「イノベーションの創出に資する知的財産権制度の在り方に関する調査研究」

2010年6月9日

イノベーションレポート

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特許庁の産業財産権制度問題調査研究における平成21年度の研究テーマのひとつである(テーマ一覧)。

題記の調査研究は:
「企業のイノベーション活動を取り巻く環境が大きく変化している中、イノベーションの創出に最も効果的な知的財産権制度を検討するため、特許制度及びプロパテント政策がイノベーションに与えてきた影響等について調査・分析を実施した。」
特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書に関するHPより)
*下線はブログ運営者

ということである。

報告書では:
  • 特許制度の対応として、プレーヤーの多様化への対応
    ―特に大学の特許出願の促進
  • 技術の利用形態の多様化への対応
    ―ホールドアップ問題の防止に関する
    ―リサーチツールの利用に関する
  • 公衆審査の機会を担保する制度
を骨子としている。


イノベーションの創出と特許制度の関係は、産業を発展させる上で、非常に重要な関係性を持っている。

ある技術に関して、営利を目的として特許権を取得する場合(この言い回しは好適ではないが)、あまりに守りすぎると、競合企業は代替策を考案するだろうし、かといって野放図にはできない。


特に、特許などは、陳腐化の速度が非常に速い。情報が公開された時点で、陳腐化がはじまる。製品においては、その明細書に再現性がなければならないので、製造方法をかなり細かい部分まで記載する。


だから、あえて特許にしない技術もあって当然である。



・・・“特許で儲けよう”なんて、相当に長い年月の戦略がなければできません。つい、最近も知的財産ブームみたいなのがありましたが、・・・ですもんね。



<関連用語>
ホールドアップ問題
ホールドアップ問題 ( -もんだい、hold-up problem) とは、いったん行われてしまうと元に戻すのが難しく、しかも交渉の相手の強さを増してしまうような投資に関して発生する問題である。主に不完備契約(内容が不確実であるような契約)において発生する。(ホールドアップ問題、Wikipediaより


リサーチツール特許
ライフサイエンス分野などにおいて、研究を行うための道具として使用される物又は方法に関する特許。(総合科学技術会議、「ライフサイエンス分野におけるリサーチツール特許の使用の円滑化に関する指針」平成19年参照)

プロパテント
特許の保護範囲の拡大など,知的財産権の保護を強化すること。アメリカでは,1980 年代以降,産業の競争力を強めるためプロパテント政策がとられている。(インテリジェンス辞書より



<参照元>
イノベーションの創出に資する知的財産権制度の在り方に関する調査研究(PDF)
特許庁、財団法人知的財産研究所
「特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書について」の21年度研究テーマより。


<関連書籍>


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