企業は、将来に向けて製品・サービスを開発する。
開発時点では、コンセプト的な部分(製品であればプロトタイプ)は把握できるが、それは実際に顧客が対価を支払うものではない(正味の現在価値やオプション価格は算出されていても・・・)。
だから、固定的なものではなく、有るのか無いのかわからない状態である。いわゆる無形資産である。
この資産を積上げることができるのは*、(現状の)製品・サービスからの現資産の利益によることが多い(負債などで行う場合もあります)。
*ここでは価値的な話として積上がるという意味合いです。
(関連して参考までにIFRSに関してはこちらの記事を参考。
→IFRSが与える影響―研究開発 )
振り返れば、現資産は無形資産であったはずで、その企業を取り巻く環境などにより、現行の形をとっている。
この何かしらの経緯で誕生した現資産は、時に、行き過ぎた資本主義の場合、株主により、当該企業内部が考えるよりピッカピカに磨くように迫られることもある。この際、規模の大きなリストラさえ実施される(リストラとは名ばかりの単なる退職支援)。
この有るか無いかわからない無形資産と徹底的に利益を追求する(とした場合の)現資産の両方を、どのようにして統合的にマネジメントするかが、当該企業が当該企業である所以である。
例えば、この両資産の背景に、当該企業の得意技を反映しているのであれば、かつて“コア・コンピタンス”と呼ばれたやり方であり、いずれにせよ、その技術と運命を共にする方向である。
また、両資産におけるネックが、ビジネスのシステムの劣化にあるならば、再考されなければならない事柄であるし、反対に、ビジネスのシステムに問題が無ければ、それを磨くことに注力しなければならない。
これらは、垂直、水平展開の再考である。
さらに、企業組織に目を向けると、その文化を変革したいというマネジメントは、かつてのIBMのように、現資産を売却し、新たな資産の価値増大に活路を見出すという方法もあれば、構成人員を大幅に変更することもある。
いずれにせよ、これらの両資産をどのようにしていくかで、企業の底流の動きが決まっていく。だから、モノマネではダメなのである。
今後、企業はPL的な財務の発想ではなく、企業価値をもとにした価値基準が主流になる。
そうなれば、優良な資産を積上げていくことが大切なことである。
なぜなら、目減りする資産は、マイナス金利みたいなものである。投資家は興味があるだろうか?
(かつての三洋の電池事業は考察の余地が大きい。)
・・・必要なのは戦略の転換なのかもしれません。
<関連記事>
○IFRSが与える影響―研究開発
○児玉文雄他,「戦略転換の可視化の試み : 日米比較」
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