今日の記事は、中沢メソッドです。
これまで設計理論の考察として、こちらの記事を投稿してきました。
その多くは、N.P.Suh教授による『設計の原理』『公理的設計』を中心に記載してきましたが、今回は、N.P.Suh教授の研究室に客員研究員として滞在し、その後独自の手法へと発展させた中沢先生による”中沢メソッド[1]”です。
中沢メソッドとは?
中沢メソッドは、製品開発におけるレクサット評価法と直交表を組み合わせた手法です。
・レクサット評価法とは、製品の各要素を多角的に評価し、その要素が製品全体の価値にどれだけ貢献しているかを数値化するものです。
・直交表とは、実験計画において、複数の要因を効率的に検討するための数学的な手法です。
中沢メソッドでは、レクサット評価法によって評価された各要素の重要度に基づいて、直交表を用いて最適な製品構成を導き出します。
このメソッドは、設計問題の解決において、ばらつきや特性を問わず、複数の要求項目に対して総合的にバランスの取れた設計を評価することが特徴です。その結果、ロバストネス(堅牢性)を優先した多特性の設計最適化が可能になります。
(参考 林ら, 「ロバストネスを優先した多特性の設計最適化~タグチメソッドの考え方と中沢メソッド連携活用の提案」,横幹, Vol1,2号, 2007, pp96-105.
中沢メソッドの詳細
レクサットとは?
実現ある状態の実現可能性を確率的に表現;実現する確率をPとすると、
E=In(I/P)を、確率が低くなるほど大きな値となる状態式であるとすると、数値が大きくなるほど悪い評価の指数となり、一般的な評価(望大特性)とは逆の性質を持つ。これをreciprocal of satisfaction の頭文字を組み合わせ「レクサット」(Racsat)としている([1]pp5-6)。
より詳細には、中沢先生の以下のサイトに詳細が記載されています。
著書の中で「レクサット理論とは別に、デザインレンジをどのように決めたらよいかという学問が新たに必要になるかもしれない」([1]p21)と言及されているように、設計を製品の設計(仕様が定まってから製品化)に収まらず、以下を言及しています。
- トータル設計
- 破壊的技術
- ニーズにこだわり過ぎている商品企画への警鐘
- ビジョンから入る商品企画
- ブルーオーシャンを開拓することを目的として活用される思考ツール戦略キャンバス法を改善したワーク
[1] 中沢, 『中沢メソッド』, 日科技連, 2011
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