「ボーダレス・ワールドの経営」より。

2010年9月15日

イノベーションレポート 書籍

t f B! P L
たいていの経営者は近視眼的である。

このフレーズで始まるレポートは「自国に最も近い顧客しかよく見えていない」経営者への近視眼的経営に警告を発するものである(1989年のもの)。

というのも、概ね本社の経営陣とは、一つのやり方での成功体験しか知らないため、新たに生じる市場機会ごとに、そのやり方を踏襲するよう強要する傾向があるからである。(参照元,p93-94参照)


こういった傾向が企業内で続いてしまうと―
「壊れていなければ、直すべからず」という態度で、長い間尊重されたやり方によって革新が阻まれ、無関心と不決断の状況につながることになる。

むだを生んでいるやり方があっても、従来それを管理してきた人たちを怒らせないように、誰も本当のことを口にせず問題点を指摘しなくなるのである。
*文中の改行はブログ運営者による。

大前研一, 『新・経済原論』 東洋経済新報社, 2006, p436.

と(グローバルな)適応能力が衰えていってしまう要因になりかねない。


ちなみに、このレポートと同時代の80年代―
(山崎は、脱産業化社会についてダニエル・ベルを引用しつつ)
生産力の中心はいふところの知識集約型産業に移り、これからの社会は、資源やエネルギーよりもより多くの情報によって支配される社会になる。

(中略)生産の局面では、たんなる労働力や資本力よりも、科学研究や組織の経営能力といった知的な要素が決定的な力となる。
*文中の改行はブログ運営者による。

山崎正和, 『柔らかい個人主義の誕生』 中央公論社, 1984, p70.

と、知的付加価値についての指摘も見られる。


このボーダレス・ワールドで効果的な経営をするとは―
顧客に価値を届けることに最大限の注意を払い、顧客がだれであり何を欲しているのかを見定めるために、等距離の視点を身につけることなのである。何にも増して必要なのは、自分の顧客を明確に見据えることなのだ。(p101;文中の太字はブログ運営者による)


・・・理由を与えてくれるのは「顧客」です。
*レポートは1989年のものです。



<参照元>
*下の書籍に掲載されています(pp75-101)。
*こちらも参考までに(『ボーダレス・ワールド』, プレジデント社, 1990.)

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