製品ライフサイクルとは?「定量的」な測定を試みた

2025年2月19日

01 経営管理の視点 04 設計の視点

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 製品ライフサイクルは、市場導入から衰退までの製品の段階的な過程を示します。この概念を理解し、各段階に応じた戦略を立てることは、競争の激しい市場で成功するために不可欠です。本記事では、製品ライフサイクルの4つの段階と特許を利用した定量的な測定の試みを述べていきます。





目次

 1. 製品ライフサイクルの4つの段階

 2. 製品ライフサイクルの定量的測定;特許分析より

 3. まとめ


1. 製品ライフサイクルの4つの段階

・導入期の戦略
導入期は、製品が市場に初めて投入される段階であり、この時期の主な目標は、製品の認知度を高め、市場での受け入れを促進することです。この段階では、売上はまだ低く、利益もほとんど出ないか、赤字になることが一般的です。しかし、将来の成長に向けて、市場を確立するための重要な投資を行う必要があります。


具体的な戦略としては、まず、製品の存在を知ってもらうための大規模な広告宣伝が不可欠です。テレビ、ラジオ、雑誌、インターネットなど、様々なメディアを活用し、ターゲット顧客に効果的にアプローチする必要があります。


また、製品の利点を理解してもらうために、プロモーション活動も重要です。無料サンプル配布、デモンストレーション、イベント開催などを通じて、実際に製品を体験してもらう機会を提供しましょう。さらに、初期の顧客からのフィードバックを積極的に収集し、製品の改善に役立てることも重要です。顧客の声に耳を傾け、製品の品質や機能を向上させることで、市場での評価を高めることができます。


・成長期の戦略
成長期は、製品が市場に受け入れられ、売上が急速に増加する段階です。この時期の主な目標は、市場シェアを拡大し、競合他社に対する優位性を確立することです。売上と利益が大きく伸びるため、積極的に投資を行い、さらなる成長を目指すことが重要となります。


具体的な戦略としては、まず、製品の品質向上と機能追加が重要です。顧客のニーズを的確に捉え、製品の改良や新機能の追加を行うことで、競争力を高めることができます。また、価格戦略の見直しも検討しましょう。市場の状況や競合他社の価格設定を考慮し、最適な価格を設定することで、売上を最大化することができます。


さらに、流通チャネルの拡大も重要です。販売店、オンラインストア、代理店など、様々なチャネルを活用し、より多くの顧客に製品を届けられるようにしましょう。広告宣伝も継続的に行い、ブランド認知度を高めることが重要です。成長期は、製品の将来を大きく左右する重要な時期であるため、積極的な戦略を展開し、市場でのリーダーシップを確立しましょう。


・成熟期の戦略
成熟期は、製品の売上成長が鈍化し、市場が飽和状態に近づく段階です。競争が激化し、利益率が低下する傾向があります。この時期の主な目標は、ブランドロイヤリティを強化し、顧客を維持することです。また、新市場を開拓し、新たな成長の機会を探ることも重要となります。


具体的な戦略としては、まず、既存顧客へのアップセル、クロスセル、リピート購入促進策を実施しましょう。顧客との関係を強化し、長期的な顧客ロイヤリティを築くことが重要です。また、新市場開拓も検討しましょう。地理的な拡大、新たな顧客層へのアプローチ、新たな用途の提案など、様々な方法で市場を広げることができます。


さらに、製品の差別化を図ることも重要です。競合他社との差別化を明確にし、独自の価値を提供することで、顧客を引きつけることができます。コスト削減も重要な課題となります。効率的な生産体制、サプライチェーンの最適化などを通じて、コストを削減し、利益率を維持する必要があります。成熟期は、競争が激しい時期であるため、戦略的な対応が求められます。





・衰退期の戦略
衰退期は、製品の売上が減少し、市場からの撤退を検討する段階です。この時期の主な目標は、コストを削減し、在庫を処分し、ブランドイメージを維持することです。また、新たな製品開発への投資を検討し、将来の成長に向けた準備を始めることも重要となります。


具体的な戦略としては、まず、コスト削減を徹底的に行いましょう。生産コスト、マーケティングコスト、販売コストなど、あらゆるコストを見直し、削減することで、損失を最小限に抑えることができます。


また、在庫処分も重要です。売れ残った製品を処分し、在庫リスクを軽減することで、資金を回収することができます。さらに、ブランドイメージの維持にも努めましょう。製品の販売終了後も、ブランドイメージを損なわないように、適切な対応を行うことが重要です。製品の販売終了時期を見極めることも重要です。売上が一定水準を下回った場合や、利益が出なくなった場合は、速やかに販売を終了することを検討しましょう。衰退期は、製品の終末期であるため、冷静な判断と戦略的な対応が求められます。


設計の視点(コメント)

製品やサービスによって違いはあるかもしれないが、各期による特徴は何となくはわかります。現時点の生成AIは成長期だろうし、コモディティ化とともに価格競争が激化する製品もあるかと思う。ただ、それは肌感覚なので、これらの測定系で定量的なものはないだろうか?


2. 製品ライフサイクルの定量的測定;特許分析より

ここでは、定量的な測定系に特許を利用したある生活用品のケースを紹介します。具体的には、引用数被引用数を用いた簡単な算術によるものです。下図には、その製品について、横軸に年代、縦軸に任意の測定量を示します(この統計量は、当該システムの性能、発明数、売上、利益、出荷数量などが挙げられます)。

図 ある製品の特定期間の任意の測定量推移

ここでは、ある特許が明細の中で引用している特許数、後に引用される被引用数に着目し、年毎の引用特許数総数から被引用特許数総数の差を時系列で観察するとともに(赤字)、当該製品の測定系の推移を合わせて掲載しています。

この測定系の推移からは、B地点を境に減少傾向が著しくなっていることがわかります。また、(引用数)-(被引用数)の推移からは(赤字)、A地点のやや手前頃を境に変化が見られます。この指数が0より大きくなることは被引用数が引用数を上回ることから、技術成熟化を示唆する指数と考えることも可能です。さらに、それを年毎の登録件数で割った指数も図示しています(黒線のグラフ)。これは、被引用件数が現在地点に近づくにつれて0に収束する特徴を緩和するためのものです。いずれにしても、A地点のやや手前頃を境に値が増加しており、技術の成熟化を特徴付けているのではないでしょうか。


設計の視点(コメント)

この分析の弱点は時間軸が長いことです。それは、特許を検知するまでのタイムラグです。ライフサイクルが短い、または、短縮化している現在では、リアルタイム性に欠けてしまうことに留意が必要です。
    

3. まとめ

製品ライフサイクルを理解し、各段階に応じた戦略を立てることは、競争の激しい市場で成功するために不可欠です。一般的には、導入期には認知度向上、成長期には市場シェア拡大、成熟期には顧客維持、衰退期にはコスト削減と撤退戦略が重要となります。


本記事では特許を利用したライフサイクルの測定を試みました。ただ、現代においては特許の動向をモニターするのは心なしか悠長な構えかもしれません。ライフサイクルは短縮化の傾向*にあるためです。いずれにせよ、これはある意味、絶好の機会でもあります。変化を恐れず、積極的に対応していくことが、持続的な成長への鍵となります。


*ライフサイクルの短縮化:技術革新の加速、市場ニーズの多様化、グローバル競争の激化が要因として挙げられる。


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エンジニアの視点から、品質技法、解析技術、生成AIについて発信しています。 (シックスシグマ・ブラックベルト、MBA)

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