製造業が競争力を失っていく―
多くの場合、外的(=競争相手)に打ちのめされる、というより、自滅であることが多い。
今日の図書の中でも、その典型的な話が掲載されている。よくある事なのかもしれないが、小さなことを容認していくと、やがて、とんでもないことなってしまう。
それは―“嘘”である。
著者が、掲載しているひとつは、ある工場長の話で、部下に本社からの無理難題により過度な負担がかからないよう、本社の意向を汲んだ報告―でっち上げのデータ―を行うという話である。
本社の優れた分析者は、そのデータをもとに分析し、次なる打ち手が経営に反映されていく。もともとデッチ上げなのだから、当然、企業は疲弊していき、競争力を失っていく・・・というものである。
本書以外においても、この手の話は多いだろう。誰しもが一つは持っていると思う。
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出来の悪い現場監督者は、自らの立場を悪くしないため、不良率、在庫、廃棄などのデータで嘘を報告する。それは、経理からの追求でさえかわしていく。見かけ上、この現場はピカピカである。
ある品質改善者が、その現場に着目し、実際の不良、在庫、廃棄を軽減し、本社へ報告しようとした時、現場の実データが本社へ公表されることを嫌ったのは、誰でもない事業トップであった。事業トップはデータの改竄を強要した。
実際の損失を考えると、彼らの退職金、年金さえ支払う必要が無いほど損失は膨れ上がっていた・・・。
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事業の成否をかけ、投資した製品は、競合企業に匹敵するほどの製品機能を有した上に、コスト面で優位に立ってるはずであった。
フタをあけてみれば、事業を左右するほどのポテンシャルをもったエラーを有し、製品機能は競合企業の足元にも及ばなかった。
開発チームは、最後まで“嘘”をつきつづけたのである。
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悪人は誰か?ということではなく、本社の意向に沿わなくてはならない企業文化が強すぎたのであろう(嘘の報告をしなければならない背景)。だが、上の例は、気づけば、もう坂道を転げ落ちており、取り返しがつかない。
残念ながら、経営において、企業文化を変える最も迅速で有効な手段は、旧来の人員を新しい人員と入れ替えることである。
結局は、自分達の首を自分達で絞めてしまっているのである。
・・・あなたの情報収集は大丈夫ですか?
<参考>
*以下は文庫本です。
ディビッド ハルバースタム, 高橋伯夫訳,
『覇者の驕り―自動車・男たちの産業史〈上〉 (新潮文庫)』
『覇者の驕り―自動車・男たちの産業史〈下〉 (新潮文庫)』
新潮社,1999.
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