児玉文雄他,「戦略転換の可視化の試み : 日米比較」

2010年8月11日

イノベーションレポート

t f B! P L
戦略の転換を「可視化」することはできないだろうか?


日本の製造業の歴史的な変遷を見ると―

60年代~70年代にかけて「技術輸入」、80年代にかけて「経済成長」、90年代初めまで「創造業」の時代 を経て、(それまでのモノとは異なり、長い時間を要する)「戦略転換の時代」を迎えている(?)。
*上記の時代の変遷は児玉文雄,『ハイテク技術のパラダイム』,中央公論社,1991.)

その戦略に関する分析のひとつが本レポートである。


レポートで着目する指標は、研究開発費、設備投資額などである。これらの指標は、研究開発効率を測定する際にも用いられることが多い(例えば、榊原(2003)*1など)。

*1 榊原清則, 辻本将晴, 「日本企業の研究開発の効率性はなぜ低下したのか」, ESRI Discussion Paper Series, 47, 2003.


具体的には、「設備投資額―研究開発費」、「営業経費等―研究開発費」のペアが、それぞれ、CEO在任中及び交替時期の戦略転換(≒グラフ*2の変曲点)を可視化できる場合が多い、と述べられている。

*2 グラフは、単にそれぞれのペアをプロットしたグラフ(軸の因子は、設備投資額/売上など)、詳細は下のレポートを御覧ください。


もちろん、“研究開発費”を投資した成果が、“設備投資額”に反映されるには時間がかかる。別の言い方をすれば、ある年度におけるそれぞれは、同一製品(種)、サービスではない。


が、主旨が、戦略転換の変曲点を探ることなので、「CEOが意思決定できる経営パラメーター」として着目である(研究開発の成果云々の話でなくても良い)。


競合企業が定義できるのであれば、競争相手の“変曲点”が観察できるので、(現場ではすぐわかるものですが)客観的には有用であり、興味深い。



・・・“見える化”を考えさせられます。。。



<参照元>
児玉他,「戦略転換の可視化の試み : 日米比較」
Journal of Science Policy and Research Management Vol.24, No1 (2009) pp6-15.

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