと、専門性を維持しつつ組織へ普及することは難しいと感じた。また、バイブル的な解説書がどれかわからなかった。
TRIZは途方もない数の特許を分析し、当時の発明者の考えの傾向などをパターン化したものが根拠になっていることを考えれば、とてつもない大発明をする場合は除いて、多くの場合の設計、開発、また応用研究に役立つはずです。また、その思考パターンに触れることも実務者にはいい刺激になります。
参考になる書籍)*絶版も含みます
・日本TRIZ協会での各種資料の販売
・ダレル・マン, 中川徹,『TRIZ 実践と効用 (1) 体系的技術 革新』, 創造開発イニシアチブ,2004.(絶版)
・ゲンリック アルトシュ-ラ-, 『TRIZシリーズ1 入門編 (超発明術TRIZシリ-ズ) 』, 日経BP, 1997.(絶版)*このシリーズは6まであり、残念ながら絶版とはなっていますが、上記と合わせて書籍では内容が充実していると思います。
TRIZはその手法の難解さ、また、専門家、専門知識へのアクセスの低さも加わり、試験的な実施についても障壁が高かったのですが、生成AI(GPTsに代表されるオリジナルのチャットボット)の登場により、手法に触れる障壁は格段に低くなりました。
例えば、以下の記事は、TRIZの技術進化のトレンドを体験するためChtaGPTのGPTsを利用したものです。*システムを「内燃系の自動車」とした9画面法の結果です。
それでは、つづいて次項にて上記記事の「内燃系自動車」について、Sカーブにおける導入期、成長期、成熟期、及び衰退期における技術進化の法則について見ていきましょう。
生成AIがTRIZを民主化する
近年、生成AIの進化により、専門的な知識がなくても高度な発明や問題解決が可能になりつつあります。ChatGPTをはじめとするAIツールを活用すれば、TRIZの基本概念を学ぶだけでなく、具体的な問題に対する解決策を素早く見つけることができます。
例えば、矛盾マトリックスの分析や発明原理の適用など、従来は専門家の知見が必要だったプロセスを、AIが自動化し、誰でもアクセスできるようになっています。これにより、TRIZは限られたエンジニアや研究者のものではなく、あらゆる業界や個人が活用できる「開かれた問題解決手法」となりつつあります。
例えばこの記事では、ChatGPTのGPTsを利用して、「内燃系の自動車」をシステムとして9画面法を実施しています。以下ではこれに加えて、Sカーブにおける導入期、成長期、成熟期、及び衰退期における技術進化の法則について会話しました(以下に結果)。
設計の視点(コメント)
技術進化の法則って?どのような法則があるの?
詳細は不明ですが、肌感覚としては各コンサルタント(もしくは提供企業)により若干の違いはあるのかなぁというのが実感です。
ただ、基本的には8パターン(2+6)から派生しています。
*Mannの『TRIZ 実践と効用 (1) 体系的技術 革新』13章では類似も含めて31法則ありますが、概ね10~15程度かと思われます(筆者が受けた研修でも最大で16でした;製品によってはほとんど利用しない法則もある)。
以下の記事の解説は秀逸なので是非ご覧ください。
まとめ
TRIZ(発明的問題解決理論)は、技術的な問題解決に役立つ強力な手法ですが、専門知識が必要で普及しづらいという課題がありました。しかし、生成AIの活用により、誰でもTRIZを利用できる時代が到来しつつあります。
AIが矛盾マトリックス分析や技術進化の法則の適用を自動化することで、学習コストが下がり、実務での活用が容易になります。これにより、従来は一部の専門家に限定されていたTRIZが、多様な業界や人々に広がる可能性があります。
今後、AIとTRIZの融合が進むことで、発明や問題解決のアプローチが大きく変化し、技術者だけでなく一般のビジネスパーソンにも革新をもたらすことが期待されます。
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