今日は、タグチメソッド(実験計画法)についてである。
タグチメソッドでは、まず、実験計画法での分散分析や種々の統計をある程度は理解しないと、あの割り付けやSNの話の凄みが味わえない。
その実験計画法では、一度でも“最適化”してみないと、その手法の便益を享受できない。
3D-CADなどを用いた際に行なうタグチメソッドとの共同作業は、何せモックも組まなくていい(プロトタイプを試作しないなど)、画面上の話なのでトコトンまでシミュレーションを行うことができる。
ここまでくれば、いいことばかりだが、いや、いいことばかりである。
なぜ、簡単に使えないのか?
第一に、QFDと同様、統計学の壁
第二に、実験が必要
である。
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第一の統計学は、QFDと同様である。
シックスシグマのブラックベルトは、実験計画法を習得する。実は、このときの研修が最も楽なのであるが・・・それは、実験計画法は「最適化」だからで、その課題に有意な因子は、「最適化」の前の「分析」の段階で因子を把握しているからである(もう、何が原因か因子はわかっている)。
解析のほとんどは、統計解析ソフトの寄与であり、私達はそのアウトプットされた情報の見方、捉え方を習得する程度である。
おそらくは、統計解析ソフトを提供する企業は、セミナーを多く開催しているので、習得の機会は多い。
そう、多くの使用目的は「最適化」であり、犯人は分かっている。あとはその設定だけなのである。
おそらくは、統計的概要を把握する、というよりは、ソフトウェアの使用の仕方を習得すれば、多くの場合に使用できるようになる(統計的概要は少々?でもいい)。
近年のソフトウェアの発達により第一の問題は解決されつつある。
何より、数学的には、古くから実証されており、品質工学という分野の確立にも貢献したこの手法が、近年まで、爆発的に普及しなかったのは、この統計計算にある。
それは、一昔前は、実験より、計算に時間がかかったためである(そりゃそうだ)。なにせ、計算機もない時代から、この手法は確立されていたので・・・。
さて、問題は第二の“実験”である。
研究開発者は、まだマシかもしれないが、例えば、生産現場の主任クラスが使用するシーンを想定してみると・・・生産現場で実験はできるのだろうか?みすみす、廃棄する製品を生産するようなものである。
その費用と時間を捻出できるかどうか、また、幾度かは小さな実験を行えるかどうか、いきなりの大実験は不安であろう。
さて、ここまでは、主に、実験計画法と称された“最適化”である。
(つづく)
<関連記事>
○QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。①
○QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。②
<代表的な統計ソフト>
●Minitab
●JUSEシリーズ
●SPSS
<関連書籍>
○TRIZに関して
『超発明術TRIZシリーズ (1)』日経BP社
*この書籍はシリーズ(6)まであります。
*産業能率大学 総合研究所からも案内がありましたが、現在は絶版です。
*Amazonでも在庫がないようです(2010/2末の時点)。
Darrell Mann著、中川徹監訳『TRIZ 実践と効用 体系的技術革新』創造開発イニシアチブ,2004.
*大阪学院大学の中川徹先生が監訳されています(紹介ページはこちら)
*「TRIZホームページ」―TRIZは、こういうWeb上で情報交換することの方が一般的で、日本では、中川先生が運営されているページのことです。まずは、このサイトを参考にしてください。
*大手書店で販売されている書籍の多くは、管理者向けで実践できるものではありません(TRIZはとても一冊では説明できない)。
*TRIZ実践者が納得できる数少ない書籍です。
○QFDに関して
QFD3部作はこちらです。
・赤尾, 『品質展開入門 (品質機能展開活用マニュアル)』,日科技連出版社, 1990.
・赤尾ら,『品質展開法(1) 品質機能展開活用マニュアル第2巻』, 日科技連出版社, 1990.
・赤尾ら,『品質展開法(2) 品質機能展開活用マニュアル第3巻』, 日科技連出版社, 1994.
○タグチメソッド(≒実験計画法)について
これについては、日本規格協会からの書籍が自習に適しています。
横山,『品質設計のための実験計画法 (品質工学講座)』, 日本規格協会, 1988.
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