研究・開発努力を無理に成果に結び付けない。

2010年12月12日

つれづれ

t f B! P L
研究・開発成果を何でもかんでも製品・サービスへオンすればいいというものではない。

アスリートが鍛えた筋肉を無理に使い、(競技での)バランスを崩すように、例えば、企業が、サービスを重点的に行わなくてはならないのに、製品の機能を声高に訴えてしまうように、利益創出に絡む資源配分のバランスを崩してしまうだろう。

さて、製品・サービスを上市する前の全体会議では、多くは、いくつかの案件が提案される。それは、当該企業が目的とする製品・サービスの品質に対するアプローチの数でもある。

その中には、苦労して発見・発明した知見を盛り込んだものもあれば、単なる現状の技術のパッケージで格段にコストを低下させたものなど、おそらくは最終段階で2,3件が候補に挙がっている。


しかし、研究開発者、技術者らは、チームの苦労を見たり、聞いたりしているので、メンバーの努力を無駄にしないためにも、知見を盛り込もうとする案件を実現しようとする力が働くものである。

特許ということも考えられるが、それは、どのみち、製品・サービスが世の中に出なくては意味がない面もある。

チームメンバーの上司達も、研究成果を盛り込んだ案件が実現しなければ、部下の苦労も報われないことを知っているため(単に研究知見を深めただけの評価で実質上積みはゼロ)、頑張ってしまう。

ただ、企業は利益を創出しなくては意味がない。昨今の金融危機とまではいかなくとも、法律の改正や規制の緩和、厳格化など、当該企業の想定外の環境変化があるのもビジネスである。


なれば、現状の技術のパッケージで目的を達し、コストが引き下げられるのなら、そのオプションを選択することも大切な意思決定である*。
*もちろん、研究成果を盛り込んだ案件の将来価値が高ければ、それも魅力的だが、例えば製造業の製品の場合、導入コスト(現場での適応、顧客への教育、品質保証体制の変更など)がかかり、その分の資源を環境の変化に振り分けられない。


・・・“待機”は、“何もしない”ではなく、立派なオプションです。ただ、それが計算できてないだけのことです。


Photo by Maco

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エンジニアの視点から、品質技法、解析技術、生成AIについて発信しています。 (シックスシグマ・ブラックベルト、MBA)

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