AIとFEMの融合: MBAの視点から(改訂)

2024年1月12日

03 解析技術の視点 AI備忘録

t f B! P L

 本記事では、AIとこのブログでも取り上げてきたFEM(有限要素解析)の組み合わせについて記載していきたいと思います。この組み合わせは、エンジニアリングの世界に大きな成果をもたらすだけでなく、戦略的な意思決定にも大きな影響を与えているものと思います。


*本記事は、記事の下部に追記があります。
-> 2025年1月追記)生成AIとCAEの融合に関して


*FEMに関する過去記事は以下を参照ください。
・FEMの過去記事:CAE圧延
・FEMの過去記事:CAE Impact




こちらのサイトでChatGPTを使用していくつか利点を挙げます。


 結論的には、AIとFEMの組み合わせは、組織にとっての競争力を高め、持続可能な成長を促進する鍵となり、将来的に、この分野はさらなる発展とイノベーションの可能性に満ちているといえるでしょう。


とはいうものの、筆者も実際に実務でFEMを利用しているのですが、AIとの結びつき(AIの定義は困難だが、機械学習、深層学習もそうだとして)は、あまり実感がありません。解析している分野にも依存するかもしれませんね。


なんとなくですが、かなりの情報量がなくては、この組み合わせの成果に値する結果を得られないのでは?とも考えます。


また、教育の問題。


FEMの習得もさることながら、解析対象の設計実務、AI自体の概要(機械学習、深層学習)、実験計画法と組み合わせるのであれば、その統計などなど・・・解析結果が有用でも、結果を導き出した背景を説明できる程度は把握していないと、折角の解析も説得力に欠けるものとなってしまいます。

*2024年1月時点での記事はここまで


追記)生成AIとCAEの融合に関して

とは言うものの、解析業務として考察した場合;

  • 解析作業での生成AIの利用は、設計・解析業務の効率化や精度向上に寄与し、解析の各ステップでの活用が考えられる。
  • 解析結果の解釈では、生成AIによるシミュレーションデータの分析により、設計の最適化を図ることが考えられる。

という2点が考えられます。


本記事では、上記すべてをカバーできませんが、以下について記載します。

  1. 探索段階での調査
  2. コード生成能力

*生成AI上では様々な結果が表示されることもあり、ファクトチェックは欠かせない作業になります。


例えば、「片持ち梁の例をサイズは問いませんので例示してください。また、自由端に任意の応力を負荷して、相当応力の分布を図示してください。」とのプロンプトでは以下の結果が図示されます。

Claude3.5 Sonnetによる「片持ち梁」の応力分布の様子

片持ち梁の例は、理論的な計算もあり、フリー、オープン系のFEMの例でも示されることが多い例です。ここでは、視覚的な示唆は大げさにしているのですが、プロンプトの入力だけでシミュレーションされていることがわかります。


理論的な計算が可能な点も大きな要素ですが、解析結果を図示できた点は、解析結果の内容がより多くの関係者へ伝わります。


*実際には、実物、もしくはモデルでの実証実験によるファクトチェックは大切な検証作業となります。


1. 探索段階での調査

ここでは、解析モデルをどのように構築するか検討することを想定しています。これは、CAEに限らないのですが、探索フェーズでの強力なAIは「NotebookLM」です。関連文献を収集し、その中の情報のみから会話できる点はノイズを小さくできる最良の方法です。


2. コード生成能力

例えば、FreeCADは、Pythonでスクリプトを記述することで、高度な自動化やカスタマイズを実現できる強力な3D CADソフトウェアです。Pythonなどのコーディングは生成AIの得意とするところですので、改めて記載するまでもありませんが、コード生成に生成AIを用いることの有効性が、ここでの焦点となります。


参考サイト)

FreeCADとPythonの連携で機械設計を自動化する

【FreeCAD使い方講座】Pythonコンソールから操作する方法① ~ 簡単なモデルを生成・保存する


また、最終の結果の考察にChatGPT、Claude、Geminiなどを使用する他に、現時点(2025年1月時点)では、Feloがなんとなくですが相性も良く使いやすい気がします。

Feloの検索エージェント機能などの使い方


MBAの視点

AIとFEM(有限要素法)の融合は、技術的な観点だけでなく、戦略的なビジネス視点でも大きな可能性を秘めています。MBAの視点でこのテーマを捉えると、以下のような要点が浮かび上がります。


1. 競争優位性の確立

AIとFEMの組み合わせは、設計や解析の効率化、高精度化を可能にし、短期間での市場投入を実現します。これにより、コスト競争力や製品の差別化が図られ、競争優位性を強化できます。


2. データドリブン経営の推進

FEM解析で得られる膨大なデータをAIで解析することで、設計工程や製品開発の意思決定にデータドリブンのアプローチを導入できます。これにより、ビジネス戦略の精度が向上し、顧客価値の最大化が図れます。


3. ROI(投資対効果)の最適化

AIとFEMへの投資は初期コストが高い一方で、業務効率化やリスク軽減による中長期的なリターンが期待されます。投資計画を明確化し、継続的にROIを評価することが成功の鍵となります。


・・・社内では、まず“善意の実践者”が第一歩を踏み出す必要があります。

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エンジニアの視点から、品質技法、解析技術、生成AIについて発信しています。 (シックスシグマ・ブラックベルト、MBA)

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