QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。③-2

2010年3月17日

書籍

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前回は、実験計画法、タグチメソッドの普及の困難さに:
①統計学の習得の問題
②実験

の二点について述べ、実験計画法の“最適化”についてまで述べた。今日は、その続きである。

―――――*―――――*―――――*―――――

タグチメソッドでは、SN比(バラツキの尺度)、割り付けなど、厳密には一般的なシックスシグマのブラックベルトが習得していない*パラメーターを考慮する。
*ブラックベルトは実験計画法での最適化がメインです。


これは、“最適化”では、プロジェクトの終盤、犯人がすでに見つかっているタイミングで使用する―すでに、次のプロジェクトの準備もはじめることができる段階―。


だが、タグチメソッドは、プロジェクトが始まって少しの段階での使用が可能である**。
**ブラックベルトが習う実験計画法がシミュレーションに不向きであるということではありません。


一般的な製造業においては、歩留まりの悪い“究極の配合”より、ロスの少ない“ロバストな配合”を求める。誰が行なっても、いつでも同じような出来でないと困る場合がほとんどである。


そうすれば、その指標の一つとなるSN比、因子の作用に応じた実験計画(割り付け)が出来れば、もしくは、モックを画面上で作成し、種々のシミュレーションが行なえれば:


コストは安い上に、後工程での資源を極力削減することが出来る。


確かに――

(経験不足からくる)実験結果に対する不安はあるだろう。また、それを補う実験を行うことができない場合も多いだろうが――


いいかげんな“勘”、もはや根拠を失っている“伝統”よりは、格段に信頼度が高い。


しかし、習ったからといってすぐに使用できるものではないし、経験の積み重ねがモノをいう手法でもある。


・・・管理者は、忍耐強く待つしかないようです。



<関連記事>
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。①
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。②
QFD、TRIZ、タグチメソッドがどうして簡単に使えないのか。③-1


<代表的な統計ソフト>
Minitab
JUSEシリーズ
SPSS


<関連書籍>
○TRIZに関して
超発明術TRIZシリーズ (1)』日経BP社
*この書籍はシリーズ(6)まであります。
*産業能率大学 総合研究所からも案内がありましたが、現在は絶版です。
*Amazonでも在庫がないようです(2010/2末の時点)。

Darrell Mann著、中川徹監訳『TRIZ 実践と効用 体系的技術革新』創造開発イニシアチブ,2004.
*大阪学院大学の中川徹先生が監訳されています(紹介ページはこちら
*「TRIZホームページ」―TRIZは、こういうWeb上で情報交換することの方が一般的で、日本では、中川先生が運営されているページのことです。まずは、このサイトを参考にしてください。
*大手書店で販売されている書籍の多くは、管理者向けで実践できるものではありません(TRIZはとても一冊では説明できない)。
*TRIZ実践者が納得できる数少ない書籍です。


○QFDに関して
QFD3部作はこちらです。
・赤尾, 『品質展開入門 (品質機能展開活用マニュアル)』,日科技連出版社, 1990.
・赤尾ら,『品質展開法(1) 品質機能展開活用マニュアル第2巻』, 日科技連出版社, 1990.
・赤尾ら,『品質展開法(2) 品質機能展開活用マニュアル第3巻』, 日科技連出版社, 1994.


○タグチメソッド(≒実験計画法)について
これについては、日本規格協会からの書籍が自習に適しています。
横山,『品質設計のための実験計画法 (品質工学講座)』, 日本規格協会, 1988.


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エンジニアの視点から、品質技法、解析技術、生成AIについて発信しています。 (シックスシグマ・ブラックベルト、MBA)

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