カンバン方式といえばトヨタである。手法、技法にはそれが生まれた背景がある。トヨタにはトヨタでの事情があってこの方式が誕生したのである。
それは魔法ではない。
工場でのカンバンは少ないほうがいい・・・なぜか?
カンバンは「お金」なのである。工場に蓄積されるお金(=カンバン)は少ないほうがいい。一見、「お金ならば多い方がよい」気がするが、少し考えてみると:
その工場ではひと月に1億円の売り上げがあるとする。カンバンをお金で換算すると5,000万円である。
経営者の立場からすれば、ひと月に5,000万円投資して、1億円の売り上げを計上するわけである。仮に3,000万円になったとすると、投資効率は向上するのである。
工場視点ではカンバン=在庫であるが、経営視点からは投資効率なのである。
このように考えるのは、「魔法」と勘違いすることを防ぐためである。投資効率を高めることは経営者の腕の見せ所で、業種、規模などにより様々な方法が存在する。トヨタのトヨタによるトヨタのための方法を安易にコンサルティングに依頼して、業種も規模も全く異なる産業へ展開する「丸投げ」ぶりは、あまりにも滑稽である。
本質を理解して、適用する目的を従業員へ浸透しなければ、力が分散する。組織の力が分散することは、ある意味好き勝手に振舞う従業員を生んでしまい、そのような場合の多くの帰結として、企業倫理が低下してしまう。
・・・カンバン方式で経営効率を高めるのではない。経営効率を高めるひとつの方法としてカンバン方式を用いるのである。
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